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おとなの補習時間 ドライブレコーダーの必要性

追突事故やあおり運転が気になって、ドライブレコーダーの購入を検討している人も多いのではないでしょうか。とはいえ、実際にどのように活用したらよいか、わかりにくいもの。今回は、約20年前からドライブレコーダーの研究を行う日本交通事故鑑識研究所の大慈彌拓也さんに、ドライブレコーダーの必要性を聞きました。

ドライブレコーダーはどんなときに使われるの?

ドライブレコーダーの歴史

1997年ドライブレコーダーの研究・開発が始まる

交通事故の鑑定を請け負っていた日本交通事故鑑識研究所が、交通事故を解明するために今から約20年前に試作機の開発に着手。当時は、事故で重傷を負った被害者が、あいまいな目撃情報や加害者の不当な言い分で、被害者としての立場を守れないことがしばしばありました。ドライブレコーダーは、正当な被害者を守るために開発されたものでした。

2003年頃業務用ドライブレコーダーが普及し始める

ドライブレコーダーの開発が進み、交通上のトラブルの多いタクシー会社や運送会社で利用されるようになりました。当時は、現在のような常時記録ではなく、衝撃が加わったときに加速度センサーが働いて、事故前後が記録されるもの。記憶媒体の容量が小さかったが故のアイデアですが、事故記録としては十分に役目を果たしていました。

2008年頃一般用ドライブレコーダーの販売が始まる

日本交通事故鑑識研究所が開発した一般向けドライブレコーダーがJAF(日本自動車連盟)の機関誌『JAF Mate』で紹介。これにより、約1万台のドライブレコーダーが出荷されました。1万台は決して多い数ではありませんが、すでに事故を起こして嫌な思いをした経験のある人の支持を集め、ヒットしました。

2016年頃ドライブレコーダーが一般にも普及し始める

バスやタクシーに設置されたドライブレコーダーによる事故映像がニュースで流れるようになったことがきっかけで、ドライブレコーダーの存在が一般にも広く知られるようになります。さらに、あおり運転や高齢者の危険運転が問題になったこと、事故処理だけでなく交通トラブル回避にも役立つこと、ドライブレコーダーの価格が下がったことが重なり、ドライブレコーダーは一気に普及し始めることになりました。

ドライブレコーダーの出荷台数

グラフは、業務用と一般用のドライブレコーダーの合計出荷台数です。統計をとりはじめた2016年から徐々に増え始め、2017年秋から2018年春にかけて爆発的に増えています。現在の車の登録台数約7800万台に対して、ドライブレコーダーの2016年からの出荷台数でも約500万台。約6%の車に搭載されている計算になります。

ドライブレコーダーのメリット&注意点

メリット

事故に遭った状況を映像で証明できる

ドライブレコーダーは、事故に遭ったときの状況を映像によって明らかにするもの。ドライブレコーダーが付いていると、保険会社や警察に映像の提出を求められることがほとんどなので、加害者の落ち度がひどいことを映像としてはっきりと証明する手段になるのです。たとえ相手が何を言ってきても、被害者としてのスタンスがとれます。

交通上のトラブルを回避できる

都市部などの過密地帯では、追突事故やあおり運転による被害が起きやすいもの。特に、あおり運転の被害は、証拠がなければ警察もなかなか動いてくれません。ドライブレコーダーがあれば、その証明にもなりますし、「ドライブレコーダー搭載車」などのステッカーを貼ることにより、あおり運転を未然に防ぐこともできます。

安全運転の心がけになる

ドライブレコーダーには、正しい運転を促してくれる音声ガイダンス機能が付いているものもあります。これにより、スピードの出し過ぎや、車間距離の近さを知らせてくれます。また、自分自身ドライブレコーダーを付けているという緊張感から、手荒い運転はしなくなるということもあるでしょう。ドライブレコーダーは、安全運転の心がけにもつながります。

注意点

月に一度はメモリーのメンテナンスを

ドライブレコーダーの映像は、メモリーカードで記録されることがほとんどです。メモリーカードには寿命があって、書き込む回数に限度があります。熱気がこもるフロントガラス付近で使われるので劣化もありますし、映像を常時記録しているので、寿命は1年程度と案外短いもの。1カ月に一度は、カードに映像が記録されているかをチェックしましょう。

警察に提出するときはコピーをとって

交通事故で裁判まで進んだ場合、ドライブレコーダーが証拠となるかどうかは定かではありません。ただし、事故処理の段階で警察からドライブレコーダーの提出を求められることは多く、映像記録が役立って、裁判に進むまでに至らないケースも多いといえます。警察に提出する場合、映像記録は事件終結まで返却されることはありません。また、保険会社に提出を求められるケースもあるので、必ず映像のコピーをとるようにしてください。

中古品の取り付けには注意

ドライブレコーダーは、シガーソケットから電源をとって有線でつなぐタイプもありますが、配線を隠して装着するのが主流です。その場合、業者に取り付けを依頼することになります。新品を購入する場合は、カーディーラーやカーアクセサリー専門店で取り付け業者を紹介してもらえますが、中古品の場合は町の整備工場に依頼すると取り付けを断られることもあるようです。自分で取り付けるのは難しいので、中古品には注意が必要です。

ドライブレコーダーの選び方

操作がシンプルでコンパクトなタイプ

ドライブレコーダーで最も重要なのは、安全運転を邪魔せず、しっかりと記録がとられていること。そのため、前方の視界をさまたげないコンパクトなサイズ感と、シンプルに操作しやすいものがおすすめです。実際にドライブレコーダーを見て、使い勝手のよいものを選びましょう。

カメラ自体にモニターが付いているタイプ

ドライブレコーダーのカメラ自体にモニターが付いていれば、メモリーカードの記録をパソコンに移すことなく映像をチェックすることが可能です。パソコンのない人でも手軽に映像を確認できますし、稼働確認もラクにできます。

GPS機能が付いているタイプ

GPS機能が付いていると、事故現場の位置を正確に把握できます。さらに、移動距離と時間から速度計測ができるので、事故のときにどれくらい速度を出していたかを証明することにもつながります。

あおり運転が心配なら、後方にもドライブレコーダーを

過密な都市部では、追突事故やあおり運転が心配という方も多いでしょう。この場合は、前方のカメラだけでなく後方にもカメラを付けるのがおすすめ。「ドライブレコーダー搭載車」などのステッカーを貼っていれば、危険な運転をしてくる車の抑止にもなります。

あまりに高解像度なものは避ける

現在のドライブレコーダーは常時記録が主流です。そのため、あまりに高解像度だとその分、メモリーを消費してしまいます。ドライブレコーダーは、いざというときに記録されていなければ意味はありません。
最近は、「ナンバープレートが確認できる高解像度」を謳う商品もありますが、実際にナンバープレートが記録できるかどうかは、夜間の暗さや日光の照り返しなどの不確定な要素により変わってきます。ナンバープレートを記録したいなら、目視のほうが正確です。ドライブレコーダーには音声録音も付いているので、その場でナンバーを読み上げるのがおすすめ。解像度は、100万画素以上あれば、問題ありません。

1万5千円以上が価格の目安

ドライブレコーダーの価格帯は、数千円~5万円くらいまで幅広くラインナップされています。安心できるメーカーによる品質や保証を考えると、1万5千円以上のものがおすすめです。とはいえ、高度で複雑な機能がありすぎるのも考え物。ドライブレコーダーには取り付け費用もかかるので、それも含めた予算設定を考えましょう。

ドライブレコーダーを利用した損害保険の特約が登場!

損害保険会社からはドライブレコーダーを活用した新しいサービスが登場しています。これは、契約者にドライブレコーダーが貸し出され、いざというときに事故受付センターに自動的に接続されたり、家族に事故が通知されたりするサービスです。事故に遭ったときにドライブレコーダーの映像が頼りになるだけでなく、事故後の対応がすみやかになります。気になる人は、チェックしてみてはいかがでしょうか?

・東京海上日動「Drive Agent Personal」
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/auto/total-assist/shohin/dap.html

・損保ジャパン日本興亜「DRIVING!」
https://www.sjnk.jp/kinsurance/driving_top/pc/

大慈彌拓也さん

日本交通事故鑑識研究所代表取締役/交通事故の工学鑑定をしてきた経験から、ドライブレコーダーの開発に携わる。現在は、事故鑑定をするとともに、ドライブレコーダーの販売やドライブレコーダーによる安全教育にも力を入れている。
https://www.nikkouken.com/

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