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おとなの補習時間 疲れを解消する快眠の極意

「寝つきが悪い」「すっきり目覚められない」など、眠りについて悩みはありませんか? 眠りの質が低下した状態では、疲れがとれず日中に本来のパフォーマンスを発揮できないもの。そこで、快眠セラピストの三橋美穂さんに、大人のための快眠の極意を教えてもらいました。

大人が実践したい快眠のための5つの心得

心得1 体内時計が整うような生活スタイルを

私たちのからだには約24時間周期の体内時計が備わっています。体内時計が決まった時間にリセットされれば体内リズムが整い、眠るべきときに眠り、起きるべきときに目覚めることができます。そのカギを握るのは、午前中の行動。朝はカーテンを開けて明るい光を浴び、起床後1時間以内に朝食をとる生活を心がけましょう。

心得2 日中を活動的に過ごしメリハリをつける

日中の活動量が少ないと疲れが溜まらず、夜に眠くなりません。夜に眠くなるためには日中に適度な疲れを溜めておくことも大切です。ですから日中に疲れたからといって、電車の中で寝てしまったり、帰宅後にソファでうたた寝をしたりするのはNG。昼寝も20分程度に留めるのが正解です。

心得3 寝る前に深部体温を下げる

体内の温度である「深部体温」は、日中高く、寝ている間に低くなります。逆にいうと、深部体温が下がれば、自然と「眠りモード」に入るわけです。就寝前にはこの原理を応用して、寝る1~2時間前に入浴するなど、快眠のための準備を整えましょう。

心得4 リラックスした状態で眠りに入る

私たちのからだの自律神経は、活動期に活発になる「交感神経」と、休息期に活発になる「副交感神経」のバランスを取ることで健康を保っています。夜、寝る前には副交感神経が優位になるように、リラックスした状態をつくってスムーズに入眠するようにしましょう。

心得5 睡眠環境を整える

ぐっすり眠るためには、部屋や寝具など睡眠環境にもこだわりたいもの。電気やテレビを点けっぱなしにしたり、寝間着や布団が睡眠に適さなかったりすると、睡眠の質が低下します。寝る前のスマホの使用も厳禁。睡眠環境を整えることも、深い眠りにとって大切なのです。

シチュエーション別・快眠の極意

寝る前の正しい準備

寝る前から快眠の準備は始まります。まず、寝る8時間前からはうたた寝禁止にして、ある程度、疲れを溜めた状態にします。そして帰宅後の室内の照明は、暖色に切り替え、交感神経の活動を鎮めましょう。夕食は眠る3時間前までに終わらせるようにし、入浴は1~2時間前に済ませます。そして1時間前には、照明をさらに暗くし、だんだんと寝る準備を整えます。

間違いがちな寝る前のNG行動

眠る前に、コーヒーや緑茶などカフェインが入っている飲み物がNGというのは知られていますが、実はタバコもNG。カフェインと同じように覚醒作用があるため、寝る1時間前からは避けましょう。また、寝酒も快眠のためにはよくありません。アルコールは寝つきを良くしますが、アルコールが分解される頃、交感神経の活動が高まって眠りが分断されるというのが理由です。飲酒量が多いほど、昼間の眠気や疲労感が強くなる傾向もあります。これは、アルコールによって筋肉がゆるんで気道が狭くなり、酸欠状態に陥るから。入眠するために寝酒に頼るのはやめましょう。

快眠のための正しいお風呂の入り方

心得3のとおり、体内の深部体温を下げるのが入眠に有効な手段です。そのために効果的に利用したいのが入浴。お風呂は寝る直前ではなく、寝る1~2時間前にぬるめのお湯にゆっくりつかるのがポイント。入浴後、だんだんと体温が下がってきて、寝る頃にはちょうど眠くなるでしょう。ぬるめのお湯はからだをリラックスさせる効果もあります。

寝るときにおすすめの寝間着とは?

Tシャツとジャージで寝ているという人もいるかもしれませんが、睡眠に向いているのは部屋着ではなくパジャマ。締め付けがなく、吸湿性のよい綿やシルク、オーガニックコットンを使ったスムースニットやダブルガーゼなどがよいでしょう。さらにおすすめなのが「ノーパン+腹巻き」。下着をはかないことでそけい部が締め付けられず、血の巡りを妨げません。驚くほど目覚めがよいと評判ですから、一度、お試しあれ!

布団の正しい使い方

最近は、羽毛布団を使っている人も多いはず。羽毛布団、毛布またはタオルケットは、羽毛布団の上に毛布またはタオルケットという順番にかけるのが正解。羽毛布団は軽いため、上から毛布やタオルケットで押さえたほうが、布団が安定するからです。また、冬場に寒いからといって布団をかけすぎるのは、からだが圧迫されるためNG。寒いときのポイントは、背中側を断熱すること。マットレスや敷布団の下にアルミシートを敷くのも効果的です。

寝る前にストレッチでリラックス

リラックスして眠るためには、背中の緊張をほぐし、背中全体が布団全体に当たっていることが大切です。寝る前に1分やるだけで姿勢をリセットする「三橋式ストレッチ」を実践してみましょう。

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快適な睡眠環境の整え方

快適な睡眠環境を確保するため、寝室を整えましょう。ベッドを使っている人も布団を使っている人も、壁から10cm以上離しておくのがポイント。マットレスや布団の通気性がよくなり、ベッドの場合は掛け布団のずり落ちも防げます。また、就寝中に光の刺激があると、眠りが浅くなってその分食欲ホルモンが増進するので、寝室の入口から頭が見えないくらいの場所にベッドや布団を置いて光を遮り、室内は真っ暗にしてから寝ましょう。真夏にエアコンをつけて眠る場合は、エアコンの風が直接当たらないように調整してください。

1分で眠りに落ちるのは、快眠ではない!

「いつでもどこでもすぐ眠れるのが自慢」と豪語する人がいますが、実はこれ、健康なのではなくただの睡眠不足。本当に健康な人は、入眠に10~20分かかるのが普通です。コロリとすぐに眠ってしまう人は、慢性的に疲労が溜まった「睡眠不足症候群」かもしれません。休日の睡眠時間が平日より2時間以上長ければ、その可能性が高くなります。思い当たる人は、普段の睡眠時間をまずは確保しましょう。

監修:三橋美穂さん

快眠セラピスト、睡眠環境プランナー/寝具メーカーに入社後、商品開発やマーケティングなどを経験し、研究開発部長を経て、2003年独立。睡眠を多角的にとらえた実践的なアドバイスと、手軽にできる快眠メソッドが、テレビや雑誌等で支持を集め、睡眠のスペシャリストとして多方面で活躍中。世界中で話題のおやすみ絵本『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)の日本語版監修を手がけたことでも話題を呼んでいる。
https://sleepeace.com/

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