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おとなの補習時間

仕事中や子どもと接しているときなど、「もっと上手に絵が描けたら説明もスムーズなのにな」、「子どもに教えることができるのにな」と思うことはありませんか。プロ並み……とまではいかなくても、あって損はない絵心。今回は、少し練習するだけでコツがつかめる絵の基本的な描き方を絵画教室アトリエ・エビスの先生に聞きました。

理論編

絵が下手な人の特徴

下手だといわれている絵にはポイントがいくつかあります。動物・人物・風景の絵を実際に見て確認してみましょう。

対象物をとらえきれていない

いざ、何かを描こうと思っても、対象物に対してぼんやりとした印象しか持ってないことがあります。これは対象物への観察と理解が足りない証拠。まずは対象物をじっくり見て、忠実に再現することから始めましょう。

間違った思い込みがある

犬など誰でも日常生活や写真で見たことがあるものほど、イラストやほかの人の絵を見た経験からデフォルメされた情報が入ってきてしまいます。その結果、実際のものとかけ離れた思い込みが入ってしまうことがあります。

伝える相手を想定していない

絵を描くときには、誰に、どのように見てもらいたいのかを意識しましょう。実際には伝える相手がいなくても、友人や子どもに向けて描くことを想定してみるだけで、相手に伝えようとする意識が働き、いい絵が描けるようになります。

輪郭だけで描き切ってしまう

絵を描くのが下手な人は、ひと筆描きで一気に描いてしまいがち。すると、輪郭のみの絵になり、ペタッとした平面的な印象になってしまいます。影や毛並みなどを付け加えることで、より完成度の高い絵に近づきます。

人間の骨格を理解していない

花やりんごなどと違って、人体には骨格と関節があります。特に動きがあるときは、関節を意識しないで描くとぎこちない絵になってしまいます。

人を立体的に捉えられていない

体の向きは正面なのに足だけが横を向いているような平面的な絵は、見ていて違和感があります。髪の毛も動きがなく、貼り付いているようなものは上手に見えません。

腕や脚の長さが左右対称でないor斜めを向いているのに左右対称

正面を向いているのに左右の腕の長さが違ったり、斜めを向いているのに目の大きさが同じに見えるのは本来のバランスとは異なり、奇妙な絵になってしまいます。

遠近感がない

遠くにあるものと近くにあるものが同じようなバランスで描かれていると、位置関係がわかりません。また、風景画なのに意図せず建物が大きく描かれすぎていると、圧迫感があり、息苦しさを感じます。描くときには構図を意識することも大切です。

構造的におかしい

風景画のなかの建築物はたいていのものが左右対称につくられ、柱はまっすぐになっているはずです。例えば家が斜めに描かれていると、構造物として成立していない印象を与え、不安を感じさせるものになります。

絵を上手に描くには

芸術的な絵を描くには技術や感性が必要ですが、相手に何かを伝える絵は、ほんの少しのコツで誰にでも描くことができます。絵が上達するポイントを確認してみましょう。

描くものを観察する

“描く”とは観ることから始まると言われています。対象を大枠だけで捉えようとせず、細部がどういう構造になっているかをよく観察してみましょう。じっと観ていると「なるほど」という発見があり、それこそが絵が上達するカギになります。

描く前に情報を整理する

絵は描き始める前も肝心。できるだけ事前に情報を収集して、それを整理していきます。対象のイメージが思い出せない場合でも、「猿は果物が好物」という情報が思い出せれば隣にバナナを描き足すことができ、それだけで、猿らしく見えることがあります。

描く目的をはっきりさせる

絵を描こうとする前にイラスト風にするのか、リアルなタッチなのか、その目的に沿って描き方を決めてから描くようにしましょう。イラスト風に描く場合は、デフォルメすることも想定しなければならないからです。また、誰に対して描くのかをはっきりさせると、見せようとする意識が働き、上手に描けます。

描く習慣をつける

絵を描くことに苦手意識があって、どうせうまく描けないと思っているといつまで経っても上達しません。最初はらくがきでいいので、“練習する”という気持ちではなく“手を動かしてみる”気持ちで描いてみましょう。描いていくうちに慣れていきます。

 

実践編

具体的にどこを観て、どうやって描いていけばいいかをステップを追ってご紹介。モデルとなる写真を参考に、実践してみましょう! 何度か真似して描いてみるだけでも、出来上がりの絵に変化が出てくるはずです。


■犬を描いてみよう

まずは、画像から柴犬の印象を読み取っていきます。全体的に形のラインはシンプルですが、シャープさがあります。毛並みは少し硬そうです。愛らしい顔立ちと大きなしっぽも印象的です。顔だけこちらを向けているさりげないひと場面を描いていきます。

  • ①全体を丸や四角・三角などの簡単な形の集合体として捉え、角を丸く削ぎ落とす。
  • ②耳や目・手足など左右対称の部分は補助線を引く。
  • ③体のくびれ部分は、線を交差させて形を探る。
  • ④四つ足に前後感を出し、立体感や佇まいを表現する。
  • ⑤形に沿って体のラインを出す。
  • ⑥毛並みを捉えるように線を足し、立体感を出す。
  • ⑦観察しながら細部を描き込み、完成。

■人間の顔を描いてみよう

人にはそれぞれ顔立ちの特徴がありますが、人物の大枠として共通するものは、骨格です。まずは頭蓋骨を丸い塊として捉えます。次には目・鼻・口を描き始めがちですが、陰影で大きな形の流れをつかんでから、パーツの細かな凹凸を探ります。仕上げにその人の印象となるパーツのサイズや比率を考慮し、個性を出していきます。

  • ①頭部を丸い塊で捉え、面長・丸顔などその人の輪郭を荒削りするように整える。
  • 【正面顔】
  • ②左右対称のパーツやその傾きを探るために、正中線(十字)を引く。
  • ③正中線に対して、目・鼻・口などの位置も補助線で加える。
  • 【斜め顔】
  • ②正中線をずらし、パーツの幅やサイズを変化させる。
  • ③頬から後頭部にかけて影を入れて立体感を出す。
  • ④光の方向を意識し、凹凸部分に影を落とし、角張っていた部分をなめらかにする。
  • ⑤骨格の緩やかな凹凸を意識し、効果的に線を入れる。
  • ⑥目元や口元をカーブさせて、表情をつくる。
  • ⑦毛先に動きを付けて髪の柔らかさを表現する。

■動きのある人物を描いてみよう

人体にはベースとなる骨格と関節があります。まずはそれを描いてみます。動きのあるポーズの場合も、それを踏まえた上でどういう骨格になっているのかのガイドラインを引いてから描きます。慣れてくると、ガイドラインを想像しながら自然な動きの絵が描けるようになってきます。

  • ①まず左足から頭部にむかって大きな縦軸をとる。
  • ②体の流れを曲線や補助線で加え、大きな体の動きをとっていく。関節には点を打ち、全体のアウトラインを決めていく。
  • ③光の当たっている方向を意識して陰影を積極的に取り入れる。
  • ④関節部分は、より強調する。
  • ⑤傾きを表すためにユニホームの柄を描いて、体の流れやねじれを表現する。

■遠近感のある風景画を描いてみよう

風景を描くときには奥行きや広がりを感じさせるため、遠近感を表す技術が必要になってきます。これをパースペクティブといい、そのときに役立つのが透視図法という描き方。奥に行くにしたがって狭まっていく要素を入れることで、風景が立体的に続いていく感覚を表現することができます。

  • ①山門の奥に消失点を設定する。
  • ②消失点から放射状(奥行き方向に向かって最終的に交わる点)に線を引いて、補助線とする。
  • ③建物や木は地面から垂直に立っていることを意識して描き、②で引いた線上に形をとる。
  • ④木や山門の形を描く。
  • ⑤近景をカッチリと描き、遠景をぼんやり描く「空気遠近法」を取り入れる。今回は、奥の山門に暗さを与え、主役として目を引かせている。

 

監修 絵画教室アトリエ・エビス (絵 提供:木下令子 講師)

10代から90代まで幅広い年代に向けて、絵を描く楽しさを教える絵画教室。静物コースやモデルを描ける人物コースなど、クラスが充実しているほか、振替制度や休会制度もあり、忙しい社会人も通いやすい制度を用意。ベテランから若手まで、さまざまな講師陣が丁寧に指導。一生続けられる趣味をサポートしている。スケッチ旅行や外部の方も参加可能なワークショップやクロッキー会など、イベントも多数開催。[http://www.atebis.com/

受付時に「Traceを見た」と言っていただければ、入会金が半額の5000円になります!(2014年12月末まで)
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