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1万円超えの高級“ビニ傘”

 享保6年に当時は煙草商の「武田長五郎商店」として始まった、高級ビニール傘メーカー、ホワイトローズ。その歴史は特筆すべきエピソードばかりだが、詳しくは下部の年表にゆずろう。しかし、1つだけ伝えておかなければならない。それは、ホワイトローズが「世界で初めてビニール傘を作ったメーカー」ということだ。昭和30年代のことだった。
 開発から60年を経た同社の高級ビニール傘は、現在、宮内庁御用のビニール傘として皇室の行事でも用いられている。その価格は1万円を超える商品も多く、数百円で手に入る巷のビニール傘とは一線を画す。具体的には何が違うのだろうか? その問いに「すべてが違う、ということですね」と10代目社長、須藤さんは言い切る。
 まず、透明のビニール部分は、3枚重ねの特殊素材だ。濡れた時にもベタつかず、寒さにも暑さにも強い(−20度〜+70度まで耐性あり)。そして時間が経っても黄色く変色しない。「一般的なビニール傘のデメリットをすべて解決しています」と須藤さん。
 さらに注目すべきは傘の骨に圧着する部分に開いた「穴」だ。「内側から風が吹いたとき、その穴から吹き抜けるので傘がひっくり返りにくい。『逆支弁』という特許構造で、もちろん外側から雨は入りません」。このアイディアは美智子皇后のための傘を制作する際に生まれたものだ。「皇后さまは園遊会で傘を使う際、出席者にお顔が見えやすいよう肩にかつぐように持たれる。正面から風が吹けば、ヨットの帆のようにまともに風を受けてしまうのです」。その負担を少しでも軽減するための解決策だった。


素材も強度も申し分なし。10年使用は想定内!!

 「さらに傘の骨は風速20m/sまで耐えられる非常に丈夫な素材、グラスファイバーを使っています」。ちなみに台風の強風域は風速15m/sなので、かなり強い雨風でも問題ないだろう。加えて傘自体の重量や持ち手の太さも、ちょうどバランスよく計算されており、使っていて疲れにくいのが特長だ。
 素材も強度も申し分ない。「多くのお客さまは骨が壊れるまで使いたい、と言われますね」。カバーも骨も持ち手も、すべて修理を受け付けているというから驚きだ。「10年くらい使われることは想定内なんですよ」と須藤さんは話す。10年使えるビニール傘が他にあるだろうか?
 最後にもう一つ、「ビニール傘の大きな特長は、透明であること」と須藤さん。「だからこそ、360度視界を確保できるのです」。つまり丈夫なだけでなく「安全」な傘でもある、ということ。「今後は、雨の日の外出が困難な高齢の方やハンディキャップを持つ方が使いやすい商品を開発したい。この傘を本当に必要とする方々に向けて届けたいですね」。
[ホワイトローズ]
http://whiterose.jp

ホワイトローズ豆知識
「勝てる!」縁起のよい傘?

昭和57年に都議会議員、故川俣晶三氏の要望で制作した選挙活動のためのビニール傘。商品名は「シンカテール」、またの名を「当選確実」。多くの立候補者がこの傘を手に活動し、国会への切符を手に入れた。


85cm! 超・特大の傘

東京・東本願寺の僧侶からの依頼で正装の正絹素材高級法衣を雨から守るため制作した超大型の傘が、「テラ・ボゼン」として商品化。現在は屋外での映画の舞台挨拶やウェディング会場、ゴルフ場などで幅広く活躍。


登山でビニール傘?

登山ではレインウェアとともに傘の出番も多い。ザックに装着しやすいコンパクトな「カテール・ピッコロ」はビニールのため視界もクリアで「逆支弁」の穴のおかげで山道で風にあおられて転倒する危険が少なくなる優れもの。


高齢者のための傘×ステッキ

「そろそろステッキを持ってほしいけど言いにくい……」そんな家族のために「傘だから」と堂々と贈れるように、と開発された「信のすけ」。通常はステッキとして使い、途中で雨が降れば、傘とステッキを分離して雨もしのげる。

創業からビニール傘の開発まで
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