魅惑の深夜ラジオ

vol.95

時代を超えて愛される
魅惑の深夜ラジオ

今年は民放ラジオの開局から70周年。徹夜の受験勉強や寝付けない夜、いつも私たちに寄り添ってくれた“深夜ラジオ”は、実は民放ラジオからスタートしたものなんです。今回の「Trace」では昭和に絶頂期を迎え、今、再び人気を集める深夜ラジオを掘り下げてみます。

“ラジオ番組の原型”は深夜ラジオがつくった?

1925年3月22日、社団法人東京放送局(現・日本放送協会=NHK)による「JOAK、JOAK、こちらは東京放送局であります」という第一声で始まった日本のラジオ放送。
しばらくはNHKに独占されていたラジオ放送が民間に開放されるのは戦後のこと。1951年9月1日、名古屋の中部日本放送(現・CBCラジオ)と大阪の新日本放送(現・毎日放送)が日本初の民間放送局としてラジオ放送を開始すると、12月にはラジオ東京(現・TBSラジオ)が開局。各地で続々と民間ラジオ局が開局していきます。
そんな民放開局ラッシュの最中、1952年4月にスタートしたのが、日本初の深夜番組「イングリッシュ・アワー」(ラジオ東京)です。音楽評論家の志摩夕起夫や三国一朗がパーソナリティを務める進駐軍の軍人や家族向けの放送で、外国人アナウンサーの解説も交えてジャズなどを紹介。音楽と台本のないフリートークという進行は現在のラジオ番組の原型となり、二人は日本最初のラジオパーソナリティともいわれているんです。

若者向け深夜番組登場!

1959年の皇太子ご成婚や1964年の東京オリンピックを境に新興メディアのテレビが台頭してくると、ラジオ各局は生き残りをかけて若者向けの深夜番組の放送に力を入れるようになります。
1965年8月には、初の若者向け深夜番組「真夜中のリクエストコーナー」(文化放送)がスタート。土居まさるをパーソナリティに、「やあやあ」と友人に話しかけるような語り口で始まる番組は、音楽のリクエストからクイズや恋の悩み相談まであり、受験戦争真っただ中の団塊の世代のハートをつかみました。
テレビは一家に1台しかなくても、小型トランジスタラジオなら誰もが持っていた時代。若者はテレビとは異なる“1対1”のパーソナルな関係性を感じられるラジオを通じて、思春期特有の孤独感を癒やしていたのかもしれません。

同時期に産声をあげた伝説の深夜番組たち

1967年には現代の深夜ラジオのルーツとなり、数々の伝説を生み出す“深夜ラジオの金字塔”とも呼べる番組が一気にスタートします。

終了時には抗議デモが勃発!

1967年8月から15年間続いた伝説の深夜番組が「パック・イン・ミュージック」(TBSラジオ)です。数々の著名人がパーソナリティを務め、投書を中心にした番組構成は深夜番組に新たな風を吹き込みました。特に俳優・声優の野沢那智と白石冬美が担当する金曜未明の放送は「ナチチャコ・パック」という愛称で親しまれ、番組終了が決まったときにはテレビも報道。番組の継続を要望する署名活動や、デモ行進まで行われるほど熱狂的な支持を集めました。


絶頂期には2万通もの投書が

「パック・イン・ミュージック」の放送開始から2カ月後、ニッポン放送で始まったのが「オールナイトニッポン」。もともとは局アナやディレクターがパーソナリティを担当する音楽色が強いものでしたが、1970年代に入るとミュージシャンやタレント、お笑い芸人を起用し、フリートークやハガキ職人による投書を柱にした構成に。ラジオ界で3番目に長い放送期間を誇る現役深夜番組の人気はみなさんもよくご存じでしょうが、絶頂期には毎週2万通もの投書が寄せられ、あるパーソナリティが「始発の山手線に乗って一周する」と発言すると、リスナーが各駅に大挙。車内にも詰めかけて、窓ガラスが割れるなどの大パニックになったことも!


大物芸人を育んだ関西の老舗

「オールナイトニッポン」と同じタイミングでスタートし、現在も続く関西屈指の長寿深夜番組が「MBSヤングタウン」(MBSラジオ/開始当初は「歌え!MBSヤングタウン」)。駆け出しだった桂三枝(現・文枝)や明石家さんま、笑福亭鶴瓶、ダウンタウンらを起用し、若手タレントの登竜門的なテレビ番組「ヤングおー!おー!」にも派生。パーソナリティやスタッフで結成した野球チームと芸能人チームが対決する名物の野球大会には、2万人以上のリスナーが球場に足を運んだこともありました。

NHK初の深夜番組は意外な理由で始まった?

深夜ラジオでは民放に後れをとっていたNHKが初の深夜番組を開始したのは、民放初の深夜番組が始まってから30年以上も経た1990年でした。4月に始まった「ラジオ深夜便」は、早朝5時までの約6時間にわたる放送を“アンカー”と呼ばれるパーソナリティが穏やかな語り口で進行し、クラシックや洋楽の名曲、懐メロや童謡を流すなど、中高年層を意識した構成で「深夜ラジオは若者向け」というイメージを覆しました。
もともと突発的なニュース以外、深夜は放送を休止していたNHKですが、昭和天皇の容態を伝えるために24時間放送となったためにひと晩中音楽を流したところ、夜中に流れる静かな音楽で心が安らぐという投書が相次いだことが、番組誕生につながったといいます。

若者を夢中にさせるだけでなく中高年も楽しめる深夜ラジオ。次ページでも深夜ラジオのトリビアをご紹介します。

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