トップページ > リサーチ隊[進化したカプセルトイのディープな世界]

今回の参加メンバー

  • 岡田 智佳子
  • 小泉 啓介
  • 上野 俊一

上野:カプセルトイって駄菓子屋とかおもちゃ屋さんの店頭にある印象ですけれど、今は専門店もあるんですよ。で、ここが店内に所狭しとカプセルトイが集う「秋葉原ガチャポン会館」! 開店して間もないのに、もう続々とお客さんが集まってきてますよ〜。

小泉:ものすごい数だなー! 全部で何台くらいあるんだろう?

店員さん:いらっしゃいませ! 当館では、懐かしの旧作から最新作まで約500台の販売機を揃えており、毎月50タイトルほど新作を入荷しています。時間を忘れて、楽しんでいってくださいね。

小泉:ひえ〜、500台も! まさにカプセルトイの聖地ですね。よし、さっそく何かやってみようか。

岡田:この癒し系の動物シリーズ、すっごく可愛い……。私はコレに決めた! お金を入れて、レバーを回して……っと。懐かしいなぁ、この感じ。

岡田:やった! 狙ってた犬のフィギュアが出てきた〜♪

店員さん:そのシリーズは、老若男女から愛される最近のヒット商品なんですよ。ほかには、小さいながらも完成度の高いリアリティを追求した「造形商品」が最近の人気傾向ですね。

小泉:本当だ。食品サンプルのストラップなんて本物そっくりだなぁ。むむ? いまいち用途が分からない「机とイス」のミニチュアや、「仏像コレクション」なんてのもあるぞ(笑)。ずいぶん多種多様な商品があるんだな。

岡田:昔は子ども向けだったけれど、最近は大人のファンが増えているわよね。価格も100円〜500円までと、幅広くなってきているみたいだし。

上野:ちょっと調べてみたんですけど、カプセルトイは1907年にアメリカで誕生したそうですね。もともとはガムの販売マシンとして子どもに人気で、日本に輸入されたのは今から約50年前なんだとか。

日本初のカプセル自動販売機が浅草に登場。当時は1回10円。
「キン肉マン」「ガンダム」シリーズが大ヒット。第一次ブームが巻き起こる。
省スペース化された新機種が普及。「ディズニー」や「ウルトラマン」シリーズのヒットで再び市場が活性化。
専門店が登場するなど、一時のブームを超えたカルチャーとして根付く。
「コップのフチ子」の大ヒット。いわゆる“大人ガチャ”に注目が集まり、人気が再燃。スマホと連動させて遊べるなど、デジタル型に進化した機種も登場。

小泉:そういえば、子どもの頃に「キン消し」が流行ったなー。あの頃は少年だった僕らが、大人になったいま再び夢中になれるなんて……歴史を感じるよ。

店員さん:最近は、アジアや欧米など海外から来てくださる方も多くなりましたね。みなさん好みの商品を見つけて楽しんでいらっしゃいますよ。だいたい一人で2000円くらい注ぎ込むお客さんが多いように感じます。

上野:(心の声)これだけお客さんが次々とやってくるんだから、相当な売り上げ金額になるんだろうな。カプセルトイ市場、なかなか侮れないぞ……。

岡田:もっとカプセルトイのことが知りたくなってきた……。いよいよ“あの会社”に潜入して、話を聞いてくるしかないようね!


大ヒット作「コップのフチ子」を代表に、個性的なカプセルトイを展開するメーカー「奇譚クラブ」。今年で10周年を迎えた同社は、クスッと笑える洒落のきいたフィギュアをはじめ、リアルすぎる食品や生物シリーズなど、ほかにはない商品でファンを魅了し続けています。


事務所にお邪魔してみると、謎すぎるゴリラのオブジェが玄関でお出迎え。……きっと、変な会社に違いありません!

広報のしきせいたさん。イベント時には「コップのシキ子さん」にも扮する名物広報です。

壁一面にはこれまでに発売したカプセルトイがずらり。過去10年間で約500シリーズ、3000種類もの商品が作られたそう。


「奇譚クラブ」は、なぜ大人向けのカプセルトイを展開しているんですか?

「うちは創設当初から、とことんリアリティにこだわったものを主力商品にしてきました。というのも、子ども向けのキャラクターものは他のメーカーが作っているので飽和状態。ならばと目をつけたのが大人向けの市場だったんです。じつはカプセルトイの商品には法的な規制が少なくて、本物の食品と、エログロ系のジャンルを除けば、おそらく何を作ってもいいんですよ。そこが面白いから、あえて他がやらないような自由で奇抜なモノにこだわっていますね」(しきさん・以下同)

アイディアが実際に商品化されるまでには、どんな過程が?

「月1の企画会議で、社員それぞれが思いついた数だけ案を持ち寄って発表しています。企画書は紙ペラ1枚にイラストを描いただけなんですが、そこで全員が『OK』を出せば商品化。インパクト勝負で、だいたい3秒くらいで決まりますね。社長も新人も関係なく、1人でも笑わない人がいればボツです。これで月に5アイテムほど決定しています」

「これぞ奇譚クラブ!」というような渾身のヒット作といえば?

「『コップのフチ子』に次ぐ人気商品が『土下座ストラップ』ですね。あと、携帯ストラップを使う人が少なくなり、代わりにスマホ関連で何か作れないかと思って誕生したのが『くいとめるニャー』です。吸盤でネコがスマホを支えてたら、面白いんじゃないかなと。一見ガラクタのようで意外と実用性があるところも、奇譚クラブらしさの一つだと考えています」

平均売上数6〜8万個のカプセルトイにおいて、累計販売数1000万個と異例の大ヒットを記録した「コップのフチ子」シリーズ。
「土下座ストラップ」と「くいとめるニャー」は、両シリーズとも累計300万個以上のヒット。
スマートフォンがすっぽり入る「スマホのおふとん」もメディアで話題に。

いつだって、判断基準は「売れるか」より「面白いか」どうか

正直、売れるか心配になる商品ってないんですか……?

「僕らは大マジメに作ってるんですが、『なんでこんなの作ったの?』と聞かれることは多いです。『定礎』なんてまさにそう。ビルの壁に埋め込まれたあの石ですからね。一応マグネットになっているので使い道はあるんですが、なぜ作ったと聞かれたら『だってオモロくないっすか?』としか言えない(笑)。もうね、社員が誰1人として疑ってないんですよ、自分たちの発想を。売れるかは分からないけど、とりあえず作っちゃおうぜ、と。

ただ、問屋さんからは『こんなの売れるわけないよ!』と信じてもらえないことが多いです(笑)。フチ子も最初はそうでしたし。ブームになったのは、SNSで拡散されたことがきっかけでした。カプセルトイはどの商品も広告を出していないので、いかに口コミで広めてもらえるかが重要なんです」

SNSを見た人は、カプセルトイでしか手に入らないと分かれば余計興味が湧きますよね。

「そうなんです。わざわざお店に足を運ばないといけない手間もガチャガチャの魅力だと思っていて。欲しいものが一発で出るとは限らないドキドキ感も含めて楽しんでほしいですし、お店に行けば、さらに面白いカプセルトイに出会えるかもしれません!」

おもちゃ屋や雑貨店などの市場調査はもちろん、日頃から異業種とのふれあいも欠かさないというしきさん。これも奇譚クラブらしい尖ったアイディアを生む秘訣だとか。
「ただのトマトとパン。本当にそれだけの商品です(笑)」。何のひねりもないことがかえって笑える、「たべられそうでたべられない」シリーズ。
ビルで見かける「定礎」もミニチュアに。使い道がなくても欲しくなる、完璧なクオリティ!
ちなみに、今までに「売れなかった」シリーズってあるんでしょうか?

「そりゃあもう。絶対ウケるだろうと思ったのにダメだったのが、『中国可愛的猫』。中国製のいびつな作りをあえて忠実に再現した自信作なんですが、見事にスベりました……。なんで売れなかったのかいまだに分かりませんし(笑)、逆に何を作れば確実に売れるのかも、誰も予想できないのがカプセルトイなんです」

「中国可愛的猫」の商品解説には「これは柔らかい猫です」と怪しい日本語。どこまでも中国っぽさにこだわります。

カプセルトイも「クールジャパン」のひとつである!

今後の注目作を教えてください!

「『PUTITTO 招き猫』シリーズですね。キャラクターをコップのフチに乗せられる『PUTITTO』シリーズの最新作で、愛嬌あふれるミニ招き猫のポーズや、リアルな造形にこだわりました。10月28日からリリースされるので、見つけたらぜひゲットしてほしいです!」

仕事の醍醐味を聞くと「電車の中で、自分たちの作ったストラップをつけている人を発見した時。かなり嬉しかったですね」としきさん。
海外からの観光客に向けた商品展開もあるんでしょうか?

「フチ子シリーズの日本ならではの格好をしたバージョンは作りたいとは考えていますね。そもそもカプセルトイって、日本だからこそ成功しているんですよ。海外だと機械ごと盗まれたり、破壊されたりする可能性が高いのでとても置いておくことができない。無人販売所や自販機と同じで、日本の治安のよさがあってのカルチャーであることも、海外に向けてアピールしていけたらいいですね」

こちらは、最近の人気作「♨WATCH」シリーズ。銭湯のコインロッカーの鍵と某社の腕時計をパロディにしたもので、人気商品のためすでに完売している店舗もあるとか……。本物さながらのクオリティの高さと、「4126(良い風呂)」「5963(ご苦労さん)」などの遊び心に、調査隊員たちのテンションも上がります!

岡田:いや〜、どこまでも遊び心を忘れない「奇譚クラブ」さんの情熱には胸が熱くなりました。

小泉:これからは街でカプセルトイを見かけるたびに、思わず足を止めてしまいそうだな。

上野:2020年には大勢の外国人観光客が東京に来るだろうし、ますます注目されそうですね。

岡田:アメリカで生まれたカプセルトイが日本独自のカルチャーとして広がりを見せ、尖ったアイディアと高いクオリティによって唯一無二の商品を生み出していく……。ガラパゴス化を遂げたカプセルトイ界から、今後も目が離せないわっ!

(取材先情報)
秋葉原ガチャポン会館 東京都千代田区外神田3-15-5
奇譚クラブ 東京都渋谷区恵比寿2-14-7 http://kitan.jp

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