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おとなの補習時間

最近、一眼レフやミラーレス一眼のカメラを持っている人が増えています。スマホやコンデジと比べて美しい写真が撮影できるデジタル一眼レフカメラ。しかし、買ったはいいけど、全ての機能を使いこなせていないという人も多いのでは? 特に撮影モードに関しては、便利なAUTOモードを使ってしまいがち。そこで、今回はデジタル一眼レフのマニュアルモードの基礎をプロカメラマンの片桐圭さんに教えてもらいました。

基礎知識編

AUTOモードとマニュアルモードの違いって?

「カメラが自動的に絞りやシャッタースピードなどを設定してくれるフルAUTOモードは失敗を少なくしてくれますが、主張の少ない平均的な写真になりがち。プロがマニュアルモードを使う理由としては、明るさやピントの位置、ボケ感など、全ての要素を自分でコントロールした上で『自分の頭の中に浮かんだイメージ』を写真として表現できるためです。『絞り優先モード』や『シャッター速度優先モード』、『マニュアルモード』を駆使してこそ、デジタル一眼レフの真の楽しさが分かります。」

これだけは覚えておきたい! カメラ用語の基礎とは?

ホワイトバランス

屋外で撮るとき、蛍光灯の下で撮るとき、電球の下で撮るときなど、それぞれ光の特性が異なるため発色に違いが出ます。ホワイトバランスは白いものがちゃんと白く見えるよう調整する機能のことです。


ISO感度

撮像素子の光に対する敏感度を表しています。ISO100〜200が低感度、ISO800〜6400あたりが高感度と呼ばれます。高感度にすると少ない光でも撮影することができますが、画質が粗くなったり、ノイズが増えたりします。


露出補正

露出とは「シャッター速度」と「絞り」と「ISO感度」の組み合わせで決まる、写真の明るさのことです。撮った写真を画面で見て暗いと思ったら露出補正を「プラス」に、明るすぎると思ったら「マイナス」に設定してみましょう。


シャッター速度

カメラの撮像素子に光が当たる時間のことです。一般的には低速1/30秒〜高速1/1000秒あたりが使われます。高速に設定することで、素早く動いているものを捉えることができます。


絞り

レンズ内にある、数枚で円形状に構成された羽根のことで、円形の穴の大きさをF(F値とも言う)という単位で表しています。円形の穴が大きくなる(F4や5.6など)と光の量が多くなります。また、背景がボケやすくなります。穴が小さくなる(F16や22など)と光の量が少なくなり、ピントの合う範囲が深くなります。

撮影(P、A、S、M)それぞれの特徴は?

P(プログラムモード)

その場の状況に応じてカメラが絞りやシャッター速度、ISO感度を自動で設定します。フルAUTOと異なり、露出補正やフラッシュを発光禁止にするなどの機能を使うことができます。


A(絞り優先モード)

絞りを任意で設定し、それに応じてカメラがシャッター速度を自動で設定します。背景をボカしたい時はF値※を低く(2.8〜5.6など)し、ピントの合う範囲を深くしたい時はF値を高く(16〜32など)します。


S(シャッター速度優先モード)

シャッター速度を任意で設定し、それに応じてカメラが絞りを自動で設定します。動きの速いものを撮る時は高速(1/500秒〜1/1000秒など)にして、室内などあまり明るくない場所で撮る時は低速(1/30秒〜1/60秒)にします。


M(マニュアルモード)

絞りもシャッター速度も任意で設定します。プロのカメラマンが使用しているモードはこれ。P、A、Sと来て、最終的にはMを使いこなせるようになりましょう。

レンズにはどんな種類があるの?

最初から付いているレンズだけでも楽しめますが、レンズの種類がたくさんあれば、より幅広い撮影方法を楽しむことができます。初心者はまず、望遠ズームを購入することをおすすめします。

標準ズーム

日常の人物や風景のスナップに適している。ホームパーティや旅行の写真など。


望遠ズーム

離れている被写体を撮るのに適している。運動会や動物園など。


マクロレンズ

小さなものをクローズアップして撮ることができる。花の花弁や料理の素材に寄った写真など。


単焦点レンズ

ズームレンズに比べて画質が良く、重量軽いものが多い。ただし、ズームができない。

 

撮影実践編

写真の基本的な構図とは?

被写体を画面の真ん中にする、いわゆる日の丸構図は単調な写真になりがちです。撮りたいものを中心から外して四隅方向へずらすと変化のついた写真になります。

日の丸構図の場合、シンプルな被写体よりも被写体自体にインパクトがあるものが望ましい
被写体を隅に寄せることで、写真に奥行きが生まれる。F値を下げてボケ感を演出した作例

光線によって異なる写真の表現とは?

光の当たり方によって写真の印象も変わります。青空を綺麗に出すなら順光で、立体感を表現するなら影をつけるため逆光や斜光を利用しましょう。

順光で撮影。より目で見ているものに近い色合いに仕上がっている。綺麗な青空が印象的
逆光で撮影。葉っぱが光に照らされ、光輝いている。立体感が生まれ、写真がイキイキしてくる

人物撮影で気をつけた方がいいところは?

背景をボカしたいならAモードでF値を低く(2.8〜5.6など)します。人物が2列や3列に並んでいて、皆にピントが合うようにするにはF値を高く(11〜22など)すると、広範囲にピントが合います。

F値をF4に設定。背景に適度なボケ感があり、情緒を感じられる一枚に。人物が際立つ構図
F値をF16に設定。後ろまではっきりと写し出している。左の写真と比べると、説明的な写真になる

速いもの、走っているものを撮影する時には?

この場合はSモードで高速(1/500秒〜1/1,000秒など)にします。シャッタースピードを速くすると、対象物が止まったような写真になります。遅くすると、対象物の動きを表現することができます。

Sモード1/1,000秒で撮影。止まっているように見えるほど、的確に対象物を捉えている
Sモード1/60秒で撮影。こちらでは、車の速さを表現。後ろ側の木々にはしっかりピントが合っている

料理を美味しそうに撮影するには?

ズームレンズを広角側ではなく、望遠側にして撮ってみましょう。より立体的な写真になります。また、グッとクローズアップして撮るのも美味しそうに見えるコツです。

広角で撮影。料理の全体像はわかりやすいものの、シズル感不足。高さがあるのに平面的な印象を与える
望遠で撮影。料理の高さが出て、肉の質感までわかるようになった。思い切って寄ってしまうのも一つのテクニック
 

写真上達の秘訣とは?

写真上達の秘訣は『たくさん撮ること』と言われます。でも、やみくもにシャッターを切っていてもなかなか思うような写真は撮れません。まずは、絞りやシャッター速度など、カメラの仕組みを理解することが上達への第一歩です。ぜひ、AUTOモードを卒業して、最終的にはMモードで思い思いの写真を撮影してもらいたいものですね。

監修 片桐 圭 さん

グルメ関係の雑誌・書籍、広告を中心に活躍。2011年、フランクミュラーアートグランプリでは「小山薫堂賞」を受賞。

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