トップページ > 特集 vol.36 日本の城はものづくりの結晶

日本の城はものづくりの結晶

城のなかでもっとも目を引く天守。いま、私たちが目にする天守のなかには、昭和の時代に新築されたものもあるのだとか。日本の城づくり、後半は天守や城下町の秘密、そしていま注目の “あの城”の修理にまつわる驚きの事実も!

天守に殿様は住んでいなかった?

 武器や兵糧の貯蔵庫であり有事の際の防衛拠点となる櫓、そして城の最終防衛拠点である天守などの建築作業は「作事(さくじ)」と呼ばれていました。
 信長の安土城のような豪華絢爛な天守は攻撃の対象になりやすく、防衛という観点からは実用性の低いもの。なぜこうした天守が登場したのかといえば、城主の力を誇示する“権力の象徴”として、さらに領民や武士たちを鼓舞するシンボルとして影響力があったからといえそうです。城のなかでもっとも高く、見晴らしの良い場所だけに、「あの中で殿様は優雅に暮らしていたんだろう」と思ってしまいがちですが、実は天守で暮らしていた城主は、信長ただ一人だったという話も。
 では、ほかの城主はどこで生活していたのかといえば、「御殿」と呼ばれる平屋の建物でした。御殿は城主の公邸と私邸を兼ねた場所で、居間、寝間、台所をはじめ、女中の住居や藩政に携わる役人の職場、庭園なども設けられていました。有力大名となると三千坪もの敷地が必要で、天守がある本丸には十分なスペースが取れず、本丸に次ぐ二の丸、三の丸といった区画に設けられることも少なくなかったのだとか。

天守がない城に“天守を新築”!?

 いま、私たちが目にする城の天守の多くは、昭和以降に再建・建造された“古くて新しい天守”。明治時代の存廃城令などの影響で失われていた天守の再建は、昭和天皇の即位を記念して1931(昭和6)年に再建された大阪城天守がその走りといわれています。その後、太平洋戦争で多くの天守が焼失しましたが、高度成長期には天守再建ブームが起こり、もともと天守が存在しなかった城にまで天守が“新築”されることもあったそう。また、ほとんどの城はコンクリートで再建・新築されていましたが、近年は外観から内部まで含めて、可能な限り木造で正確に復元するケースが増えているといいます。

再建天守もいろいろあります!

復元天守……木造、鉄骨鉄筋コンクリート造りなどで、資料をもとにできるだけ忠実に再建した天守

復興天守……もともと天守のあった城に、外観は違えど建てられた天守

模擬天守……はじめから天守のなかった城に建てられたり、天守があった場所とは異なるところに再建されたもの

城下町は有事の際の防衛拠点

 城とは切っても切れないのが城下町です。城下町は重要な防衛拠点ですから、自然に人が集まり形成されるものではなく、城の設計である縄張同様、「町割(まちわり)」と呼ばれる都市計画が立てられていました。道筋を丁字形や鉤(かぎ)形にして入り組ませることで敵の侵攻を妨げたり、寺院を有事の際の“要塞”として活用するため、城下に集中させるなどの戦略も取られていたんです。
 意外なのが、城の近郊に設けられることの多かった大名庭園にも、防衛上の役割があったこと。庭園が城に隣接している場合は本城を守る出城となったほか、庭園に設けられた池で水を確保したり、薬草や矢に用いる竹、たいまつに使える松などの栽培も行われていたといいます。

1万5000人もの職員を動員した平成の大修理

 では、最後にいま注目の城にまつわる“城づくり”の話を。近ごろ一番注目を集めているのは、昨年に大天守の修理工事を終えた姫路城ではないでしょうか。姫路城は1964(昭和39)年に昭和の大修理と呼ばれる大規模な解体工事が完了しましたが、日本初の世界文化遺産に登録されたことをきっかけに、屋根瓦の葺き直しや外壁の補修などを目的とした6年がかりの修理が行われたんです。
 いまでは「白鷺城(はくろじょう)」の異名にふさわしい美しい天守を楽しむことができますが、漆喰の塗り直しひとつをとっても、漆喰の配合実験が繰り返し行われ、実際に漆喰を塗る際には100種類以上もの鏝(こて)を使い分けていたのだそう。工事全体としては、延べ1万5000人もの職人が動員された、まさに平成の大修理だったんです。

名古屋城が修理中!

 現在、名古屋城で進められているのが本丸御殿の復元工事。空襲で焼失した本丸御殿は1980年代から調査がはじまり、2008年から3期10年、総事業費約150億円をかけて、旧来の材料・工法による旧状再建が図られているんです。玄関や表書院などの復元工事はすでに終わり、2016年度には対面所や孔雀之間などが復元・公開される予定なのだそう。日本史上最高の格式ともいわれる名古屋城の本丸御殿、2018年の全体公開が待ち遠しいですね!


 昨年には、国内城跡の天守としては63年ぶりに松江城天守が国宝に指定され、城めぐりを楽しむ人もより増えていきそうです。日本のものづくり精神の結晶ともいえる城、匠たちの想いを感じるために足を運んでみてはいかがでしょう?

参考文献(順不同) 中山良昭 編著『図解 日本の城』(西東社)、三浦正幸『城のつくり方図典』(小学館)、『“復元”名城完全ガイド』(イカロス出版) ほか

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