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おとなの補習時間 いまから始めるお中元

もうすぐお中元のシーズン。子どもの頃、親戚や親の知人から贈られるお中元を楽しみにしていた人もいるはず。しかし、大人になったいま、そのお中元のルールがイマイチわからないということも……。実は、お中元は一生のご縁をつなぐための印として、有効な手段なのだそう。今回は、マナーデザイナーの岩下宣子さんに、いまから始めるお中元の作法を聞きました。

お中元の由来を知る

日本人には、お盆とお正月の年に2回、ご先祖様をお迎えする文化があります。そのため、6月に大祓(おおはらえ)、12月に大掃除をして準備し、お供えをします。このお供えには、「私たちが存在しているのは、ご先祖様が命をつないでくれたおかげ」という感謝が込められています。これが贈り物の形になったのが、お中元とお歳暮なのです。つまり、お中元やお歳暮を贈る相手は両親や親戚などの血がつながった人、というのがそもそもの習わし。現在は、恩師や尊敬する先輩や上司、ホームドクターなどにも贈る習慣がありますが、これは「自分がいま生きているのはあなたのおかげです」という感謝の意味合いが強くなってのものなのです。

お中元は誰に贈るのが正しい?

上記のように、お中元は元来の意味からすると、両親や兄弟、親戚などに感謝を伝える贈り物ですが、周りの方に生かされているという考えから、親類以外の人に贈るのも間違いではありません。最近では、「虚礼廃止」といって、意味のない習慣や形式的な儀礼はやめようという風潮が広がりつつあり、社内の人にはお中元やお歳暮を贈らないという方針を取っている会社もありますが、これは、本来の意味からいっても正しいこと。お中元やお歳暮は、人生の一時期だけに贈るものではなく、一生のお付き合いをしたいという方に感謝を示すものだからです。もちろん、会社の先輩や上司の中に、自分が生涯にわたって感謝を伝えたいという人がいたら贈るのもよいでしょう。また、「自分へのご褒美」として、自分に贈ることもありますが、これも自分自身への感謝と考えると間違いではありません。

お中元の価格の相場は?

お中元とお歳暮は、1回きりのお礼とは異なるため、大金をはたく必要はありません。3,000〜5,000円を目安に、毎年、続けられる金額の範囲で同じくらいの額のものを贈るのが通例です。むしろ、個人宛に高価なものを贈るのは、相手に気を使わせてしまうことになるので避けましょう。

お中元選びのポイント

贈ってはいけないものとは?

大前提として相手が嫌いなものや贈られて困るものを贈ってはいけません。また、現金や、火を連想させるキャンドル、切ることから別れをイメージさせる包丁やハサミなども、一般的にタブーとされています。さらに、例えば、歯が悪い人にせんべい、胃が弱い人に刺激の強い食べ物はダメ。家族構成を考えずに、2人世帯なのに使い切れない量の調味料などを贈るのも考えもの……。普段から相手のことをリサーチし、年齢を重ねて好みや健康状態が変わったと思ったら、お中元の品も変えるようにしましょう。

上手なお中元選びとは?

相手の好みのもの

贈る相手のライフスタイルや好みに合わせて、好きなものを贈るのがベスト。あまり顔を合わせる機会がない恩師などの場合は、電話をしてみて「先生、お体にお変わりないですか?」「ビール党でしたが、最近は何がお好みですか?」など、さりげなく聞いてみるのも一つの方法です。


地元の名産品

贈り主が住んでいる地域の名産品を贈られるのも相手にとってうれしいもの。自分にとっては手に入れやすいものでも、その地域に住んでいない人にとっては珍しいからです。地元のキラリと光る名産品を普段からチェックしておきましょう。


話題性のあるもの

いま話題になっているものやトレンド感のあるものも贈り物として好まれます。いつも同じものを贈る方法もありますが、毎回話題性のあるものを贈ると「今回は何を贈ってきてくれるかしら」と楽しみになるものです。今回のコラムも、ぜひ品物選びの参考にしてみてください。


季節感のあるもの

お中元の場合は夏なので、夏に飲みたいものや食べたいもの、使いたいものなど季節感のある品物を贈るのも一般的。例えば、ビールやジュース、そうめん、フルーツ、タオル、石けん、洗剤、水ようかんやゼリーがこれにあたります。一方、お歳暮はハムやソーセージ、食用油、コーヒー、新巻鮭、お節用の生鮮食品、入浴剤などとなります。

ひとつ上のお中元の贈り方とは?

品物だけでなく心を贈ることが大切ですから、贈り物に言葉を添えるとお中元がぐっと引き立ちます。デパートからの発送でも、メッセージカードや一筆箋なら同封してもよいとされています。また、品物に同封できない場合でも、品物が届く1週間程度前にハガキやメールを送って、感謝の言葉を書くとともに「●日頃、届くようにお送りしています」などと書き添えてもよいでしょう。

お中元をもらったら、どうすれば?

お中元は感謝を表す「お礼」なので、返礼としてなにかを贈る必要はありません。ただし、贈っていただいたら、お礼状を書いたり、電話でお礼を言うのを忘れないようにしましょう。

うっかりお中元を贈るのを忘れてしまったら?

毎年、お中元を贈っているのに忘れて時期を逸してしまった場合、のし紙の表書きに「お中元」とせず、「暑中御伺」にし、さらに立秋を過ぎていたら「残暑御伺」にします。「お見舞い」ではなく「御伺」とするのは、相手が目上の立場の人だからです。

贈る時期が地方によって違う?

関東地方では、7月1日~7月15日がお中元期間となっていますが、関西では、8月1日~15日となります。また、九州や四国は地域によって違うので、贈る相手に合わせて、調べてから贈りましょう。ちなみに、関西が関東よりも1カ月遅いのは、関西は月遅れのお盆をするからです。

2017年のお中元トレンドは?

今年のお中元トレンドを探るため、日本橋三越本店のお中元内覧会をチェック。「最近の傾向としては、華やかさを求めて洋菓子の伸び率が高くなっています。とはいえ、ビールメーカーや老舗の和菓子店がコラボレーションで、おつまみセットや限定ラベルを打ち出すなどの展開も行われています」とバイヤーの毎熊圭一郎さん。実際に、キリン一番搾り「仙台づくり」と三陸の海の幸の詰め合わせセット、三越と東京国立博物館とのコラボレーションによる浮世絵パッケージ商品が登場。「洋菓子では、希少糖や寒天を使ったゼリーや農業女子プロジェクトのスイーツにも注目が集まると思います」(毎熊さん)。また、日本橋三越本店では店頭限定で、感謝のメッセージを店頭で録音し、二次元バーコードにして品物と一緒に届ける「声のメッセージ」サービスも実施しています。

監修:岩下宣子さん

マナーデザイナー/現代礼法研究所主宰
1984年に現代礼法研究所を設立。公共団体、商工会議所、企業、学校などでマナーの研修や指導、講演を行う。『この1冊ですべてがわかる! 冠婚葬祭マナーの新事典』(朝日新聞出版)ほか著書多数。
www.gendai-reihou.com/

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