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鍋料理のトリビア

家庭でも料理店でも鍋料理を味わうときに欠かせないのがカセットコンロ。当たり前のように使われているこのアイテム、実は2019年に50周年を迎えるとか……? このページでは鍋料理にまつわるエピソードを集めてみました。

アイデアの源は登山道具でした

 「今晩は鍋にしよう!」となると、引っ張り出されるのがカセットコンロ。鍋料理になくてはならないアイテムは、2019年に誕生50周年を迎えるんです!
 戦後、家庭にガスが普及し始めると、ガスの元栓からホースをつなぎ、コンロを食卓に置いて鍋を楽しめるようになりました。しかし、ホースが邪魔になったり安全性にも問題があったため、LPガスを“缶”に詰め、持ち運びできるようにと開発されたのが、いまや家庭用ガス商品で国内トップシェアを誇る岩谷産業のカセットコンロ「イワタニホースノン・カセットフー」でした。
 同社の創業者でカセットコンロの生みの親である岩谷直治が開発にあたって着目したのが登山用のガスバーナー。持ち運びできるこのアイテムにコンロを一体化させて家庭でも使いやすくするため、当時は専門の販売店で充填する必要があったガスボンベを使い捨てタイプにしたり、小型化を図ったりして製品化を実現したといいます。「カセットフー」というネーミングは当時流行していたカセットテープレコーダーのように、ガスをセットするだけという簡易さや自由に持ち運べることをアピールしたもの。1978年に発生した宮城県沖地震の被災地支援でカセットフーが供給されたことをきっかけに防災用品としても認知され、家族とのだんらん時だけでなく非常時にも活躍するアイテムとして欠かせないものになっています。

“闇鍋”のルーツは宮廷にあり!?

 突然ですが、みなさんは「闇鍋」に挑戦したことはありますか? 鍋にスープを煮立て、部屋の灯りを消してから各自が持ち寄った食材や、わざと食べられないモノを秘密裡に入れてワイワイと楽しむ闇鍋は、ひと昔前のバンカラ学生のイメージが強いかもしれません。しかし、そのルーツは平安時代の宮廷にみられるとか……?
 平安時代の宮廷では、一種物(いっすもの)と呼ばれる興宴が行われていたといいます。これは参会者が肴や酒を持ち寄る宴会で、室町時代になると、貴族だけでなく庶民もお金や食材をお互いが持ち寄り、飲食を楽しむようになったそう。一種物は各出(かくせつ)ともいわれ、それに近いものとして、当番の者が大鍋を用意し、参会者が食材を持参して集まって地域の結束を強める汁、汁会、汁講と呼ばれる集まりも行われていたそうです。こうした宴会が明治時代になると、みんなで鍋を囲む闇汁(闇鍋)という宴会となり、かの正岡子規もホトトギス一派と楽しんだといわれています。

ねぎま=焼き鳥?それとも鍋?

 鶏肉とねぎを交互に刺したねぎま串。「ねぎま」というと焼き鳥のイメージが現在では強くなりましたが、前ページでもご紹介したとおり、もともとは鍋料理の定番でした。
 江戸時代に生まれたねぎま鍋は、当時、傷みやすくて捨てられていたまぐろのトロの部分(当時はアブと呼ばれていました)をおいしく食べられるようにと考案されたもの。具材はトロ、ねぎ、そしてせりを入れるくらいととてもシンプルで、19世紀初頭に書かれた『東海道中膝栗毛』では、主人公の弥次郎兵衛と喜多八がお酒のおつまみとして、ねぎま鍋を注文するシーンも描かれています。安価なごちそうとして江戸っ子に人気だったこの鍋から、ねぎとトロを串で刺して焼くねぎま串が生まれ、戦後、手に入りにくかったまぐろを鶏肉で代用したことから、現在ポピュラーな焼き鳥の串が生まれたそう。いまではトロの価値が上がり、高級な鍋料理となってしまいましたが、たまには昔ながらのねぎま鍋を味わってみたいですね。

あのタイ料理、語源は日本の鍋でした?

 2000年頃のチゲ(キムチ鍋)ブームをはじめ、火鍋、ブイヤベースなど、最近は海外生まれの鍋も気軽に楽しめるようになりました。世界各地の鍋料理の中でも、日本と縁が深いのがタイ料理の「タイスキ」。これは、魚介類や野菜を中央に穴の開いた煙突のついた鍋などを使って煮込む料理で、にんにく、ライム、パクチー、唐辛子といった薬味を調合したタレで味わいます。1950年代に考案されたといわれており、現地では「スキー」と呼ばれているそう。なんだか日本の鍋料理に似た名前に思えますが、それもそのはず、スキーの語源は日本のすき焼きという説が有力なんです。

ミャンマー版おでんも?

 近年、成長著しいミャンマーの路上では、豚の臓物を串に刺し、大きな鍋に入れて煮込んだ料理を提供する屋台を見かけます。ミャンマー語で豚という意味の「ワッター」と串に刺すという意味の「ドゥトー」を合わせて「ワッタードゥトー」と呼ばれるこの鍋料理は、スナック感覚で食べられるものとして日常的に親しまれているとか。その見た目や気軽さは日本のおでんのように見えなくもない?

パスタにチーズ……グローバル化する鍋のシメ

 鍋料理の特集ですから、最後はやはり“シメ”の話題に。鍋料理のシメといえば、雑炊やうどん、ラーメンなどが定番ですが、最近は鍋料理そのものと同じように、そのシメ方もグローバル化しているようです。
 たとえば、健康ブームの影響で2005年頃から話題の豆乳鍋や、その食べやすさから子どもたちからも人気を集めるトマト鍋には、雑炊やうどんの代わりにパスタを入れる人も多いそう。トッピングも従来のねぎやとき卵ではなく、チーズを加えることで風味を出すなど新しい楽しみ方が広がっていて、トマト鍋にはバゲットを入れ、スープをたっぷり吸ったバゲットを味わうアイデア派もいるようです。また、最近は食品メーカーがシメ専用の麺を開発したり、残ったスープを使ってキッシュや茶碗蒸しのようなプリンをつくれる商品を開発したりと、鍋のシメ方も進化は続いているんです。


飲食店情報サイトのぐるなびが毎年発表する「トレンド鍋」によると、2018年の“トレンド鍋”は、山椒や花椒を使った「しびれ鍋」なのだそう。また、美しいからだづくりを意識して野菜や良質なタンパク質をとれる「美ボディ鍋」や、それとは真逆で高カロリーな具材をたっぷり入れた「背徳鍋」にも注目が集まると予測されています。寒さが本格的になってきた今、みなさんも温かな鍋料理を囲んで、あったかほっこりと過ごしてください。

参考文献(順不同)
鈴木晋一『たべもの史話』(平凡社)/同『たべもの噺』(小学館)/宮崎正勝『知っておきたい「食」の日本史』(角川学芸出版)/岡田哲『たべもの起源事典 日本編』(筑摩書房)/熊倉功夫『日本料理の歴史』(吉川弘文館)/佐藤剛『上を向いて歩こう 奇跡の歌をめぐるノンフィクション』(小学館)/ITmedia(ホームページ)/岩谷産業(同)/紀文食品(同) 等

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