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おとなの補習時間 贈り物のマナー

入学、昇進、引っ越し、結婚、出産など、家族や友人、知人のライフイベントをお祝いするための贈り物は、自分と相手の距離を縮めてくれる大切なコミュニケーションツールのひとつ。せっかくの機会ですから、しっかり気持ちが伝わり、相手に喜んでもらえるプレゼントを贈りたいものです。今回はマナー研究家の住友淑恵さんに、渡す人も渡される人も心が通う贈答のマナーを教えてもらいました。

贈り物の心得

贈り物は相手に喜んでもらうために渡すものですが、贈り物のマナーを知らないと、かえって相手を困惑させることになりかねません。上手に贈り物ができると、相手との距離がさらに縮まったり、失敗をカバーできたりすることも。そのための5つの心得を見てみましょう。

心得1 相手の好みに合うものを贈る

自分の好みのものをあげて満足している人がいますが、それは贈り物ではなく、押しつけ。贈り物をするときは相手の好みや興味をリサーチして、その人が欲しいものをあげるのがマナーです。「欲しいものをちゃんと調べてくれた」「好みのものをわざわざ取り寄せてくれた」と思われ、好印象になるでしょう。


心得2 贈る方法にも気を配る

せっかく素敵なアイテムを選んでも、贈り方がぞんざいだと気持ちが伝わりません。例えば、きれいな風呂敷をほどいて、相手の目を見ながら「●●のお祝いです」と贈り物を手渡されるのと、紙袋のまま無言で机の上を滑らせるように渡されるのでは全く印象が異なるはずです。贈る方法にも、気を配りましょう。


心得3 贈るタイミングをはかる

贈るタイミングを間違えて失敗することもあります。基本的に「ビジネスは前」「プライベートは後」。例えば、差し入れや挨拶として贈り物を持っていく場合は、挨拶の際に渡したほうが「これからよろしくお願いします」という意味が込められます。逆に、例えばプライベートで送迎してもらう場合に先にお礼の品を渡すと「車で送迎してくれ」と訴えているようで、相手も気分を害してしまうかも……。また、恋人や配偶者への誕生日プレゼントやプロポーズ(婚約指輪)などの場合は、その場が盛り上がりのピークを迎えたときに贈るのがベスト。レストランのディナーならば、乾杯のときではなく、メインディッシュの後になります。


心得4 贈り物が自分のイメージになる

贈り物は自分の分身として印象を左右することになります。それが、出会いの場だとなおさら。安っぽいものや、ウケを狙って下品なものを贈ると、「へんなものをくれた人」として認識されてしまいます。逆に品のいいものを贈ると、「センスのある人」という印象になります。持ってもらいたいイメージで選ぶことは、贈り物の上級テクニックです。


心得5 何のための贈り物かを相手にわかるようにする

いわれのないものをもらうのは気がひけますし、お礼をすべきものなのか、そうでないかもわかりません。贈り物を渡すときは、言葉や熨斗(のし)紙、手紙で何のお祝いなのか、お礼なのかをわかるようにするのもマナーです。

シチュエーション別  贈り物のポイントと注意点

入学・進学祝い

学業のためのお祝いなので、がんばる気持ちを応援するものや、相手が興味のある分野のものを贈るのがよいでしょう。例えば小学校への入学祝いで、絵が好きな子ならクレヨンを、ピアノを習っている子なら楽譜をあげるなど。代表的な贈り物は、バッグ、お弁当箱、目覚まし時計、地球儀、地図があります。避けたほうがよいのは、制服やランドセル。こうしたものは、祖父母や親戚など身内が贈る可能性が高いからです。

中学生以上なら商品券も選択肢のひとつ。文具券のほか、音楽ギフト券、映画も見られるおもちゃ券などユニークなものもあります。ご祝儀(現金)の場合は、幼稚園児は5000円、小学生~大学生は5000~1万円が目安です。

入社祝い・昇進祝い

入社祝いや昇進祝いは、新たなステージで役立つもの、ステップアップを応援するもので、その人の好みのものを贈ります。一般的には、名刺入れ、財布、万年筆、ビジネス手帳など。カタログギフトを贈るのも、好みのものが選べる点でおすすめです。ご祝儀の場合は1万円が目安です。

新築祝い・引っ越し祝い

家に飾れるものや新生活に役立つもので、好みのものを贈ります。花が好きな人なら玄関におけるような花器、食器をコレクションしている人には好みの食器など。一般的には、観葉植物、時計、写真立て、クッション、照明があげられます。ちなみに、お祝いを受け取った人がお礼をする場合は、品物ではなく、自宅に招いて軽食を用意するのがよいでしょう。

火を連想させるものはタブー

キャンドルやストーブ、赤い絵や花など、火を連想させるものは一般的にタブーとされています。ただ、相手がそれを所望した場合は、「本来はマナー違反かもしれませんが、お好みのものですし、贈らせていただきます」と言葉を添えて贈りましょう。

開店・開業祝い

室内の備品や装飾として役立つもののほか、花輪を出したり、パーティーを行う場合には寿司や酒を持参するのもよいでしょう。一般的には、時計、茶器セット、観葉植物、絵画、コーヒーメーカーなどがあげられます。花輪の場合は、華やかさを添えられて贈られた側に箔がつきますし、自社の宣伝にもなります。最近は、バルーンなど変わった花輪もあるので、それを利用してもよいでしょう。観葉植物や胡蝶蘭も送り主の名前を付けるので、しばらくの間、目にしてもらえることになります。なお、ドライフラワーなど枯れたものや火を連想させるものはタブーとされています。

結婚祝い

結婚祝いはご祝儀をあげる人が多いですが、例えば3万円を包む予定の場合は、2万円をご祝儀にして1万円分を贈り物にしても構いません。注意しなくてはならないのは、結婚式に招待されている場合は、そのうちの1~1万5千円は食事代となってくるので、その分は現金にします。人生の晴れ舞台なので、思い切って高額なものをあげると印象に残ります。品物の場合は、エプロンやキッチン道具、絵など。

別れを意味するものはタブー

割れるもの、切れるもの、破れるものなどは別れをイメージさせるため、避けたほうがよいでしょう。例えば、ワイングラスや包丁などです。ただ、本人が欲しがっている場合は、それを断ってから贈りましょう。

出産祝い

赤ちゃんの成長を願って、赤ちゃんグッズをあげるのが一般的ですが、出産をがんばった証や育児をがんばってもらうために、ママにケアグッズやマザーバッグを贈ってもよいでしょう。赤ちゃんの衣類をあげる場合、生まれてすぐに使うものは、先方が用意していますし、みるみる成長するので、半年から1年後に着られるくらいのサイズのものにします。出産祝いをあげる時期は、出産後3週間から1カ月くらい。早すぎると産後で疲れていることもありますし、2~3カ月後では遅すぎます。ご祝儀の場合、親族は1~5万円、友人は5千円が目安。

出産祝いでも忘れてはいけないタブーが

祝儀袋で、結婚式用のものを利用するのはタブーとされています。出産は何度あってもいいものなので、水引きは結婚式用の結び切りではなく、蝶結びのものにするのがマナーです。また、贈り物としてパジャマを贈るのも、「寝付くもの」として縁起が悪いのでやめましょう。

手土産

自宅に訪問するときや仕事の差し入れとしての手土産は、希少価値の高いものや高級感のあるもの、わざわざ用意したと思ってもらえるものだとポイントが高くなります。お酒の好きな人に珍しいものをお取り寄せしたりすると喜ばれますし、自分の地元の名産品なら自己紹介にもなり、話がはずみます。逆に、訪問先の最寄駅の駅ビルで売っているようなものや、生もの、高価すぎるものはNG。食べ物にするなら、焼き菓子にするなど日持ちのするものにして、訪問先の家族や会社の人に食べてもらいやすいようにしましょう。

添え状のマナー

お祝いの手紙やお礼状を書くときのポイント

お祝いの手紙やお礼状を書くときのポイント

贈り物はプレゼント? 現金?

贈り物をするとき、品物にするかご祝儀(現金)や商品券にするか迷うことがあるでしょう。現金は物入りの時期には重宝されますし、好きなものを購入できるので、趣味に合わないものをあげてしまったという失敗は回避できます。一方で品物と違って印象に残らないというデメリットもあります。逆に、お礼やちょっとしたお祝いを現金にすると少額な印象を与えるので品物にするとよいでしょう。商品券やカタログギフトのようなものは、その中間といえますが、シャツ仕立券、おもちゃ券のようなものにすると変化がつけられます。

監修:住友淑恵さん

マナー研究家/日本でマナー評論家の第一人者である故・酒井美意子先生(加賀百万石前田家伯爵令嬢)の孫弟子として、和洋の正統マナーを習得。マナーのほか、カラーコーディネート、ヘアメイク、フラワーアレンジメントなどライフスタイル全般のディプロマを取得してきた。1999年よりサロンをスタートし、現在は、サロンでのレッスンのほか、企業での講演、社員研修など人材育成に関わっている。
http://celebstyle.co.jp/

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