欧米でよく行われているホームパーティーを開く機会が、日本でも増えてきました。ホームパーティーは、単にお宅を訪問するのと違って、その場に合わせたマナーも必要です。今回は、友人や上司にホームパーティーに招かれたときのマナーについて、マナーデザイナーの岩下宣子さんにお話を聞きました。
子どもを預けられない! 一緒に連れていってもいい?
主催者との関係性によります。
子どもを連れていってもいいかどうかは、主催者との親しさや関係性にもよります。友人の場合は、お互いの状況をわかっているので、可能な場合が多いと思われます。知人の場合は、相手によっては家を汚されたくない・騒がれたくないと思う人もいるでしょう。いずれにせよ、お伺いを立てましょう。
可能だった場合でも、子どもが訪問先の家を汚さないようにシートを用意したり、1人で遊べるように絵本やおもちゃを用意し、相手に迷惑をかけないようにお菓子やストローを持参するのがマナーです。上司の家の場合は、子どもを連れていくのは考えもの。また、欧米では、子どもはシッターに預け、大人同士の会話を楽しむ文化があるので、子どもを連れていくのはご法度とされています。外国人の友人に招かれた場合も連れていくのは避けましょう。

マイカーやタクシーで訪れたいときのマナーは?
迷惑をかけたり悪印象を与えないように注意
マイカーで行くときは、近くに駐車場があるかどうかを尋ねるのがマナーです。訪問先のお宅の駐車場を借りる前提で行くのは避け、「うちの駐車場を使ってください」と言われたときだけ、利用させてもらいます。タクシーで行く場合は、自宅の前に乗り付けるのは、偉そうな印象を与えかねないため、手前で降りて少し歩いて向かいましょう。

ご自宅にはどんな服装で行くのが正解?
テーマに合わせるのが◎
ホームパーティーには、どんな人が来るか、どんな目的で行うかというテーマがあるものですから、それに合わせて服装も考えます。初めて招かれてわからない場合は、主催者に聞いてみましょう。ただ、基本的に服装は相手を立てるという意味合いがあるので、あまりにカジュアルでラフな服装は避けたほうがベター。また、和室の場合もあるので、膝上のスカートもやめたほうがよいでしょう。

手土産にはどんなものを持っていったらいい?
相手が喜ぶかどうかを第一に
手土産は相手が喜ぶかどうかを判断基準にするとよいでしょう。その場でみんなが食べたり飲んだりできるシャンパンやフルーツ、ケーキを選ぶのも1つの手段です。惣菜の場合は、主催者が自宅で用意した料理よりも評価が高くなると顔をつぶしてしまうことになるので、手作りではなく市販のものにします。またホームパーティーの場合、主催者は花を用意するものなので、それを助ける意味でも花を事前に宅送する方法もあります。もちろん、主催者には事前に花を送ることを伝えておきましょう。

料理やお酒を持ち寄るポットラックパーティーのマナーとは?
主催者側としっかり相談すること
主催者側でどんなものを持ってきてほしいかを伝えるのが一般的です。友人であれば、自分の得意料理をわかってもらえているでしょうから、「○○ちゃんの餃子は絶品だから、それ食べたいな」などと伝えられることもあると思います。主催者から伝えられていない場合は、前菜やサラダ、パンやごはん、デザートなどのうち、どれがいいかを聞いてみるとよいでしょう。

集合時間ぴったりに訪問するのは失礼?
時間ぴったりに行くほうがベター
通常、個人宅を訪問するときは5分遅れで行くのがルールとされています。しかし、ホームパーティーの場合、主催者は集合時間に合わせて肉の焼き上がり時間などの支度を整えることが多いようです。時間ぴったりに行くのがマナーといえるでしょう。

訪問時の挨拶で気をつけたいことは?
手土産を渡すタイミングに注意
玄関に通していただいたら、「今日はお招きありがとうございます」と挨拶をします。このときすみやかに手土産を渡しましょう。みんなの前で手土産を渡すと、万一自分よりも見劣りするものを持ってきた人に気を使わせることになってしまいます。部屋に案内されたら、和室の場合は立っている人よりも座っている人のほうが立場が下になりますので、座って挨拶をします。逆に洋室の場合は、座っている人よりも立っている人のほうが立場が下になりますので、立って挨拶をするのがマナーです。

手伝いや片付けはするべき?
主催者の負担を減らすことを念頭に
ホームパーティーの準備や片付けは主催者にとって大変な負担です。はじめから手伝うつもりでエプロンを持っていくのがよいでしょう。「洗い物をしましょうか?」など、具体的な方法を提案してみるとよいでしょう。ただし、他人に台所に入られたくないという人もいます。2回ほど申し出て断られるようなら、本当に台所に入ってほしくないということなので、その場合は、ほかの手伝いを申し出るなどしましょう。

パーティーを切り上げるときはどうしたらよい?
ゲスト側から提案するとよいでしょう
ホームパーティーのお開きの合図を主催者側からは言いにくいものです。ゲストは、2~3時間の滞在時間を目安に切り上げる提案をするとよいでしょう。「もうこんな時間なんだ。気にならないくらい楽しかった。そろそろ失礼させていただくね」など、楽しかったという言葉を添えるのもマナーです。

ホームパーティーの様子をSNSにアップしてもよい?
主催者に断りを入れてから
ホームパーティーの様子を投稿するときは、主催者に断りを入れてから行いましょう。投稿の許可をもらった場合でも、位置情報を消去するなどプライバシー設定を確認するのがルール。自宅の様子が写り込むことになるので、写真も確認してもらってからにしましょう。

ホストになるときは、招待するゲストの気持ちになって、どうしたらくつろいでもらえるかを考えるとよいでしょう。ゲストとして呼ばれたときのことを思い出して、アルコールが苦手な人にはソフトドリンクを用意したり、ドリンクがなくなっていたら注いだり、目配り・気配りは欠かせません。また、部屋もホームパーティーに合わせて“ウェルカム”を伝える雰囲気にしておくことが大切。クリスマス前ならリースで季節感を出したり、夏であれば、打ち水をしたり水盤を用意して涼しさを演出するのもよいでしょう。みんなが集まるテーブルの真ん中には、花やフルーツのセンターピースを飾ると◎。このとき花は、視線をさえぎらないように高くしないのがルールです。

監修:岩下宣子さん
マナーデザイナー/現代礼法研究所主宰
1984年に現代礼法研究所を設立。公共団体、商工会議所、企業、学校などでマナーの研修や指導、講演を行う。『この1冊ですべてがわかる! 冠婚葬祭マナーの新事典』(朝日新聞出版)ほか著書多数。
www.gendai-reihou.com/

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