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おとなの補習時間 家庭の応急処置の“新常識”

ひと昔前まで、切り傷や擦り傷は消毒液で処置することが一般的でしたが、現在は別の治療法が常識となってきているといいます。変化する治療法、そして間違った思い込みで怪我や病気を悪化させてしまわないように、改めて正しい応急処置を学んでおきたいところ。日本赤十字社医療センターの加藤啓一先生に、家庭でできる応急処置の新常識を伺いました。

軽い切り傷や擦り傷

軽い切り傷や擦り傷は、かつては傷口を消毒し、乾燥させてかさぶたをつくって治すのが常識でした。しかし現在は、体から出る浸出液をうまく使って再生を促す湿潤療法(モイストヒーリング)が主流。自然治癒力を利用することで、早くきれいに治すことができるといわれています。

【手当の手順】

  • 1.水道水で傷口とその周辺をよく洗う
  • 2.清潔なタオルなどで水気をふき取る
  • 3.湿潤療法専用のばんそうこう、またはワセリン+ラップで
     傷が乾燥しないように保護する

こんなときは病院へ!

●傷が深い、大きい ●出血量が多く、出血が止まらない ●犬や猫、動物などによる噛み傷やひっかき傷 ●傷口に砂や小石、ガラスが入ってしまって取れない ●痛みが続く ●顔の傷 ●化膿している(においのある液体が出る)

軽いやけど

やけどはすぐに流水などで冷やし、熱エネルギーによる悪化を防ぐのが応急処置のポイントです。ただし、冷やしすぎると低体温を招くことがあるので10分間を目安にしましょう。また、水ぶくれの中にある水分は浸出液といって再生を促すものですから、つぶさずにそのままにしておきましょう。

【手当の手順】

  • 1.痛みが和らぐまで、すぐに流水で冷やす
  • 2.冷水で冷やしたタオルを患部に当て、その上から氷のうなどで冷やし続ける
  • 3.水ぶくれは厚めのガーゼなどで覆って保護する

こんなときは病院へ!

●広範囲のやけど ●痛みが長く続く ●顔や局部のやけど ●化膿している
●化学薬品によるやけど ●大きな水ぶくれができている

頭を打ってこぶができた

頭部を打つと血の行き場がないため、皮膚が盛り上がってこぶができます。この場合に有効なのが圧迫止血です。もし、氷や保冷剤があれば、冷やしながら圧迫止血するとなおよいでしょう。

【手当の手順】

  • 1.痛みがあれば、ラクな姿勢を取った状態で、頭部を冷やす
  • 2.患部を手で押さえて圧迫しながら安静にする

こんなときは病院へ!

●脳震とうが起きた、意識がない ●傷を伴いそれが大きい ●激しい痛みがある●嘔吐を伴う ●けいれんしている ●鼻や耳から出血もしくは液体が出ている ●手足を動かしにくい

鼻血が出た

血が垂れないように上を向いたり、ティッシュを詰めて血が止まるのを待ったりしがちですが、鼻血は、鼻中隔(左右の鼻のしきり)の前方からの出血。鼻血を止めるには圧迫止血が有効ですから、鼻をつまむのが治療のポイントです。上を向くと鼻血が喉に流れてしまう恐れがあるため、まず下を向きましょう。

【手当の手順】

  • 1.座って軽く下を向く
  • 2.鼻をつまんで、3~5分間、強く圧迫する
  • 3.安静にして、濡らしたタオルなどで冷やす

こんなときは病院へ!

●頭を打った後に鼻血が出た ●ぐったりしている ●意識が低下している ●鼻や頭が痛い ●出血がなかなか止まらない ●繰り返し出血する

風邪のひきはじめ

風邪をひいたらお風呂に入らないという人も少なくありませんが、入浴していけないのは高熱を伴うときだけ。風邪は、ウイルスによる鼻粘膜や喉粘膜のダメージから始まります。乾燥に弱い粘膜を潤す入浴は有効です。また、放っておけば治るだろうと普段通りの生活を送ってしまうこともありますが、身体を休めて市販薬を服用して様子をみるのがよいでしょう。

こんなときは病院へ!

●高熱がある ●風邪が長引いて治らない ●風邪以外に疑わしい病気がある

捻挫や突き指

捻挫や突き指をしたら、患部をひっぱったりして痛みを抑えようとするのはNG。1.安静にする(Rest)、2.冷やす(Ice)、3.圧迫して固定(Compression)、4.心臓より高く上げる(Elevation)ことが基本です。頭文字と手順から「RICE(ライス)」と覚えておきましょう。骨折などの可能性があって病院に行く場合も、RICEをしながら向かいましょう。

【手当の手順】

  • 1.足首の捻挫は、スポンジなどを患部に当て包帯などで固定する
     突き指は、突き指した指を、となりの指と一緒にテープで固定する
  • 2.固定した上から氷のうなどで冷やす
  • 3.座ったり寝たりして、患部の手足を心臓より高い位置にかかげる

こんなときは病院へ!

●痛みが強い、痛みが続く ●腫れがひどい ●出血を伴っている ●変形してきた ●皮膚の色が変わってきた ●指が動かせない

熱中症の疑いがある

めまいや失神、筋肉痛、頭痛、吐き気、だるさ、大量の発汗がみられたら、熱中症の疑いがあります。その場合は、早急に体温を下げる必要があります。すぐに涼しい場所に移動し、経口補水液を飲み、体を冷やしましょう。自分で水分がとれない場合は、近くにいる人が水をかけるなどして救急車の到着を待ちます。

【手当の手順】

  • 1.クーラーのきいた室内や日陰など涼しい場所に移動し、
     衣服をゆるめて風通しをよくする
  • 2.吐き気がなければ経口補水液や塩分の入ったスポーツドリンクなどを飲む

こんなときは病院へ!

●異常行動、幻覚、錯乱、興奮している ●けいれんしている ●意識がない ●高体温 ●発汗がみられない ●自分で水分がとれない

蚊やハチによる虫刺され、毛虫によるかぶれ

虫や毛虫に刺されたら、かゆみを伴ったり、かぶれたりします。かゆいからといってかきむしってはダメ。まずは、毛や針を除去した後、水でよく洗い流し、市販薬を塗りましょう。

【手当の手順】

  • 1.必ず手袋を着用した手で、毛抜き、セロハンテープなどを使い、
     毒毛や毒針を抜き取る
  • 2.抗ヒスタミン剤、ステロイド含有軟膏などの市販薬を塗る

こんなときは病院へ!

●以前にもハチに刺されたことがある ●皮膚の症状(腫れ、発赤、水疱)がひろがってきた ●熱が出た ●症状が長引いている ●エピペンを使用した ●かゆみ、痛みが強い

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怪我をしたときや持病が悪化したときに備えて、自宅の救急セットはきちんと揃えておきたいもの。以下のようなアイテムは必ず常備しておきましょう。

●ピンセット
●脱脂綿
●滅菌ガーゼ
●消毒薬
●保湿用軟膏(ワセリンなど)
●抗生物質含有軟膏
●ばんそうこう
●伸縮性包帯・ネット包帯
●固定用テープ
●三角巾
●抗ヒスタミン剤、ステロイド含有軟膏(かゆみ止め)
●安全ピン
●毛抜き・耳かき
●綿棒
●爪切り
●虫めがね
●氷のう・氷まくら
●体温計
●カッターナイフ
●はさみ
●懐中電灯

監修:加藤 啓一 さん

日本赤十字社医療センター副院長・麻酔科部長、医学博士/1980年、群馬大学医学部医学科卒業。麻酔科医として治療や指導に当たるとともに、日本赤十字社の活動として応急手当や救急法等の啓発を行う。『養護教諭のための救急処置』『いざというときのための応急手当ミニハンドブック』など書籍の監修も行っている。

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