ほぼ毎日行うシャンプーやブラッシング。知らず知らずのうちに間違ったケアをしている人は意外に多いもの。正しい方法をマスターするだけで、髪のトラブルは劇的に改善されるといいます。今回は、毛髪診断士の本山典子さんに毎日が輝く毛髪ケアについて教えてもらいました。

かつて、シャンプーの洗浄成分が肌トラブルのもとになるという理由で「シャンプーは2日に1回くらいでよい」といわれた時代がありました。しかし、現在のシャンプーは安全性がアップし、肌へのダメージリスクは抑えられています。年齢や肌質にもよりますが、基本的には毎日すべきもの。頭皮は新陳代謝が激しく、脂分も出ます。シャンプーによるダメージを心配するよりも、シャンプーとブラッシングで頭皮を清潔に保って、血行を促進し、すこやかな毛髪を育てましょう。

フケやかゆみ、髪のニオイが気になるからといって、1日に何度もシャンプーするのは間違いです。シャンプーは、1日1回、夜洗いがおすすめです。洗いすぎると必要な脂分まで落としてしまい、かえってよくありません。気になるなら、1回のシャンプーで2度洗いを。この場合、シャンプーの量は少なめにして、1回目は軽く汚れを浮かすイメージ、2回目はしっかり泡立てて頭皮をマッサージしながら行います。もちろんすすぎは十分に。また、シャンプーの前にしっかりとブラッシングすることも大切。あらかじめ汚れを落とすことにつながります。

髪をドライヤーの熱にさらし続けるのは確かに避けたいですが、髪を濡れたままにしておくのも考えものです。頭皮は髪が密集しているため、雑菌の温床になってしまうのです。特にロングヘアの場合は、自然乾燥だといつ乾くかわかりません。そのため、タオルドライをしっかり行ってから手早くドライヤーで乾かすのが正解。タオルドライは、髪をゴシゴシせず、優しく頭皮の水分を取るようにするのがポイントです。
女性の場合は、男性のように頭髪がすべて抜け落ちることは稀ですが、髪が痩せて減って見えることがあります。髪の毛の太さは生まれつき決まっていますが、頭皮の毛穴が詰まって細くなってしまうこともあるので、ブラッシングのケアから始めてみてください。また、加齢の影響で髪が痩せてしまうこともあるので、地肌が見えてしまうほどの場合は、発毛剤などでケアしてみましょう。
白髪が目立ってきたからといって、引き抜くのはおすすめできません。白髪だけでなく髪は、体を守るために皮膚の内側でつくられ、頭皮の毛穴から生えているもの。力をかけてひっぱると、頭皮の下で髪の毛をつくる組織が傷ついてしまい、うねり毛などのトラブルが生じる原因になってしまいます。白髪が気になる場合は、白髪染めやウィッグでおしゃれに解消しましょう。
「白髪を目立たなくしたい」「髪をボリュームアップしてみせたい」「くせ毛をなんとかしたい」など、髪の毛の悩みは人それぞれ。しかし、こうした悩みは場当たり的に対応するよりも、「髪も体の一部」ととらえて、全体的にケアすることが大切です。そのために取り入れたいのが、シャンプー前のストレッチや頭皮マッサージ。全身の血行を良くし、頭皮のコリを解消してからシャンプーすることで、頭皮がすこやかになり、美髪が育まれるからです。一見、面倒に思えますが、習慣にしてしまえば、むずかしくありませんので、ぜひ取り入れてみましょう。

肩や首を中心に全身のストレッチを行うことにより、血行が良くなり、シャンプーの効果もアップします。
- 息を鼻から吸って、口から吐いて、ゆっくりと深呼吸(3回)
- 力を入れて思いっきり伸びをして、脱力(3回)
- ひじを直角に曲げて大きく肩甲骨を動かすように回す(3回)
- ゆっくりと3秒かけて首を回す(左右、各3回)
- ゆっくりと3秒かけて首を前と後ろにしっかり伸ばす。上を向くときは下唇を上に突き出すと、首のたるみ防止に(上下、各3回)
- 首を3秒かけて傾けてストレッチ(左右、各3回)

頭皮をほぐすことで、血行を促進。シャンプーの効果を高め、顔のリフトアップにもつなげます。
- にぎりこぶしで、「風池」「天柱」のツボを刺激する(各10秒)
- 指を軽く曲げて、生え際から後頭部、襟足に向かって頭皮全体に指を入れてマッサージ(10回)
- 後頭部、側頭部、頭頂部のそれぞれのパートで、下から上に向かって指先で小さく円を描くように揉む
- 襟足の髪をつかんで、ギュッギュッギュと軽く引き上げる(3回)
- サイドの髪をつかんで、軽く引き上げる(3回)
- 前頭部の生え際の髪をつかんで、軽く引き上げる(3回)
- 両側の側頭部にそれぞれ手のひらを当てて、3秒間、圧をかけてパッと放す(3回)

ブラッシングは頭皮をまんべんなく刺激できるので、頭のコリがほぐれるだけでなく目の疲れや肩の張りも解消できます。
- もつれをとるように、毛先を丁寧にブラッシング
- 頭皮にブラシをしっかり当てて、生え際の2~3cm手前からブラッシングを開始。耳の上から側頭部を経て、襟足に向かってブラッシング
- 首もとの襟足から頭頂部に向かって、下から上に引き上げるようにブラッシング

シャンプーは指の腹でやさしく頭皮をマッサージするように2度洗い。逆にトリートメントは毛先を中心につけて、頭皮にはつけないようにしましょう。
<シャンプー>
- ぬるめのお湯でしっかりと頭皮と髪を濡らす。シャワーのお湯で地肌を揉み込むように濡らすことで毛穴が開きやすくなる
- シャンプーを500円玉大に取り、手のひらでしっかりなじませる
- 頭全体に泡をなじませてから、生え際から頭頂部に向かって、指の腹を使って脂や汚れを浮かすように洗う
- 指の腹で揉みほぐしながら、シャンプーを残さないようにしっかりとお湯で流す
- 2度目のシャンプーも、1回目と同量の500円玉大を手にとる
- 生え際から頭頂部へ向かって、指の腹で毛穴の汚れを揉みだすようにしっかりと洗う
- 襟足から頭頂部へ向かって小さく円を描くようにマッサージしながら洗う
- ①前頭部→頭頂部、②サイド→頭頂部、③後頭部→頭頂部の3段階で、生え際から頭頂部に向けて指をジグザグさせて洗う
- 襟足から頭頂部に向かって、交差するように指を入れてしっかり洗う
- 毛穴に残った泡をすべて流すようにしっかりとすすぐ
<トリートメント>
- トリートメントを手のひらに取り、両手でつつんで温めてから毛先を中心につける
- 手のひらで全体になじませたあと、指をクシのようにすくようにして、さらになじませる。このときシャンプー専用のスカルプブラシでとかすと浸透力アップ
- お湯でしっかりとすすぐ。このときもスカルプブラシでとかしながらすすぐのがおすすめ
正しいシャンプーの方法をマスターしたら、正しい食生活で体の内側からも髪に栄養を与えましょう。栄養バランスの良い食事をとるためにおすすめなのが、見た目の色で食材を赤・白・黄・緑・黒の5色に分け、すべてが揃うようにメニューに取り入れること。すると自然に正しい食生活になります。
また、美髪のために意識したいのは、たんぱく質の十分な摂取。なかでも、大豆などの植物性のたんぱく質やサバやイワシなどの青魚がおすすめです。さらに、海藻類でミネラルを補給し、水分を十分にとることも忘れないように。うるおいのあるツヤツヤした髪が育まれます。

監修:本山典子さん
毛髪診断士、ヘア・ヘルスアドバイザー、(社)国際毛髪皮膚科学研究所代表理事/国内、海外でヘアケアの専門家として、製品の企画開発に携わるほか、メディアでのアドバイスも行い、ヘアケアの知識と技術を広く伝えている。

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