トップページ > 特集 vol.26 時代の最先端に立つアナウンサー

時代の最先端に立つアナウンサー

2015年は日本初のラジオ開局から90年。それは日本におけるアナウンサーの歴史でもあります。常に時代の最先端に立ち、世の中の動きを伝え続けてきた放送のプロフェッショナル。今回の「Trace」では、そんなアナウンサーの知られざる活躍に迫ります!

アナウンサーとニュースキャスターの違いは?

 そもそも「アナウンサー」とはどんな職業なのでしょう? ニュース番組を視聴していると、「アナウンサー」のほかにも「ニュースキャスター」と呼ばれる出演者がいて、その違いに疑問を持ったことがある人もいるのではないでしょうか。似ているようで異なる両者の違いをまずはチェック!

 アナウンサーは“職種”を指し、ニュースキャスターは番組の中での“ひとつの役割”を指していると考えるとわかりやすいものの、日本では厳密な使い分けがされていない場合も多いようです。ちなみに「ニュースキャスター」は和製英語。例えばアメリカでは、ニュースキャスターの役割の人を、「アンカー」「アンカーパーソン」と呼んでいます。

「口上言いの先生」と呼ばれたアナウンサー

 冒頭でもご紹介した通り、日本初のアナウンサーが誕生したのは、いまから90年前の1925年。世界初の商業放送局がアメリカで誕生してから5年後、東京放送局(現在のNHKラジオ第一放送)が日本初のラジオ放送を開始したときにさかのぼります。
 1925年3月22日午前9時30分。「JOAK、JOAK、こちらは東京放送局であります」という第一声を発したのは、東京日日新聞社で運動部の記者を務めていた京田武男氏。当時のアナウンサーの前職は、新聞社や教師、株の専門家や、女性の場合はレコード歌手など多彩だったようです。世間では新しい職業であるアナウンサーに馴染みがなく、アナウンサーは「口上言いの先生」と呼びかけられることもあったのだとか!

スポーツアナの実況がレコードに!

 テレビやラジオのスポーツ中継は、アナウンサーの熱のこもった実況も楽しみのひとつ! ラジオ黎明期のスポーツ中継を支えた一人、東京放送局の松内則三氏の実況は、なんとレコード化までされているんです。
 昭和初期の東京六大学野球、なかでも早慶戦の中継は大人気で、電器店の店頭にはたくさんの人だかりができました。松内氏は「夕闇せまった神宮球場、息づまる如き6万の観衆はみな沈黙——」などと情景描写あふれるアナウンスで聴衆を惹き付け、1930〜31年には、彼による早慶戦の架空実況(スタジオ録音の実況)がレコード化されるほどだったそう。
 ちなみに、1936年のベルリンオリンピック・女子200メートル平泳ぎで、ドイツ人選手との接戦の末、見事日本人女子初の金メダリストに輝いた前畑秀子選手の試合実況もレコードで残されています。アナウンサーは河西三省氏。「前畑がんばれ!」と連呼した河西氏の実況は日本中を熱狂させ、いまでも日本放送史に残る名実況として語り継がれています。

幻に消えた? 名古屋ことばの民放アナウンス

 1951年は日本の民間放送の幕開けの年。同年9月1日から、日本初の民間ラジオ放送局である中部日本放送、そして大阪の新日本放送(現在の毎日放送)が本放送をスタートし、民放のアナウンサーが誕生します。
 待望の民間放送だったこともあり、例えば中部日本放送では「名古屋ことばによるアナウンス」を行うことも議論されたそうですが、それはあえなく却下されてしまったのだとか……。ローカルの放送といえども、当時は方言を使ったアナウンスにまだ馴染みがなかったようですね。

女性アナウンサーに見とれて列車が遅延!?

 ニュース番組にワイドショー、バラエティ番組まで、テレビやラジオに欠かすことのできない女性アナウンサー。女性アナウンサーはラジオ開局時からいましたが、男性アナウンサーに比べればまだ珍しい存在。歳末の上野駅の模様を中継していた女性アナウンサーに運転士が見とれて、列車の発車が遅れてしまうという珍事もあったそう!
 テレビの時代になっても、女性アナウンサーの活躍の場は料理や芸術などの教養や、芸能関係の番組に限られることが多かったようです。彼女たちがニュース番組などに登場し、活躍の場を広げ始めるのは、1960年代に入ってからとのことです。
 そして、本格的な女性アナウンサーの時代が到来したのは、1970年代の半ば頃から。楠田枝里子さん(日本テレビ)、田丸美寿々さん(フジテレビ)、吉川美代子さん(TBS)、中里雅子さん(テレビ朝日)らが民放各局に入社。ニュース番組などで自分の意見を積極的に述べる彼女たちは、女性アナウンサーの知的なイメージ形成に影響を与えました。

スタジオから現場へ 拡大するアナウンサーの職域

 現在ではスタジオを飛び出して、事件や事故、災害の現場から生中継でレポートするアナウンサーは珍しくありませんが、彼らの活躍はフィルムからビデオへと放送機器の技術革新が進み、生中継や録画が簡便にできるようになった1980年代以降に、特に顕著になりました。
 2011年の東日本大震災では、キー局、ローカル局を問わず、全国各地のアナウンサーが東北などの被災地に入り、現地の状況や、どんな物資が足りていて不足しているのかなどを逐一レポートしました。言葉のプロとして、スタジオの中からわかりやすくニュースを伝えるというアナウンサー本来の使命はもちろん、現場の情景を的確に伝える表現力やジャーナリスティックな視点、そして人々と寄り添う人間力も、アナウンサーに求められる時代になっているのです。


正しい言語の表現者であり、よりマルチな活躍を期待されているアナウンサー。次ページでは、アナウンサーにまつわるトリビアをご紹介します!

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吉川美代子さんスペシャルインタビュー

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