はたらクリップ [未来工業株式会社]

未来工業は、残業禁止・営業ノルマ禁止・命令禁止など、ユニークな社内ルールを採用していることで知られる会社です。ひと昔前に「24時間戦えますか」が流行語となり、休まず働くことが偉いという風潮がまだまだ根強い日本では、社員にやさし過ぎる環境にも思えてしまいますが、同社は上場企業として好調を維持しています。そこにはどんな秘密があるのか、代表取締役社長の山田雅裕さんにうかがいました。

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社員のやる気を引き出す環境づくりが会社の役目

未来工業といえば、残業禁止・営業ノルマ禁止・命令禁止が有名です。これらの意図を教えてください。
山田さん:社員にやる気を持って働いてもらうためです。残業はない方が時間内に集中して働いてもらえますよね。営業ノルマ禁止については、目標は設けていますが、ペナルティはありません。目標が達成できなくても給料を減らすことはないわけです。命令禁止というのは、管理職が部下に対して何か言いたいときは、納得してもらえるよう説得してくださいとお願いしています。
そうしたやり方は、会社にとってもメリットがあるということですか?
山田さん:はい。当社は、電気やガス・水道工事に必要な資材で、特許や意匠権をとった製品をつくっています。アイデアや技術のある製品を開発できるのは、営業や開発の社員が工事現場に足を運んで、職人からニーズを探っているからです。営業ノルマを設定すれば、3年や5年は一時的に売上が上がるかもしれませんが、情報の収集がおろそかになって新商品が出てこなくなりかねません。残業や命令に対しても、社内に不満があっては働きたくなくなりますよね。社員に100%や120%の力を出してもらえる環境をつくるのが、会社や経営者の役目だと考えています。
未来工業は、コンセントの裏側に取り付ける「スイッチボックス」を主力商品として、電気・水道・ガス工事に必要なアイデア資材をつくっている

残業がなく休日も多いから、社員の生活が充実

未来工業は、一般的な企業より働く時間が短いですよね?残業禁止のほかに年間休日140日、今年は社員全員で海外旅行も計画しているとうかがっています。
山田さん:大量の受注があったり、新しい金型を使って製品をつくったりするときは残業することもありますが、基本的にはありません。ですから、残業しなくていいときに「みんな帰っていいよ」というと、15分後には工場は空っぽです。それくらい残業しない風潮が浸透しています。年間休日数も多く、年末年始の休暇は18日ほどあります。家族がいる社員は、帰り道でスーパーに寄って、料理をつくって家族で食卓を囲むこともできますし、休日は子どもの野球やサッカーを見に行くこともできます。もちろん、独身の社員も親や自分のために有意義に時間を使っていますよ。
こうした取り組みをスタートしたのは、いつ頃ですか?
山田さん:バブル崩壊後の1990年代頃でしょうか。当社は、1965年の高度成長期に私の父、山田昭男が創業し、10年間は毎年200%アップで成長し、その後も10年間は120%アップが続いていました。その後、バブル崩壊で成長が落ち着いた頃に、働き方を考え直したんです。未来工業は元々、未来座という劇団仲間で設立した会社。劇団仲間だった幹部たちが集まったときに、「今まで忙しかったから、自分たちは劇団をやる時間がなくなってしまった。これからは、社員が好きなことがやれるように残業をやめよう」と考え方を改めたんです。同じ時期に、社員がやる気を出せる環境も整えていきました。

「常に考える」ために提案制度を実施

残業がなく休日が多いのに、成果を出せているのはどうしてですか?
山田さん:当社の経営理念に「常に考える」というのがあります。未来工業が社員に求めているのは、これだけ。創業時から変わりません。工場にも廊下にも、この理念が掲げられています。開発ならどうすれば使いやすい資材ができるか、営業ならいかにお客様を納得させるか、工場ならいかに時間を短縮してものがつくれるか、そういうことを常に怠らず考えてほしいと思っているんです。
常に社員の目に入る場所に掲げられる「常に考える」という理念
理念を掲げても、その共有・実践は簡単ではないように思えます。
山田さん:そのために、社員が会社に自ら提案する「提案制度」を設けています。これは、どんな提案であろうと提案箱に1枚書いたら500円、年間で200枚以上書いたら15万円を支給するものです。工場の改善提案が多いですが、提案はどんなことでも構いません。例えば、社員食堂のテーブルに台拭きがありますが、あれも提案制度で採用したもの。スープをこぼしたとき、隣に台拭きがあればサッと拭けるでしょう? そういうことでいいんです。もっといってしまえば、500円のお金目当てでもいい(笑)。量を出して考える習慣をつけることが、やがて生産性を上げ、会社がよくなると、気づいてもらえればいいと思っています。

社員全員が残業しないために考える

時間内に作業を終わらせるように努力が続く工場風景
4月から中小企業でも働き方改革関連法が適用されますが、残業ゼロを実現するためにはどんな心掛けが必要なのでしょう?
山田さん:バブル崩壊後の残業禁止のスタート時は、うちの工場でも、どうしても残業が多い部署がありました。それを見て、ある幹部が「何であそこだけ残業やってるんだ」と、全部署に聞こえるように言ったんです。言葉の裏には、「彼らは仕事の手が遅い」という皮肉が込められていました。これは工場の社員が一番言われたくないこと。残業が多い部署も時間内に終わらせられるよう努力しました。それ以来、製造部全体で残業しない風潮ができ、会社全体の社風になっていきました。
「残業は効率が悪い」ということを、社員全員が共有することが大切なんですね。
山田さん:ズバリ、残業は悪です。多くの人は残業すれば利益が上がると考えますが、それは逆。残業しなければ100円の利益が出たものでも、残業すれば、残業代や電気代などの経費がかかって80円くらいの利益になってしまうんです。結局、残業するから儲からなくなる。いかに効率的に時間内でおさめるかを考えて、集中してやればいいんです。
なるほど。そう考えるとシンプルですね!
山田さん:今から30年くらい前、世間に先がけて当社は週休2日制をスタートしました。当時、岐阜県経済同友会でこの取り組みを創業者が発表したとき、ほかの会社から「未来工業だからできるんだ」と言われました。でも、1社だけ「うちでも段階的に始めてみます」と言った会社があったんです。結果的にその会社は、週休2日を達成できたうえに売上も上がったんです。経営者にとってこれほどうれしいことはありませんよね。考え方を変えて、ぜひやってみてください。

ありがとうございました!

55周年を記念し、全社員でリフレッシュ旅行を計画

未来工業は今年2月に創立記念行事として、「ダイエットチャレンジ55×α」を実施。
実行委員長の小寺りおさんに詳細を聞きました。
「創立記念の一環として、社員の平均年齢が高くなるなか、健康を意識しようと、ダイエットをテーマにしたチャレンジをすることを企画しました。2019年8月から2020年の1月まで全員で減量目標を決めて、達成できたらリフレッシュ旅行(旅先はドバイかグアムか東京を選択)か洋服代が支給されるというものです。発表は幕張メッセで行いましたが、当日まで目標が達成できたかどうかは秘密。キャリーバッグを持って、達成できたらその日の夜に旅行先に出発します。年明けから社員の間で、痩せたかどうか話し合っているコミュニケーションがみられ、実行委員としてはうれしかったですね。結果として目標は達成されたので会社は1週間休業になりましたが、取引先にも事前に説明して了承を得ました。こうしたことができるのも未来工業の良さ。ますます社員の雰囲気が良くなっています」

残業がなく、休日が多くても業績が安定している理由は、社員のやる気を引き出す環境を整えているから。働く時間の短さと売上の多さは矛盾するように思えますが、表面的な枠組みを用意するだけでなく、社員一人ひとりが常に効率の良い働き方を考える意識づくりを行うことで、それが実現できるんですね。どんな業種であっても、これからの働き方を考えるうえで参考になりそうです。

未来工業株式会社

電気設備資材、給排水設備およびガス設備資材の製造販売を行う。1965年8月創立以来、順調に業績を伸ばしている。
https://www.mirai.co.jp

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