おとなの補習時間 老若男女がハマる川柳を楽しもう

アニメやクイズ番組で、川柳のおもしろさが脚光を浴びています。ビジネスマンにとっては、サラリーマン川柳などがおなじみですが、どんな楽しみ方があるか知っているとおもしろさが増します。今回は、「川柳マガジン」の編集者・竹田麻衣子さんに川柳の魅力と味わい方について教えてもらいました。

靴磨きの基本のキ

改めておさらい、川柳とは・・・…?

5・7・5の定型詩で作る韻文のこと。定型詩で韻文というところは俳句と同じですが、俳句は「や」「かな」「けり」の切れ字などの制約があるなど文語体での表現が普通です。それに対して川柳は、話し言葉の口語体で表現するもの。日本語が使えれば、小さい子どもからお年寄りまで誰でも作ることができます。また、俳句が季語を入れて主に自然の風物を詠むのに対して、川柳の題材はなんでもOK。社会風刺や人間模様に自分の思いを込めて、クスっと笑えるものや膝をぽんと打つような表現に仕上げたものが秀逸とされています。

ハマる人、続出! 川柳の魅力

メディアやSNSがきっかけでブレイク!

「週刊少年マガジン」で連載中の「川柳少女」がテレビアニメ化されたり、クイズ番組「今夜はナゾトレ」のなかで川柳を題材にしたクイズが人気になったり、川柳をテーマにしたメディアが続々と誕生したことで、若い世代に川柳が浸透するきっかけをつくりました。また、SNSができたことによって、自分の思いを発信する人が急増。思いついたときに、Twitterにハッシュタグをつけて投稿できるようになったこともあって、川柳が改めて注目されています。


投句できるコンクールが揃っている

川柳はSNSで発信することもできますが、さまざまな川柳コンクールがあることも受け皿になっています。有名なところでは、第一生命の「サラリーマン川柳」は1987年から一般公募されていますし、世代別では、20代限定の「U-29サラ川グランプリ」、小・中学生による「小・中学生サラ川選手権」があります。高校生向けには、「全国高校生川柳コンクール」が2005年から始まっています。このほか、アルバイト情報誌がアルバイト川柳を募集したり、トイレメーカーがトイレ川柳を募集したりと、企業が公募する川柳もたくさんあります。もちろん、雑誌や全国の句会でも募集しています。投句の機会が多いのも、川柳が盛り上がる理由の1つです。


自分の思いを自由に伝えられる

紙とペン、さらに今ならスマホのメモや音声記録で、すぐにできるのが川柳です。森羅万象あらゆることを題材にでき、誰にでも届くスタイルで発信できるので、自分の気持ちや思いを17音にのせて発表できるのが魅力。言葉や思いの数だけパターンがあって、ゴールはないので、ハマったら抜け出せないという人もたくさんいます。過去には川柳に熱中するあまり、仕事や家庭を顧みず、全財産をつぎ込んでしまう人もいたほど。川柳には、それだけの魔力があります。


年齢制限なし。一生つき合える趣味

川柳は、日本語が使えれば子どもからお年寄りまで誰でも作れます。しかも、同じ人が同じテーマで作っても小学生で作ったのと80歳で作ったのとでは内容が変わってきます。学生の頃は、学校生活や青春の句をみずみずしい感性で紡ぎ、結婚したら新婚生活や子育てを題材にすることもできるでしょう。やがて年齢を重ねていくと、経験値を武器にした渋みや深みが自然と句に映し出されます。それぞれどの年代であってもその年代にしか作れない句を作ったり味わったりできるのも魅力です。

誕生から今に至る、川柳の歴史

川柳の起こり

川柳のルーツは、令和の由来で話題となった「万葉集」で有名な「五・七・五・七・七」の和歌です。この和歌を「五・七・五」と「七・七」に分けて、続けて作ることを連歌といいます。やがて、この連歌に滑稽さや洒脱さが加わり(=誹諧の連歌)、連歌の習練として「七・七」のお題に「五・七・五」で句を作る前句付(まえくづけ)という遊びが生まれました。江戸時代の中後期になって、懸賞をつけて江戸町人に公募する前句付興行が流行り、中でも浅草界隈の名主・柄井川柳が一番の人気選者になりました。柄井川柳の入選句は「誹風柳多留(はいふうやなぎだる)」という句集となり川柳は文芸として独立、一六七篇まで続く江戸のロングセラー本となりました。この柄井川柳の名が今日の文芸名である「川柳」となりました。

狂句時代

柄井川柳の没後も「誹風柳多留」の発行は続いていましたが、カリスマ選者がいなくなったことで、川柳は言葉遊びに落ち、単なるシャレや語呂合わせのような時代が続きます。しかし、葛飾北斎、為永春水、七代目市川団十郎、十返舎一九など、ときの著名なクリエイター達も川柳を発表していた時代でもありました。

新川柳運動

狂句に落ちた川柳を復活させる「新川柳運動」が起きます。中心となったのは、井上剣花坊や阪井久良伎。正岡子規などの俳句運動に刺激を受けて、川柳を文芸として変革しようという動きが起きます。

新傾向川柳、新興川柳運動

川柳が文芸に原点回帰した後、作者の個性を重視したのが、新傾向川柳。自分を出そうという流れが起き、現代に繋がる川柳の近代化が進みました。さらには川柳にプロレタリアの要素を色濃く出した作品を発表したのが鶴彬(つるあきら)。29歳で勾留中に病死するまで反戦川柳を発表していました。

川柳六大家時代

岸本水府、麻生路郎、椙元紋太、前田雀郎、川上三太郎、村田周魚らがそれぞれの川柳誌で普及に貢献。全国に句会ができるようになり、彼らの川柳作家としての活躍を讃え、「六大家」と呼ばれました。

川柳を楽しんでみよう!

川柳のルールや決まりは?

「5・7・5」の17音の定型に当てはまっていれば、題材は森羅万象なんでも構いません。ただ、自由だからこそ自分の発した言葉に責任が生じます。下ネタに走りすぎたり、他人を誹謗中傷したり、社会のモラルに反するものなど、他人が見て不快に思う句はNG。逆にいえば、そこだけ注意すれば、OKです。自分の感じたこと、考えたことを自由に17音に込めてみましょう。

ポイントをつかんで川柳を作ってみよう

伝えたいことの焦点を絞り、凝縮する

川柳は自分の思いを伝えるのが基本。「眠い」「お腹が減った」という気持ちが起きたときに、なぜ眠いかお腹が減ったかを考えて、その裏にある本当に伝えたいことを探し出します。それを17音に収めるために、辞書を引いたり言葉を入れ替えたりして、思いを凝縮させていきます。

読者を意識、共感される内容になっているか

せっかく17音にうまくはまっても、自分にしかわからないものや自慢になっていると、他人から見てつまらなく感じられます。一度、その句を客観的にみて、誰にでも共感される内容になっているか確認してみましょう。

先入観や固定概念を外し、真実をついているか

「雨は憂鬱」などの先入観や固定概念を外して、本当に自分がそう思っているかを疑ってかかります。たとえば雨が降ってくれることでありがたい職業の人もいれば、親に買ってもらった長靴や傘を使いたくて雨を心待ちにしている子どもがいる、そんなことを考えてみることで、本当に伝えるべき真実が見つかるもの。自分が納得していない気持ちで作った川柳は、他人も納得させられません。

あらゆる方向からの観察力をきたえる

伝えたい事柄に対して、縦横斜めあらゆる方向から物事を見ることで観察力がきたえられ、新しい切り口が生まれます。そこにこそ、「なるほど」と膝をぽんと打つような視点が隠れているものです。

多読・多作し、韻文の特徴をつかむ

最後はとにかくたくさん作ってみることです。思いついた単語だけでも書いてみることで、次へのステップにつながることも。同時に、優秀な作品を見て、そこにある特徴や味わいを探るのもポイント。何がいいのか、その句が生まれるまでにどんな経過をたどったかを考えてみるといいかもしれません。

川柳を投稿したり、句会に参加したりしてみよう

作品ができたら、実際に投稿して評価してもらったり、句会に参加して仲間と競いあってみましょう。投稿は、雑誌や新聞などで公募されていますし、最近はインターネットで募集しているものも多くなっています。
川柳結社の句会に参加してみるのもおすすめ。会に先立ってテーマとなる宿題が出され、当日は集まった句に対して選者が順位を発表します。「川柳マガジン」誌面や全日本川柳協会のホームページに全国の団体が掲載されているので、そこでチェック。近くの気になる団体があれば、その団体の作品をまとめた発表誌を送ってもらい、作風を確認することもできます。

川柳を投稿したり、句会に参加したりしてみよう

第一生命保険サラリーマン川柳 歴代一位決定戦
第一生命保険 第1回 小・中学生サラ川選手権 優秀賞

第一生命サラリーマン川柳コンクールの最新情報はこちら
https://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/index.html

竹田さんセレクト歴史的傑作選

川柳の入門書をチェック

「川柳マガジン」の竹田さんに川柳の入門書にぴったりの本を紹介してもらいました。


『スピードマスター川柳の教科書』
(新葉館出版)

堤丁玄坊著

著者が公民館で川柳入門講座を開講したときのプリントをもとにした入門書。手に取りやすいボリュームで持ち歩きながら、読むのにぴったりです。


『川柳の理論と実践』
(新葉館出版)

新家完司著

良い川柳を作るために多角的に捉えた総合川柳入門の決定版。竹田さんも何度も読み返すほど詳しく理論的に書かれていて、とても実用的だと評判です。

監修:竹田麻衣子さん

日本で唯一の川柳総合雑誌「月刊川柳マガジン」副編集長。毎号、全国を代表する川柳作家の撮り下ろしの表紙とインタビューが掲載され、作家の連載も多数。秀逸な句がたくさん掲載されているのはもちろん、編集部いち押しの川柳結社情報もある。毎月1回27日発行。

最新の「おとなの補習時間」を読む
過去の「おとなの補習時間」を読む

最新記事

  • マラソンの歩み
  • 目から健康になる“眼トレーニング”
  • 夢と理想を追うジーンズづくり
  • NTTファイナンス法人向けカード Biz Card発行 SPECIAL CONTENTS ビジネスにこそカード利用で「キャッシュレス化」を!そのメリットとは? 消費生活ジャーナリスト 岩田昭男 Interview

キャンペーン/プレゼント

  • Trace プレゼントキャンペーン

おすすめの注目記事

  • 懐かしき学校給食
  • 天気予報の世界
  • 心高鳴るロボットの世界
  • 色あせないジーンズの世界
  • 華麗なるエアライン
  • 日本人とビールの蜜月
  • 愛される軽自動車
  • 歯周病にならないための歯磨きケア
  • キャッシュレス時代の電子マネー利用術
  • 失敗しない地方移住のステップ
  • おとなの補習時間
  • はたらクリップ
  • くらBEST
  • トレスポ
  • Trace リサーチ隊
  • トレコメ
  • ウワサの協会人
  • 食べ倶楽部
  • YUKICHIで贈る
  • ときよの本音
  • NTT Group Card カードのお申込み

PageTop