トップページ > 特集 vol.33 心を揺さぶる大相撲

心を揺さぶる大相撲

横綱・日馬富士の2年ぶり7度目の優勝で幕を閉じた大相撲11月場所。故・北の湖理事長が貫いた“土俵の充実”に応えようと熱戦を繰り広げる力士たち、そして日本相撲協会によるユニークな施策の数々も功を奏し、相撲界は新たな盛り上がりを見せているようです。今月の「Trace」は、私たちの心を揺さぶり続ける大相撲の特集です!

1300年の歴史を持つ相撲

 まずは相撲のルーツのお話から。相撲の原型は古事記や日本書紀で神話として伝えられており、1300年以上の歴史があるといわれています。現在の大相撲のように、プロによる“職業相撲”が誕生したのは平安から鎌倉時代にかけてのこと。寺社の祭礼のひとつとして相撲が行われるようになり、力士たちはプロとして世渡りするようになるのです。
 江戸時代のなかごろになると相撲興行が定期的に催されるようになり、各地から大小さまざまな相撲集団が集い、年4回の本場所を開催する大相撲の仕組みが形成されます。当時は江戸で2回、京都と大阪で1回ずつの本場所が開催されていましたが、屋外での興行だったため、雨による中断で、本場所が1カ月を超えてしまうこともあったのだとか!

無敵の横綱敗北に火鉢が飛んだ!?

 現役横綱の白鵬が大鵬とともに「憧れの横綱」として挙げる力士が、昭和の角聖として知られる双葉山。双葉山は関脇だった昭和11(1936)年5月場所から無敗のまま4場所を制し、横綱に昇進。昭和14(1939)年1月場所4日目で前頭三枚目の安芸ノ海に敗れるまで、前人未踏の69連勝という大記録を打ち立てた不世出の大横綱です。
 双葉山に約3年ぶりに土が付いたこの一戦では、土俵には座布団はもちろんのこと、火鉢まで投げ込まれるほど国技館は騒然となったそう! 日中戦争の悪化から、力士が続々と戦地へ向かう時代でしたが相撲人気は急騰し続け、同年5月場所からは興行が2日間延長され、現在のような15日制となったのです。

視聴率52.1%、666日間の満員御礼記録も!

 ルーツを振り返ったところで、近年の相撲ブームもおさらいしてみましょう。今回は読者のみなさんにもなじみがありそうな、1980年代以降の相撲ブームを中心にご紹介!

昭和56(1981)年 ウルフフィーバーが最高潮に!

 甘いマスクとスピード感ある“速攻相撲”で人気を集めていた関脇千代の富士が、昭和56(1981)年1月場所千秋楽で横綱北の湖を破って初優勝を果たし、日本中がウルフフィーバーに沸きました。テレビ中継の視聴率52.1%、瞬間最高視聴率65.3%という記録は、現在も破られていないほど! その後、大関となった千代の富士は、同年7月場所でも北の湖との直接対決を制し横綱に昇進。人気は頂点に達します。


平成4(1992)年 貴花田の初優勝で若貴ブーム本格化!

 国民的人気を博した大関貴ノ花の息子として、入門当時からマスコミの注目を集めていた兄弟力士の若花田と貴花田。この年は弟の貴花田が19歳5カ月で初優勝を果たし、父子優勝という相撲界初の快挙を成し遂げるなど、“若貴人気”に拍車がかかった1年でもあります。空前の相撲ブームに沸いていた当時は、平成元(1989)年11月場所11日目から続く“満員御礼連続記録”の真っただ中。これは平成9(1997)年5月場所2日目まで666日間も続いたほどでした。ちなみに、若貴と同期で入門しているのは曙。3人とも昭和63年3月場所でデビューし、魁皇らとともに「花の六三組」と呼ばれていました。


平成26(2014)年 スージョ急増で従来にない盛り上がりも?

 しばらく低迷していた相撲人気が復活するのはこの年あたりから。遠藤や逸ノ城といった次世代を担う力士たちの活躍が目立つようになり、力士個人に焦点を当てたり、相撲を日本酒や落語、歌舞伎のように日本の伝統文化として楽しんだりすることが増えているようです。また、相撲好き女子=“スージョ”が急増し、千代丸や舛ノ山といった愛嬌のあるアンコ型力士を“癒やし系”と呼ぶなど、従来にはない盛り上がり方も。伝統を重んじる日本相撲協会もSNSを活用し、和装dayや親方や行司との撮影会を開催するなど、裾野を広げる交流にも力を入れているんです!

データで楽しむ大相撲

 十代の若手力士が格上の力士に好勝負を演じたり、ベテラン勢が前人未踏の快挙を達成するなど、数々の大記録が生まれるのも大相撲の面白さ。数字から浮かび上がる、相撲の魅力を見ていきましょう。

優勝回数、前人未踏の快挙は続く?

力士の強さといえば、優勝回数の多さがその指針のひとつとなるのではないでしょうか。では、優勝制度が始まった明治42(1909)年から平成27(2015)年11月場所までの優勝回数トップ5は?

最多優勝記録は現役横綱の白鵬。先日の11月場所では日馬富士に賜杯を譲りましたが、幕内51場所連続2桁勝利、横綱連続出場722回など、歴代1位記録を多数持つ平成の大横綱。来年の活躍に期待したいですね!


いまだ破られない最年少優勝記録!

上でもご紹介した通り、最年少優勝記録は平成4(1992)年1月場所で優勝した貴花田(当時。のちの貴乃花)の19歳5カ月。元大関・貴ノ花との父子優勝も相撲界初の快挙でした。

ちなみに、最年長優勝記録は今年の7月場所で引退した旭天鵬の37歳8カ月。旭天鵬は60年ぶりとなる40歳の幕内力士として活躍し、魁皇の記録を抜いて幕内最多出場記録を更新。最終的には通算1470回の出場記録を打ち立てた“角界のレジェンド”でもあります。


北の大地が横綱をもっとも多く輩出!

横綱をもっとも多く輩出している地域をみると、1位は北海道の8人。北の大地は、大鵬をはじめ、北の湖や千代の富士ら昭和の名横綱を育んだのです。

朝青龍、白鵬、日馬富士、そして鶴竜と、近年の横綱はすべてモンゴル出身。次なる横綱は、どの地域から生まれるのでしょうか!


金星獲得数、最も多い力士は?

金星とは、平幕(※)の力士が横綱から勝利すること。力士の憧れである横綱を倒すという名誉を一番獲得している力士を見ると……
※ 幕内力士のなかで、横綱と大関・関脇・小結の三役を除いた力士のこと

元関脇・安芸乃島は、新入幕からわずか半年後の昭和63(1988)年9月場所で横綱・大乃国から初金星を得ると、千代の富士、北勝海、旭富士、曙、武蔵丸ら、対戦したすべての横綱から金星を獲得するという勝負強さを発揮。全16の金星は、平成11(1999)年以来塗り替えられていない大記録なんです!

相撲ジャーナリスト・荒井太郎さん厳選!一度は見ておきたい名勝負

 大相撲の世界を深く楽しむなら、相撲ファンの語り草となっていたり、時代を動かした名勝負も知っておきたいところ。そこで、相撲ジャーナリストの荒井太郎さんに、一度は見ておきたい熱戦の数々を厳選していただきました!

昭和50年3月場所 優勝決定戦 ○大関貴ノ花 — ●横綱北の湖

“角界のプリンス”として国民的人気を誇りながらも、優勝に恵まれなかった大関貴ノ花(初代)。一方、強すぎるが故に“憎まれ役”ともなっていた横綱北の湖との優勝決定戦。勝負は頭をつけた貴ノ花が左四つから右上手を浅く引きつけ、北の湖を寄り切って初優勝を果たします。テレビ中継の視聴率は50.6%と当時の過去最高を記録。歴代1位といえるほど座布団が飛び交う熱狂ぶりでした。


平成3年5月場所 1日目 ○前頭貴花田 — ●横綱千代の富士

貴貴花田は当時18歳9カ月の前頭筆頭。対する千代の富士は前年3月場所で当時前人未踏だった通算1000勝を達成し、優勝回数も31回という大横綱。場所の初日、横綱は小結と対戦するのが通例ですが、若武者として国民が注目していた貴花田をあえて協会はぶつけたのでしょう。戦前の予想は「貴花田がどこまで善戦するか」というものでしたが、一方的に攻めた貴花田が千代の富士を寄り切りで下し、史上最年少金星を手にします。千代の富士はこれで引退の決意を固めたと言うほど世代交代がハッキリした取組で、この頃から本格的な若貴ブームが始まります。


平成13年5月場所 優勝決定戦 ○横綱貴乃花 — ●横綱武蔵丸

小泉純一郎首相(当時)に「感動したっ!」と言わしめた取組。横綱貴乃花は前日の武双山戦で右ひざ亜脱臼の重傷を負い、休場濃厚と見られたなかでの強行出場。本割の横綱武蔵丸戦ではあっけなく敗れ、2敗の両者は優勝決定戦で対戦することとなりますが、ひざの具合は悪化する一方で、親方から棄権しろといわれるほどだったとか。しかし決定戦に臨んだ貴乃花は武蔵丸を上手投げで下し、22回目の優勝を達成。「すべてがダメになっても仕方がないと思った」と本人が語るほどの熱戦、そして底知れぬ精神力や執念に多くの相撲ファンが感動しました。


上でご紹介した名勝負の数々には、心を揺さぶられたという方も少なくないのでは? 次ページでは大相撲のトリビアはもちろん、荒井さんに来年初場所の見所を語っていただきました!

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