トップページ > 特集 vol.58 日本のホテル

日本のホテル

2007年はわずか800万人強だった訪日外国人観光客は、2016年に2404万人を記録し、右肩上がりで増えています。アクティブシニアの国内観光も増加しているいま、わが国の観光を支えるのがホテルや旅館などの宿泊施設です。なかでも旅人を暖かくもてなし続けてきた日本のホテルの変遷を、今回の「Trace」では探ってみました。

日本初のホテルは横浜で誕生

 まずは日本のホテルのルーツのお話から。宿泊施設といえば旅館が当たり前だった江戸時代、江戸と大阪には長崎屋と呼ばれる旅館がありました。この長崎屋は17世紀前半から、長崎から参府したオランダ商館長の定宿となり、国内におけるホテルの先駆けとも考えられています。ただし、当時は世界的にみても「ホテル」という言葉が一般的ではない時代。ヨーロッパで都市部の大規模な宿泊施設を“Hotel”と呼ぶようになったのは18世紀後半のことで、それまではイギリスなら“inn”(イン)や“tavern”(タヴァン)、フランスでは“auberge”(オーベルジュ)などと呼ばれていたようです。
 日本初の本格的なホテルには諸説ありますが、日米修好通商条約によって横浜に外国人居留地が設けられた1860年、オランダ船の元船長フフナーゲルが外国人向けの宿泊施設として開業した横浜ホテルがそのひとつとされています。客室のほかにバーやビリヤード場なども設けられていて、外国人の社交場として機能していたそう。その後も国際的な港町として、コーヒールームやボウリング場を併設したロイヤル・ブリティッシュ・ホテルや、グランド・ホテル、クラブ・ホテルなどが横浜で開業しました。

欧米規模のホテルが築地に!

 横浜ホテルが外国人の手による日本初のホテルとすれば、日本人の手による初めてのホテルは、現在の清水建設の前身である清水組二代目の清水喜助が手がけた築地ホテル館です。竣工は1868年8月。日本人の手による洋風建築としては最大規模、欧米の最上級のホテルに匹敵すると高い評価を得たものの、完成から4年足らずで築地や京橋を焼く大火により焼失してしまいました。

大震災にも耐えた高級ホテル

 明治時代には全国各地で本格的なホテルが続々と開業します。なかでも、大規模かつ世界水準のサービスを提供する大都市のホテル=シティホテルの先駆けとなったのが、1890年に開業した帝国ホテルです。
 欧米諸国との交流が盛んになり、本格的なシティホテルの建設が急務とされる中で開業した帝国ホテルは、いまでも数多くのホテルに影響を与えている日本を代表する高級ホテル。1923年にはアメリカ人建築家のフランク・ロイド・ライトの設計で新館(2代目本館)が竣工したものの、落成式当日に関東大震災が発生! しかし、周囲の建物が崩れてしまった中、帝国ホテルだけはビクともしなかったというエピソードもあるんです。
 太平洋戦争終戦後は占領軍によってホテル運営のノウハウが持ち込まれ、近代的なホテル経営が広がりました。そして1964年の東京オリンピック前には、帝国ホテルと並んで“御三家”と呼ばれるホテルオークラ(1962年)とホテルニューオータニ(1964年)が開業。日本で初めての外資系ホテル・東京ヒルトンホテル(1963年/現 ザ・キャピトルホテル東急)も開業するなど、ホテルの建設ラッシュを迎えます。
 時代は高度経済成長期。新幹線やジャンボ機、高速道路など交通網の整備も進み、1970年に開催を控えた大阪万国博覧会に向けて、地方都市にも大規模ホテルが開業しました。海外旅行の自由化で日本人の旅行熱が高まり、若い女性をターゲットにした国内旅行のキャンペーンが当時の国鉄や、『an・an』、『non・no』といった新興女性誌で組まれたこともあり、誰でも身近に利用できる宿泊施設としてホテルが認知されるようになったのです。

ホテル間の競争は今後も激化?

 外国人や上流階級に限らず、広く親しまれるようになったホテルは、冠婚葬祭から外食やショッピングなどまで、さまざまな機能・サービスを提供し、人々の生活になくてはならないものになりました。
 バブル期にはリゾートホテルを中心にレジャー目的でのホテルの利用が増えたものの、1990年代に入ってバブルが崩壊すると、業績が悪化してしまった日系のホテルにかわってパークハイアット東京、ウェスティンホテル東京、フォーシーズンズホテル椿山荘東京(現 ホテル椿山荘東京)といった“新御三家”や、ザ・リッツ・カールトン大阪のような外資系ホテルが相次いで進出を始めます。
 2000年代には外資系のみならず、日系の高級ホテルも再び建設ラッシュに。また、老舗ホテルも客室や宴会場の大規模改修に着手したり、フィットネスクラブやスパなどの施設を新たに設けるなど、ホテル間の競争は激しさを増すばかり。一方で、低価格が売りだったビジネスホテルも競争が激化し、ホテルは戦国時代を迎えているといえそうです。

日本の5つ星ホテルは……

 歴史をざっと振り返ったところで、ここで世界から見た日本のホテルの状況も見てみましょう。「日本は5つ星ホテルの数が少ない」なんて話を耳にすることがありますが、観光庁の資料によると、「Five Star Alliance」というホテル情報サイトで紹介されている国内の5つ星ホテルは28軒。レストランガイドで有名な「Michelin」では225軒、「Booking.com」では237軒となっています。

内閣府 観光戦略実行推進タスクフォース(第12回)「観光庁資料

※内閣府 観光戦略実行推進タスクフォース(第12回)「観光庁資料」より引用

 こうしてみると、確かに日本は諸外国に比べて5つ星ホテルの数が少ないことがわかります。また、5つ星ホテルは都市部に集中していて地方に少ないという話もありますが、裏を返せば高級ホテルが進出する余地がまだまだあるということ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、現在も各地で大規模ホテルの建設が進められているんです!

ホテルの分類に世界基準がない!?

 上記のように「○つ星」というホテルの分類は調査によってさまざま。そのワケは、ホテルの分類に“世界共通の基準”がないからなんです。欧米ではホテル業界・旅行業界が自主的に、ホテルを価格帯別・機能別で5段階の星で表現する以下のような方法が取り入れられていますが、日本では品質評価や格付けと混同されることも少なくないのだそう。また、民間の外部機関による調査も覆面調査員による調査から、ホテル利用者に対する聞き取りなどまで、さまざまなアプローチがあります。

価格別のホテルの星数分類

※『ホテル・ビジネス・ブック』(中央経済社)参照


開国間もない横浜で日本初のホテルが誕生してから、シティホテルに留まらず、ビジネスホテルやカプセルホテルなど、日本のホテルは独自の進化を遂げてきました。次ページではそんなホテルにまつわるトリビアもご紹介します。

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