アメリカなどではすでに生活の一部になっているともいわれるスマートスピーカー。便利なイメージはあるものの、どんなかたちで生活に取り入れたらいいか、イマイチわからない人も多いのでは? そこで、今回はスマートスピーカーの活用法を、ITジャーナリストの石川温さんにガイドしてもらいました。

クラウド型AI(人工知能)の搭載により、対話しながらさまざまな用途に応えてくれるスピーカーのこと。別名「AIスピーカー」と呼ばれています。たとえば、AndroidやiPhoneユーザーの中には、「OK、Google」「Hey! Siri」とスマホに話しかけて、天気予報やニュースを聞いている人も増えてきています。これをスピーカーに置きかえたのがスマートスピーカーです。
スマホと違って持ち運ぶのではなく、自宅のリビングや寝室に置いて利用するのがメイン。音楽スピーカーの役目を果たしたり、テレビや照明をつけたりと家電製品への対応ができるのが特徴となっています。
2015年頃、GoogleやAmazonなどが定額音楽ストリーミングサービスを開始し、その専用端末として発売されたのがスマートスピーカーです。AI機能を音楽再生に特化させるだけではもったいないと、さまざまな機能の広がりをみせたことから、アメリカを中心にユーザーが増加。そして、2017年にGoogle、LINE、Amazonから日本語に対応した製品が発売され、日本でもスマートスピーカーの注目度が上がっています。前述のようにスマホでの音声入力が普及し始めたことや、さまざまなサービスと連携できることから、未来の暮らしを支えるアイテムとして期待されています。


現在、スマートスピーカーは、Google、LINE、Amazonのほか、ソニーやオンキヨー、パナソニックなど音響メーカーからも発売されています。Google、LINE、Amazonの製品は、ハードもAIもそれぞれの会社が開発していますが、音響メーカーの製品の中身はGoogle Assistantなど各社のAIを内蔵しています。もちろん音響メーカーから発売されている製品はスピーカーが高音質。音にこだわるなら、音響メーカーの製品を選ぶメリットは大きいといえます。Google、LINE、Amazonそれぞれの製品は、対応しているサービスや性能が少しずつ異なります。各社の特徴をチェックしてみましょう。
- Chromecastとの連携による機能拡張、バイリンガル対応、スマホの場所を知らせる。
- 検索に優れているため、質問に対する回答が的確です。日本語の理解力も比較的高くなっています。Googleカレンダー、Google Mapとも連携しているので、普段からGoogleのサービスを使う人にはよいでしょう。
- LINEメッセージの送受信とLINE無料通話、赤外線による家電操作、キャラクター専用のトーク機能。
※ドラえもん、ミニオンモデルのみ
- LINEメッセージやLINE無料通話、LINE MUSICなどLINEが展開するサービスと連携しています。日本発の製品なので、赤外線による家電操作や花粉・台風情報など日本向けのサービスも。キャラクター製品もあるので、小さな子どものいる家におすすめです。
- Amazon.co.jpの買い物や音楽配信サービスとの連携が豊富、「スキル」によってアプリの機能拡張ができる。
- なんといってもAmazon.co.jpで買い物できるのが大きなメリット。トイレットペーパーなど日用品で過去に購入したものであれば、声をかけるだけで注文が完了します。Amazon.co.jpでよく買い物する人には好都合です。

「ニュースを聞かせて」と声をかけると、ニュースを読み上げてくれます。朝の忙しいシーンに必要なニュースが聞けるのはうれしいもの。特に、小さなお子さんがいる場合、ごはんをあげたりおむつをかえながらニュースが聞けるのでおすすめ。テレビをつけると気をとられて画面に見入ってしまうこともありますが、これならすみやかに支度ができます。

テレビや照明器具、エアコンなどの電気製品の操作をすることができます。オン・オフのスイッチはもちろん、エアコンの強さや温度を操作できるのが便利。電気製品のリモコンがどこにいったかわからなくなりがちな家庭でも、声で操作できるのはうれしいところです。

寝室にスマートスピーカーを置いておけば、目覚まし時計としても活用できます。セッティングも「明日、6時に起こして」などと話しかけるだけ。眠い夜に目覚まし時計やスマホを操作する必要もありません。

音楽ストリーミング用スピーカーとして進化してきたアイテムなので、音楽を流すのにはもってこい。「ジャズを聞かせて」と話しかければ、ランダムにジャズのナンバーを選曲してくれることも。もちろん個別の曲名を指定してもOKです。AI機能により、自分の好みやその日の気分に合わせた音楽を流してくれるのもうれしいポイントです。

急いで調べものをしたいときや手が離せないときのギモンをパッと解消してくれます。例えば、「今日の天気は」「織田信長ってだれ」など、お出かけ前に気になる天気やちょっとした調べ物にも回答。電卓を出したり、スマホで調べものをするのが煩わしいときに便利です。

Amazon Alexa、LINE Clovaは47都道府県のタクシーが呼べる「Japan Taxi」のアプリと連携。「アレクサ、Japan Taxiを開いて〇〇にタクシーを呼んで」と話しかけるだけで、タクシーが指定の場所に迎えにきてくれます。

スクリーンのついたAmazon Echo Spotは、特売情報提供サービス「トクバイ」のスキル。「アレクサ、トクバイで○○スーパーの情報を教えて」と話しかけると、「○○店の今日のおすすめは大根。100円です」と近隣店舗の特売情報を教えてくれます。スーパーに行く前に、お得に夕飯の献立を考えることができそうです。

小さな子どもの寝かしつけに読み聞かせを習慣にしている家庭も多いはず。スマートスピーカーなら、読み聞かせもお手の物。Google AssistantやAmazon Alexaは、ディズニー絵本のスキル、LINEクローバは日本昔話や童話を再生してくれます。仕事や育児でくたくたなときには、スマートスピーカーに頼りましょう!

音質にこだわるなら、前述のとおり音響メーカーの製品を選ぶのがおすすめ。ソニー、オンキヨー、パナソニック、BOSE、JBLなどから発売されている商品をチェックしてみましょう。
LINEのClova FriendsやClova Friends miniには、ドラえもんやミニオン、LINEキャラクターのブラウンやサリーのかたちをした製品があります。ミニタイプは手のひらサイズでコンパクト。子ども部屋にもおすすめです。

Google、LINE、Amazonともミニサイズのスマートスピーカーがラインナップされ、通常タイプの半額程度の値段になっています。まずはどんなものか使ってみたいという人にはもってこい。2台目として寝室や子ども部屋に置くのにも適しています。

Amazon Echo SpotやAmazon Echo Show、Clova Deskなどディスプレイタイプのスマートスピーカーは、今後注目の製品。画面上に天気情報やニュース動画が出て、タブレットのような便利さがあります。働く世代にもおすすめですが、話し相手にもなりますから、自宅にいる時間が長そうなシニア世代への贈り物にぴったりです。
家電はもちろん、車や家など身の回りのものがスマートスピーカーにつながる世の中が考えられます。実際に大和ハウスの「ダイワコネクト」は、「朝の準備お願い」と声をかけると自動でカーテンが開き、コーヒーメーカーのスイッチがオン。キッチンでは朝食の準備、リビングでは天気予報や渋滞情報を確認することも可能です。これからの新しい暮らしは、スマートスピーカーでどんどんスムーズで便利になるでしょう。

監修:石川 温さん
ITジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイやPC業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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