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おとなの補習時間 5Gで変わる未来の暮らし

2020年春にサービスを開始予定の携帯電話の第5世代通信=「5G」。NTTドコモでは2019年9月20日からプレサービスが開始され、実用化に向けてさまざまな実証実験が進められています。サービス開始とともに、未来が変わると期待されていますが、一体どんなふうに暮らしが変わっていくのでしょうか? NTTドコモの中野哲也さんにお話を聞きました。

第5世代通信「5G」の基礎知識

1G〜4Gの通信世代の変遷を振り返ってみよう

現在、携帯電話の主流となっているのは、第4世代の4Gです。これまでどんな変遷があったかを振り返り、5Gが期待されている背景を探ってみましょう。

1G 初めての携帯電話が誕生
1980年頃〜

固定電話しかなかった時代に登場した初めての携帯電話。1979年に車載電話として誕生し、その後歩いて持ち運べるショルダーフォンとなりました。これは肩に掛けて使用するスタイルで、アナログ無線技術が活用されていました。

2G デジタル化されパケット通信、開始
1990年頃〜

90年代になると、端末も小型化してデジタル無線技術が導入され、モバイルネットワーク通信(=パケット通信)がスタート。99年にはi-modeのサービスが開始され、一部モバイルインターネットにアクセスできるようになりました。

3G インターネットアクセスが可能に
2000年〜

携帯電話のテレビ電話やインターネットアクセスが可能になりました。画面もカラーになって、静止画が見られるように。国際ローミングの対応エリアが拡大し、手持ちの携帯電話が海外でそのまま使えるようになりました。

4G スマホが主流になり通信速度も快適に
2010年頃〜

3Gの最後に登場したスマートフォンが主流になり、通信速度もアップ。動画を快適に見られるようになり、クラウドによるアプリケーションサービスも一般的になりました。

5G 高速大容量・低遅延・多数端末接続が可能に
2020年春〜

高速大容量・低遅延・多数端末接続の3つの特徴を持ち、これらが快適に使えることにより、新たなサービスが登場することが期待されています。

5Gの3つの特徴と期待されるサービス

5Gには、高速大容量・低遅延・多数端末接続の3つの特徴があり、これらを使って新たなサービスが期待されています。まずは3つの特徴をチェックしてみましょう。

高速大容量

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの重たい映像データがスムーズに送れるようになります。動画も、4Kや8Kに対応した高精細な映像で見られるようになります。

低遅延

通信の遅延を最小限にすることで、産業用ロボットや遠隔医療機器などを使用するときにタイムラグが起こりにくくなります。自動車の自動運転などの分野に利用されることが期待されています。

多数端末接続

これまでの4Gよりもさらに多数の端末の接続が可能に。IoTに代表されるようにさまざまなモノがインターネットにつながることで可能になるサービスを利用できるようになります。

どんなことが期待できるの?

5Gの特徴が、ARやVR、産業用ロボット、自動運転、IoT、AIなどの技術と結びつくことによって、高度なサービスが期待できること。これからはさまざまなメーカーが生み出した新しいサービスを5G端末で提供できるしくみも検討されています。4Gでアプリを使ってサービスが利用できるようになりましたが、そのアプリのサービスがさらに広がっていくイメージ。生活が便利になるだけではなく、社会問題の解決や新しい価値を生み出すことにつながるでしょう。

5Gが始まると、暮らしは一気に変わる?

5Gが2020年春からスタートするからといって、端末を購入した途端に新しい暮らしが実現できるわけではありません。どの携帯電話の世代もだいたい10年で1周期となっていますが、すなわち成熟するまでに10年かかったということ。現在、プレサービスによって電波が試験的に使われ、パートナー企業と呼ばれる各メーカーがサービスを磨き上げている最中です。そのため、順次新しいサービスが登場していくと考えるのが正しいでしょう。しかし、携帯電話の新世代が発売される前にこれほど話題になったのは、初めてのこと。5Gへの期待の高さがうかがえます。

5Gで未来の暮らしや社会はどう変わる?

さまざまな分野で活用される5Gのチカラ

遠隔医療

専門医がいないエリアの遠隔医療をサポートします。これまで島しょ部などでは、専門医の不在によって、行き届いた診断や診療ができにくい現状がありました。これからは、中核病院にいる専門医に、CTのような詳細な検査データを送り込み、高精細な映像をやりとりしながらテレビ電話で指示を仰ぎ、専門医とほぼ同等の医療を提供する未来が実現することが期待されます。

災害救助

ドローンの遠隔操作がより高度になることで、災害現場の発見に役立ちます。ドローンに電源ケーブルを這わせ、上空から高精細な画像をAIが監視することで、救助を求める人や火の手が上がっている現場を探すことができるように。スピーディーで正確な災害救助につなげます。

農業分野

トラクターの自動運転がレベルアップします。人や動物を感知したときの作動停止はできるようになっていましたが、それ以外の緊急停止は人がやらなければならず、近くで見守る必要がありました。これからは、トラクターにカメラをつけ、その高精細な映像を遠隔で見ることが可能に。田畑の状況に応じて人が適切に遠隔地から緊急停止操作ができるようになります。

技の伝承

農業の現場や保守の現場などで伝承したい匠の技の継承に役立てます。これまで技を習うには、マンツーマンで時間をかけて教わるのが基本でしたが、それを高精細なカメラと5Gの通信、ウエアラブルグラスで実現。数人しかいない匠の技を持った人の技術を見て学ぶことができます。全国会議などの仕事を効率化することもできるでしょう。

働き方改革

遠隔操作と高精細な画像を使って、テレワークが推進されます。これまでも会社以外の場所でテレビ電話を使って会議することはできましたが、VRや自分の分身となる3Dアバターを使ってあたかも出席メンバーがそこにいるような仮想空間を演出。リアルな場が映し出されることで、議論が活発になります。

買い物

冷蔵庫と携帯電話端末がつながることで、冷蔵庫に入っているものを認識。冷蔵庫の中身からメニューを提案してくれたり、買うべき材料を注文したりできるようになります。面倒なメニュー決定がスムーズになり、買い忘れや買い物の重複を防げます。

※それぞれ一例です。
※これらは実証実験中のものや、技術を元に予測したものです。実現まで時間が掛かったり中止になったりすることもあります。

5G普及までのスケジュール

2019年9月20日
プレサービス開始

サービスを提供するパートナー会社に端末と電波を提供開始


2020年 春
商用サービス開始

新しい端末が発売され、一般向けのサービスがスタート


2023年
5Gエリアの拡大・拡充

全国で5Gのアンテナの配置が進み、基盤展開率97%(全国)を達成(NTTドコモの場合)
基盤展開率……日本全土を10km四方に区切った約4500メッシュ内に高度特定基地局(親局)が置かれた比率(総務省定義)


2025年度末
3Gのサービスを終了

3Gの電波をさらに5Gに置き換え

5G普及までのスケジュール

Wi-Fiサービスはどうなっていくの?
並存が予想されます。5GとWi-Fiは電波の周波数帯が異なり、5Gの高い周波数帯が届きにくい場所があることや、Wi-Fiの端末の普及状況を考えると両方残っていくことが考えられます。また、4Gと5Gもしばらくは自動的に切り替えられることによって並存します。
これまでと同じく都市部からアンテナが整備されるの?
5Gの電波は多種多様な要求に応えるため、これまでのように人が多く集まる都市部だけでなく、企業・自治体と連携した新たな産業創出・社会的課題解決や地方創生に寄与する場所(遠隔医療や農業分野で活用できるルーラルエリアなど)にもアンテナが整備されます。
スマホ端末は変わっていく可能性はある?
これまではスマホ型の端末が中心でしたが、ウエアラブルなど新しい形で利用されるシーンも増えていきます。全く新しい画期的な端末が生まれる可能性があるでしょう。

一足先にスタートした韓国やアメリカの現状は?

お隣の韓国やアメリカではすでに5Gのサービスがスタート。韓国は、積極的なプロモーションが功を奏し、すでにサービスを利用している人が100万人を突破、契約数を増やしています。とはいえ、4Gの延長で使用している人が多いのが現状です。一方、アメリカも契約数自体はほぼ同じですが、面白い現象が起きているそう。アメリカは国土が広大なだけに、隣の家まで距離があるぽつんとした一軒家がたくさんあります。これまで、そうした家庭では細いケーブルテレビ回線でインターネットを利用している人が多かったのですが、無線の5Gが登場することで、家庭で快適にインターネットが楽しめるように。郊外のエリアでも契約数を伸ばしています。

監修:NTTドコモ

1991年にエヌ・ティ・ティ・移動通信企画として設立。2000年にエヌ・ティ・ティ・ドコモに改称。企業ビジョンとして「2020年ビジョン」を発表し、スマートイノベーションに挑戦している。

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