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おとなの補習時間 誰でもできる片づけメソッド

家や仕事場が散らかっていると気分が滅入ってしまいますが、いざ「片づけ」となると、苦手意識が頭をもたげてしまうことも少なくないはず……。そこで今回は、片づけがなかなか始められない人を数千人カウンセリングし、企業の環境整備などにも携わる片づけのスペシャリスト、「かたづけ士」の小松易さんに、片づけ上手になる秘訣を伺いました。片づけを習慣化できれば、人生がきっとイキイキするはず!

家庭編

まずは「自宅の片づけ」のノウハウを紹介しますが、その前に! 片づけで大切な心の持ちようやポイントを整理してみましょう。

誰のために片づけするの?

片づけを習慣化するために大切なのは、何のために、誰のために片づけるのかという「動機」をしっかり持つこと。例えば、キッチンがきれいに整えられていたら、スムーズに調理を進められてお腹を空かせた家族が喜んでくれる。仕事場のデスクをきれいにすれば資料を探す手間が省けて作業効率がアップするなど、片づけの習慣化が自分のためにも周囲のためにもなるということをしっかりとイメージできれば、片づけも成功しやすくなります!

片づけの基本は「4つの行動」と「未来予測」

片づけの基本となるのは4つの行動! お財布を例に、4つの行動のポイントを見ていきましょう。

4つの行動(財布の場合)
STEP1 出す
片づけたい場所にあるモノをすべて出し、目の前に並べて自分がどれだけのモノを持っているか理解します。財布の中に入っているものをすべて取り出し、目の前に並べてみましょう。
STEP2 分ける
出したモノを二つの山に分けます。ポイントは使用頻度やお気に入り具合で分けること。財布に入れていたお金、クレジットカード、ポイントカード、レシートなどを種類別に分けます。
STEP3 減らす
使用頻度のほとんどないモノ、お気に入り度合いが低いモノは思い切って処分し、減量します。使用期限の切れているポイントカードや、不要なレシートなどは潔く処分しましょう。
STEP4 戻す
財布にはお金やクレジットカードなど、確実に必要なものだけを戻しましょう。

4ステップなら簡単と思われるかもしれませんが、ポイントカードなどは「いつか使うかも……」と再度財布に戻してしまいがち。しかし、結局は使わずじまいで、メリットを生かせないケースも大いにあります。
片づけができる人は、自分がどんな行動をするのか、イメージを明確に持っている人が多いようです。例えば「今日は○○に買い物に行くから、ポイントカードを持っていこう」というふうに、あらかじめ買い物の予定を立てることで、その都度必要なポイントカードを財布に入れるのです。こうした「未来予測」も片づけ上達の大事なポイントとなります。

リビングを片づけて、心身ともに健康に!

では、家庭で実践できる片づけを紹介していきましょう。リビングのテーブルの上には、テレビやエアコンのリモコン、読みかけの本など、さまざまなモノを載せてしまいますが、テーブルは物置ではなく“一時的な作業台”という意識を持ち、「何も置かない」ことを実践してみましょう。本や雑誌は読むときだけ、本棚やマガジンラックから出し入れすること。リモコンは専用ケースにまとめたり、鍵は玄関にフックをかけて管理するなど、ひとつひとつのモノに「住所を与えてあげる」ことも大切です。

ソファにもモノを置かない!

テーブルと同様に、ソファにもモノを置いてしまいがち。取り込んだ洗濯物を数日間放置してしまった……なんて経験もあるのでは? 洗濯物にも住所を与えて、ベランダの近くに取り込んだ洗濯物を入れるカゴを用意してみる。ジャケットやコートを脱ぎっぱなしにしてしまうなら、玄関付近にハンガーラックを用意しておくことも効果的です。

キッチンは「8割ルール」を徹底する

食器や調理器具、食材と、モノが溢れやすいキッチンでは、「8割ルール」を実践することをオススメします。これは、収納スペースにしまうモノの量を、8割を目安にするという片づけのテクニック。空きスペースをつくることでゆとりが生まれ、モノの出し入れもしやすくなります。

8割ルールで無駄な食材を出さない

冷蔵庫に「8割ルール」を適用して、食材の詰め込み過ぎに注意しましょう。また、余計な食材を増やさないために、買い物の際には食材の使い道をしっかり思い描く「未来予測」をお忘れなく。

食器棚を整理して調理効率アップ

食器棚がきちんと整理されていれば、調理効率はアップします。「4つの行動」と「8割ルール」を念頭に置き、来客用や記念の品などはお気に入り以外を、使っていない食器はすべてを処分し、頻繁に使う食器類は食器棚の手前に収納しましょう。

片づけの習慣化でシンクもピカピカ!

汚れた食器が山になっていたり、生ゴミが溜まっていたり……。毎日使う場所だからこそ、キッチンは汚れやすいもの。食べ終わったら必ず30分以内に食器を洗い始めるというルールをつくり、習慣づけてみることをオススメします。

服の処分で大切なセレクト基準とは?

「服を処分することが一番苦手」と感じる人は少なくないようです。「4つの行動」や「8割ルール」を応用しつつ、次のような方法で処分する服をセレクトしてみては?

服の選定基準は「お気に入りかどうか」

服は、女性なら1カ月分、男性なら1週間分ローテーションできる服があれば十分といわれています。処分する服の選定基準は「着られるか・着られないか」ではなく、その服を着て「モチベーションが上がるかどうか」で選んでみましょう。着られるかどうかで判断してしまうと、よほど体型が変わっていなければ、すべての服が着られるからです。また、過去1〜2年間、一度も袖を通していない服も、思い切って処分すること!

 

仕事編

仕事場でも片づけは肝心。デスク周りや受信メールを意識的に整理整頓しておけば、仕事もスムーズに進みます!

仕事場を片づけられないことの危険とは……

仕事場のデスクは飛行機のコクピットのようなもの。コクピットがモノで溢れていたら操縦桿を満足に握れず墜落の危険があるように、デスクが散らかっていると作業効率が悪くなり、ミスにつながる恐れがあります。また、メールの受信ボックスに未読メールがたくさんあったり、未送信メールが溜まっていると、新しい仕事が舞い込んできたときに気付くことができず、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねないのです……。

デスクの上には「なにもない」が基本

上記のような事態を避けるためにオススメなのが、仕事場から帰るときに机の上を何もない状態にすること。「次の日も続きをやるから……」とそのままにせず、使っていた資料や文具をすべて“もとの住所”に戻しましょう。毎日の仕事に“かた”をつけることで、自分が取り組んでいる仕事の進捗や問題点を把握できますし、翌朝、すっきりとした机を前に、気持ち良く仕事に臨むことができるはずです。

デスクトップも片づけを

パソコンのデスクトップ上にフォルダや文書ファイルが散乱していては、必要なときに素早く目的のデータにたどり着くことができませんし、パソコン自体のパフォーマンスも悪くなり、効率悪化につながります。デスクトップ上のアイコンは、できれば1列、最大でも3列までと意識して、フォルダから目的のデータまでたどり着く距離も、3クリック以内で済むように。

メールの受信ボックスは常にゼロを実践する

メールの受信ボックスは、放っておくとどんどん未読メールが溜まってしまうもの。メールが届いたらすぐに行動に移すことが、質のいい仕事につながります。

メールの「未読」を放置しない

メールの受信ボックスは、常に「未読」がない状態にするよう心掛けましょう。不要なメールは削除し、必要なメールのみ、それぞれのプロジェクトのフォルダに振り分けたり、「明日中に返信」などとわかりやすい名前をつけて保管することがポイント。仕事ができる人はメールの返信も早いといわれています。物事を滞留させず、常に流れをつくれるように意識することが、新たなビジネスチャンスを生み出すのです。

増え続ける文房具の対処法は?

ボールペンやホッチキス、大小さまざまなクリップなど、知らず知らずのうちに増えてしまう文房具。引き出しの中や文具立てにある文房具は、「1カ月以内に使ったかどうか」を基準にして、「1軍」と「2軍」に分けてみましょう。その上で、1軍の文房具は自分が使いやすい位置に、2軍の文房具は一時的に離れた場所に置き、1カ月後に2軍の文房具を使わなかった場合は、誰かにあげたり共有の文房具置き場に戻しましょう。

鞄の整理整頓で仕事のパフォーマンスアップ

鞄の中に何が入っているかを把握し、すぐに必要なモノを取り出すことができれば、仕事はスムーズに進みます。仕切りのある鞄、仕切りのない鞄の整理整頓にトライしましょう。

大きさの統一、ポーチ使いも◎

どんな鞄でも、「4つの行動」でモノを減らすことは大前提。その上で、仕切りがある鞄の場合は、必ず入れる必要のある書類や資料を仕切りの中に戻すときに、モノの大きさを仕切りに合わせることがポイントです。例えば、A4サイズの書類が入る仕切りの中に、A5やB5など小さい書類を入れる場合は、A4サイズのクリアファイルなどにまとめて大きさを統一すると、使い勝手がアップするはず。仕切りがない鞄の場合は、筆記用具をはじめ、スマートフォンの電源コード、携帯バッテリーなどを透明の小さなポーチにまとめれば、空間の仕切りにもなるので、鞄を開けたときにひと目で何が入っているかを確認しやすくなります。

 

片づけは「すぐにやる」

片づけが苦手な人に多いのが「あとでやるから」という口癖です。あとでまとめてやれば効率的だと考えてしまうのかもしれませんが、片づけることが溜まれば溜まるほど、逆に面倒くさくなってしまい、作業効率も悪くなってしまいます。すぐに行動を起こすことが重要なのです。
また、仕事場から早く家に帰りたくても、あるいは仕事で疲れて帰ってきたあとでも、まずは1日15分と時間を区切って、片づけを実践してみてください。そこで習慣化できれば、毎日の片づけは苦にはならなくなってくるはずです。

小松 易 さん/かたづけ士

1969年生まれ。日本初の「かたづけ士」として、片づけがなかなか始められない人向けに個人カウンセリング&コーチングを提供し、片づけコンサルティングを行う「スッキリ・ラボ」を開業。現在は企業向けのコンサルティングやセミナー、講演などを行っており、片づけコンサルティングの実績は延べ2500人以上。テレビやウェブ、雑誌等でも活躍している。主な著書に、30万部のベストセラーとなった『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』(中経出版)、『ほんの1分で一生が変わる魔法のかたづけ術』(PHP研究所)、『超・オフィス整理術 仕事ができる人はなぜデスクがきれいなのか』(マガジンハウス)など多数。

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