サウナでひと息

vol.86

熱波、水風呂、12分計……
日本独自のサウナの楽しみ

2000年代後半、サウナを題材にしたタナカカツキ氏の「サ道」やSNSの普及をきっかけに、中高年男性のイメージの強かったサウナが若い世代や女性の間でも楽しまれるようになっています。サウナをテーマにしたテレビ番組やイベントも続々と生まれている今、日本で独自に進化したサウナ文化をおさらいします。

フィンランド……でなくドイツがルーツ?

ロウリュサービスあります!——熱せられたサウナ・ストーンにひしゃくで水をかけ、蒸気と熱波を楽しむ「ロウリュ」を名物としているサウナ施設は少なくありません。ただし、ロウリュで発生した蒸気や熱波をうちわやタオルで撹拌し、体感温度をさらに上げるようなパフォーマンスは、フィンランドでは珍しいものなのだそう。実はこれ、ドイツのサウナで行われている“アウフグース”というエンターテインメントが発祥で、日本では2000年頃から取り入れられるようになり、今では熱波を送るプロフェッショナル、“熱波師”も活躍しています。また、最近では本場のように、自分の好きなタイミングで水をかけられる“セルフロウリュ”ができる施設も増えています。

サウナ、水風呂の繰り返し

サウナ愛好家=サウナーにとってサウナと水風呂は切っても切れないものですが、こちらも日本で独自に進化したサウナの楽しみ方。フィンランドでは外気浴でからだをクールダウンさせて、リラックスしたタイミングで軽食を食べたりビールを飲んだりしながら、家族や仲間とコミュニケーションを取るのが一般的で、日本のメディアが取り上げるような、凍った湖に穴を開けて飛び込んだり、雪にダイブしたりする極端なクールダウン方法は、みんながみんな実践するわけではないのだそう。
サウナ→水風呂→外気浴(休憩)を繰り返す温冷交代浴でディープなリラックス状態になることを、日本では“ととのう”と表現しますが、こちらも日本オリジナルのサウナ用語。いずれは“totonou”が世界のサウナーたちの共通言語になるかも?

古くて新しいサウナ体験

自然の中で生まれたサウナを気軽に体験できる“テントサウナ”も最近は注目を集めているようです。火の取り扱いが可能な湖畔などで耐熱テントを設営して、薪ストーブを入れて石を熱するというもの。からだが温まったら外に出て、天然の水風呂にダイブ。ロシアでは釣りと一緒にサウナを楽しむスタイルもあるそうで、新たなアウトドアスタイルとしても広がりそうですね。

もっとも開発が困難とも?

サウナでおなじみの12分計も日本特有のサウナアイテム。通常の時計のように1から12の目盛りがあり、赤い針が1分間にひと回り、黒い針が12分でひと回りするアナログ式は関東に多く、関西ではデジタル式が一般的なんて話もあります。それにしても、どうしてサウナの時計は「12分」なのか……。そこには、通常の時計のパーツを流用して製造しているから、サウナの入浴時間は12分前後が一般的だからなど、さまざまな理由があるようです。
高温のサウナの中では技術的な問題も。かつては本当の時間がわかるサウナ用の時計も開発されたそうですが、実験では100℃の環境下で1年間は動作を保証できるものの、それ以上になると熱のために油が抜けてしまい、時計に狂いが生じてしまったそう。その開発の難しさは、特に高い精度が要求される戦闘機乗りの時計以上だったとか……。

“ととのう”ことで効率アップ

若いビジネスパーソンの間でサウナ人気が高まっていることを受け、コワーキングスペースを併設したサウナも登場しています。“ととのう”ことで集中力が上がり、仕事のパフォーマンス向上につながったり、サウナで同席したことをきっかけに、新たなビジネスマッチングの機会になったりもしているそう。
フィンランドでは伝統的に、サウナは外交の場としても利用されています。外交官、時には大統領が“サウナ会議”を開き、契約や調印の後押しとしてきたとか。同国のアレキサンダー・スタブ元首相は、自分たちの法案に同意するまで相手をサウナから出さない、と著書で語るほど。サウナは交渉のための最高の場所でもあるんですね。

ニューヨークではインスタ映えするファッショナブルなサウナが誕生、フィンランドでも下火だった公衆サウナが再評価され、空前の公衆サウナブームが訪れているとか。日本はもちろん、世界でもサウナ人気は高まりを見せているようです。

参考文献(順不同)
中山眞喜男『サウナあれこれ』(公益社団法人日本サウナ・スパ協会)/吉田集而『風呂とエクスタシー―入浴の文化人類学』(平凡社)/タナカカツキ『サ道―心と体が「ととのう」サウナの心得』(講談社)/こばやしあやな『公衆サウナの国フィンランド—街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』(学芸出版社) 等

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