トップページ > 特集 vol.22 お給料のトリビア

退職金のルーツは暖簾分け? お給料のトリビア

夏・冬のボーナスは労働者を労う想いから生まれた? 退職金のルーツは暖簾分け? 賃金のルーツをたどってみると、いまの賃金制度に感謝せずにはいられないかもしれません!

給料は“感謝の印”

「賃銀を請取(うけとり)に日本の職工はサンキューと言ひ西洋の職工はオーライトと答ふ」。これは、近代化によって賃金を受け取る労働が広く浸透した1910(明治43)年に、富士紡績の和田豊治が『実業之日本』に書いた記事のタイトルです。
『日本の賃金を歴史から考える』(著:金子良事)によると、和田は、賃金を受け取るときに「ありがとう(Thank you)」と感謝の意を述べる日本の職工と、「了解(All right)」と述べる西洋の職工を比較し、前者を「主従の情誼(じょうぎ)」の慣習、後者を「権利」関係と見立てたといいます。雇う者、そして雇われる者の関係について和田は、主人から使用人への一方的な恩情ではなく、主人は使用人の働きに感謝し、使用人はそうした労いに感謝するという「おたがいさまの関係」という考え方を残したかったのです。

江戸から続く労いが「ボーナス」に?

多くのビジネスパーソンの楽しみといえば、毎年夏と冬に支給されるボーナス(賞与金)。昨年(2014年)冬のボーナスでは、大手企業76社の平均支給額が89万3538円と、前年から5.7%アップしたほか(※)、国家公務員の冬のボーナスが前年冬と比べて約12万円アップの69万1600円(管理職を除く一般行政職の平均支給額)となったことが大きな話題となりました。
ボーナスの慣習は、明治30年代には世間一般に広くみられるようになっていたといいます。1898(明治31)年に出版された『紡績職工事情調査概要報告書』(大日本綿糸紡績同業聯合会)には、「古来本邦の習慣として概ね雇主は盆暮の二期に被雇用若くは徒弟に賞金或は商品を与ふるの例あり」と記されているほか、労働者のモチベーションアップのために賞与を利用したとも書いてあるんです。起源については諸説あるものの、江戸時代にはすでにあった、商家の主人が奉公人に対して時候に合わせた着物を支給する「お仕着せ」の習慣、そしてお盆や正月の時期に「お給金」が支払われる習慣と関係あるのかもしれません。いずれにしても、ボーナスが生まれた背景には、労働者を労う想いがあったのは間違いないようです。

※日本経済団体連合会「2014年年末賞与・一時金受結状況」(第1次集計)参照

退職金のルーツは「暖簾分け」

厚生労働省が発表した「平成25年就労条件総合調査結果」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は75.5%で、企業の規模が大きいほど退職給付制度を整えている割合が高くなっています。この退職金ですが、一説には、江戸時代の商家における「暖簾分け」が起源だといわれているんです。
商家で奉公人として雇われていた労働者の雇用期間が終了する時(年季明け)に、彼らの独立の手助けのために暖簾を現物支給したのがその始まりなのだとか。時代の移り変わりで暖簾分けが簡単にできなくなると、今度は長年の奉公への報酬として、退職する労働者に金一封を贈る習慣が生まれたようです。例えば、豪商として古い歴史を持つ三井家に残る『宗竺(そうちく)遺書』(1722年=享保7年)には「もとで金」、『三井家憲』(同年)には「退職手当て」という言葉で、退職金に関わる記述もみられるのだそう。いまでこそ「老後の生活の資金」というイメージが強い退職金ですが、ルーツを辿ると退職後の対策金としての要素が大きかったといえます。

成果主義の典型? 年俸制の仕組み

年末から年始にかけてよく見かけるのが、プロ野球の契約更改に関する報道。億単位の金額が提示されて毎年驚きの連続ですが、いま、民間の企業では約1割が年俸制を導入し、企業規模が大きいほど割合が高くなっているといいます(※)。
年俸制とはその名のとおり、報酬の金額を1年単位で決める制度のこと。ただし、年俸だからといって1年に1回まとめて支払われるわけではなく、労働基準法により、最低月1回は分割した報酬を支払うことが定められているんです。実際の支払いという観点では、月給制も年俸制も大きな違いはないようにみえますが、年俸制の大きな特徴は、労働者の前年度の業績などにもとづいて、その人と上司らとの話し合いや交渉によって金額が変動しうるところ。まさに成果主義の典型が年俸制といえます。

※厚生労働省「平成26年就労条件総合調査結果」参照

第1位は本命? 意外? 都道府県別年収ランキング

最後に、現在の給料にまつわるトリビアを。転職サービスDODAの「平均年収/生涯賃金データ2014都道府県別」によると、2014年の都道府県別年収ランキングで1位となったのは神奈川県! 平均年収がアップした地域は全国的に増えている一方で、関東地域の東京都、埼玉県、栃木県、群馬県、山梨県は前年の平均年収を下回ったのだそう。地域によって主な職種も違えば物価水準の差もあるため、「平均年収が高い=生活がラク!」というわけではありませんが、さて、あなたがお住まいの地域はどのあたりにランクされていましたか?

転職サービスDODA「平均年収/生涯賃金データ2014都道府県別」のデータを基にランキング化。


賃金は生活を支えるものであり、生活を楽しくするためのものでもあります。次の給料日は、そんな給料に感謝の気持ちを表しながら、少しの贅沢を楽しんでみてはいかがでしょう?

取材協力:金子 良事 さん/経済学者 1978年生まれ。経済学博士。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。専門は労働史、社会政策史。主な著作に『日本の賃金を歴史から考える』(旬報社)、『戦時賃金統制における賃金制度』(『経済志林』80巻4号)、『戦前期、富士瓦斯紡績における労務管理制度の形成過程』(博士論文)がある。東日本大震災以降、岩手県大槌町・釜石市を中心に復興支援活動を続ける。現在は法政大学大原社会問題研究所兼任研究員。

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