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おとなの補習時間

お米を産地で選び、日本酒を蔵元で選ぶように、コーヒーも自分好みのものを知ると生活に豊かさが加わります。ただし、上質な豆の選び方や焙煎の違い、淹れ方の作法など、なんとなく知っているようで実は知らないことがあるのも確か……。そこで今回は、カフェ・デサール ピコの田那辺聡さんに、コーヒーの基礎知識から淹れ方までを、しっかり講義してもらいました。

基礎知識編

おいしいコーヒー豆が栽培される地域とは?

コーヒー豆を生産できるのは、赤道をはさんで南緯・北緯約25度の間に広がる地域。これを「コーヒーベルト」といいます。なかでも高地で栽培されたものほど良質なコーヒーとされています。なぜなら、高地は朝晩の気温が下がるので、寒暖差によってコーヒーの実が締まり、ゆっくりと時間をかけて熟すから。香り・酸味・コクが増し、おいしいコーヒーができるのです。

焙煎の度合いで味わいが変わる

コーヒー豆は焙煎することで香りや味が楽しめる飲み物になります。そのため、豆の個性を見極めつつ焙煎することが重要とされています。焙煎度合いは加熱温度と時間によって決まります。表は焙煎度を8段階で示したアメリカ式(ほかに浅煎り・中煎り・深煎りの3段階に分ける方法もあります)。焙煎によって酸味(コーヒー本来が持つ酸のことで劣化した味のことではありません)と苦味が変化します。

上質なコーヒー豆を選んでみよう!

自分好みの産地や焙煎具合を知るためには、産地のはっきりした上質なコーヒー豆の飲み比べが近道。以下のチェックポイントを確認して、上質な豆を購入してみましょう。

コーヒー専門店へ足を運ぼう

上質な豆を購入する第一歩は、スーパーマーケットやディスカウントストアではなく、コーヒー専門店に足を運ぶこと。近くにお店がない場合は、専門店のオンラインショップを利用するのもおすすめです。

産地の範囲が絞られたものを選ぼう

例えばお米を購入するとき、「国内産」とだけ書かれたものより、具体的な産地や生産者が書かれたものを選ぶという人は多いでしょう。それはコーヒー豆も同じ。原産地が絞られたものを購入することは、上質な豆を選ぶことにつながります。ちなみに、ブラジル産の豆には「ブラジル・サントス」と書かれていることがありますが、「サントス」とは産地ではなく、輸出される際に通る港の名前。ブラジル産のものはほぼすべてサントス港を経由しています。

表示例

等級はグレードを表すものではない!?

コーヒー豆のパッケージには、「ブラジルNo.2」「ケニアAA」「グアテマラSHB」などとコーヒーの等級が書かれていますが、等級が高いほど良い豆というわけではありません。例えば、ブラジルの最高等級「No.2」は、欠点豆が一定以上混入していないという意味。ケニアの最高等級「AA」は、コーヒー豆のサイズが17~18mmであるということ。つまり、パッケージに書かれた等級は、ネガティブチェックを通ったものという意味合いが強いのです。

新鮮な新収穫品"ニュークロップ"が基本!

コーヒーもお米と同じように、収穫後の時間経過とともに新鮮さを失います。古いお米を好んで買う人がいないように、コーヒーも収穫されて間もないニュークロップを選ぶのが基本。焙煎されていると見た目では区別できないため、店員さんに聞いてみましょう。

産地が同じで焙煎度合いの違う豆を飲み比べてみよう

産地が同じ豆でも焙煎度合いによって、味わいや香りに変化が出ます。例えば、ラズベリーのようにさわやかな味わいだったものが濃厚な味わいに変化したり、ナッツやアーモンドのような香りがチョコレートのような香りに変わることもあります。

豆のままで購入してみよう

コーヒー豆は挽いた直後から劣化が進み、香りも立たなくなっていきます。コーヒーをおいしく味わうためには、コーヒーミルは欠かせません。豆の状態で購入し、コーヒーを淹れる直前に豆を挽けば、コーヒー本来の香りや味わいを楽しむことができるはず。コーヒーミルを購入する場合は、挽き具合の目盛りがついているものがおすすめです。

 

実践編

主な抽出方法を知ろう

コーヒーにはさまざまな抽出方法があります。主な抽出方法の違いを見てみましょう。

■ペーパードリップ

台形のドリッパーに紙のフィルターを使って抽出する、手軽でスタンダードな方法。ドリッパーの底の穴の数や溝の形によって、抽出スピードが変わります。紙で油分がカットされるので、さっぱりとした味わいになるのも特徴。コーヒーが落ちる速度がゆっくりめな「ドリップ名人」(販売元:KONO)が田那辺さんのおすすめ。

■ネルドリップ

ペーパーではなくフランネルという布を使って抽出する方法。紙よりも油分を抽出できるので、まろやかな味わいになります。しかし、その分、手間と技術が必要です。

■フレンチプレス

フランスで開発されたフレンチプレスサーバーを使った抽出法。金属のフィルターで濾すため、上質なコーヒー豆ならば油分を残して抽出できます。熱湯を注ぐだけなので、手順も簡単です。

コーヒーを淹れてみよう!

今回ご紹介するのは、一番手軽なペーパードリップ方法。コツをつかめば、ご家庭でも本格的なコーヒーを味わえます。

準備するもの
  • コーヒー豆
  • コーヒーポット
  • ドリッパー
  • ペーパー
  • ケトル
手順
ペーパーの端を折ってドリッパーにセットし、コーヒーポットの上に置きます。
挽いたコーヒー豆をペーパーに入れます。ポイントは、少し揺らして均一にならすこと。

コーヒー豆の中心地点をめがけて、沸騰したお湯をゆっくり注ぎ始めます。
円を描くように全体に優しく注ぎます。お湯がしみ込んだ状態で、コーヒーが落ちるか落ちないかの量が目安。沢山落ちると味が薄くなります。

新鮮なコーヒー豆は、お湯を注ぐとどんどん盛り上がってきます。
お湯は500円玉くらいの円を描くように、やさしく注ぎます。

灰汁が落ちないように、最後に注いだお湯が落ち切る前にドリッパーをはずすことを忘れずに。

コーヒー豆の保存方法

コーヒーは消臭剤に使われることもあるほど、においを吸着しやすいもの。香りの強い食品の近くや、密閉されていない容器での保存は避けましょう。また、密閉容器に水分が残っていたり、高温多湿な場所で放置されたものを使うと、豆に湿気が移ってしまいます。しっかりと乾燥した容器に入れて、冷蔵庫・冷凍庫等に保管するのがベターです。
但し、冷蔵庫・冷凍庫に保管した場合、常温の温度帯に置いたままにすると空気に含まれる湿気により結露してしまい、コーヒーを劣化させてしまいます。冷蔵庫・冷凍庫に保管したコーヒーは、使用分を出したらすぐにしまってください。

 

“コーヒーかす”が消臭剤になる!?

コーヒーを抽出したあとの“コーヒーかす”は、家庭用の消臭剤によく使われている活性炭とよく似た多孔質の構造により、イヤな臭いをキャッチする消臭効果に優れています。コーヒーかすを活用して、お手軽な消臭剤を作ってみませんか?


手順

①コーヒーかすをお皿などの上に広げて十分乾燥させます。

②乾燥したコーヒーかすを、通気性のある布の袋や容器に入れます。布の袋の場合はひもなどで口をしっかり結び、容器の場合はフタの代わりに薄い布をかぶせてゴムなどで止めればできあがりです。冷蔵庫やトイレ、靴箱など、臭いの気になるところに置いてください。なお、コーヒーかすは乾燥させずに、水気を切っただけの状態でも消臭効果を発揮します。乾燥していないコーヒーかすを使う場合は、お皿などに入れて密封せず、1〜2日を目安に交換してください。

監修 田那辺 聡 さん

『as close as possible』を掲げ、生産者の思いを届けるカフェ・デサール ピコを開店。毎年、生産者のもとを訪れ、良いコーヒーを見きわめて買い付けを行う。一般向けにコーヒー教室も行っている。
http://cafe-pico.com/

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