スポーツ新聞の世界

ひいきのスポーツチームや選手の動向を追ったり、気になる芸能ニュースをチェックするときに欠かせないのがスポーツ新聞。インターネットが浸透し、スマートフォンが全盛のいま、活字メディアは苦境に立たされているといわれていますが、日本に誕生してから70年、スポーツ新聞はまだまだ元気です! 今回の「Trace」では、そんなスポーツ新聞の秘密に迫ります。

世界初のスポーツ新聞、その内容は?

スポーツを扱う定期刊行物が世の中に誕生したのは19世紀のこと。スポーツのルールが整備され、運営を組織化する基盤ができあがってくると、スポーツ・ジャーナリズムが生まれ、一般紙にスポーツ欄が登場するようになります。
そして1822年、イギリスで刊行されたのが、世界初のスポーツ新聞である「ベルズ・ライフ・イン・ロンドン」です。気になる内容は、ジェントルマンのあいだで連綿と受け継がれていた高貴な文化であり、賭け事の対象でもあった競馬でした。また、労働者に好まれていたサッカーを全面的に報じるスポーツ新聞も登場。フランス初のスポーツ新聞である「ル・スポーツ」(1853年発行)は、競馬だけでなく、狩猟の話題も積極的に取り上げていたといいます。

スポーツ新聞が生まれるまでは……

スポーツ新聞が登場する前にも、庶民のあいだではブロードサイトと呼ばれる印刷物が配布されていました。これは、大判の紙を木版で印刷した瓦版のようなもので、スポーツの試合結果や事件などを報じていました。イギリスで18世紀半ばに刊行された、競馬の開催予定やルールを定期的に伝える「レーシング・カレンダー」は、スポーツをテーマとした最古の定期刊行物のひとつといわれています。

戦後まもなく日本にも登場

日本のスポーツ新聞の歴史は、戦後まもない1946年3月6日に、日刊スポーツが発刊されたことに始まります。創刊号の1面見出しは「さあ明るく朗らかにスポーツだ」。野球をはじめ、ホッケーや陸上、スケートなどのスポーツ選手のイラストが大きく描かれ、東京六大学野球の再開を望む記事のほか、中面にはGHQ民間情報教育部へのインタビューや競馬ニュース、歌舞伎や新劇、映画紹介などが掲載されていました。紙名の横には「スポーツ・映画・演劇・音楽・趣味・文化一般」という言葉が入り、スポーツをはじめとする大衆文化の魅力を、当時から庶民に届けていたことがわかります。ちなみに、紙面サイズは現在のようなブランケット判ではなくタブロイド判で、4ページ1部50銭。発行部数1万5,000部は瞬く間に売り切れてしまったのだそう!

見出しのカラー化、そのルーツは?

駅の売店やコンビニエンスストアにスポーツ新聞が並んでいると、赤や青など派手な色遣いの見出しについつい目がいってしまうもの。一般紙では見ることのない、このカラー見出しは、1949年に創刊されたスポーツニッポンがパイオニアなんです。同紙は1960年に新聞業界初となる「赤見出し」を1面記事で採用、その後は他紙も取り入れるようになります。
また、新聞名を表す「題字(ロゴ)」が色づけされているのも、スポーツ新聞特有のデザイン。いまでは色とりどりの見出しやカラー写真が並び、ひと目で区別するのが難しいものの、「ブルー日刊(日刊スポーツ)」、「グリーン報知(スポーツ報知)」、「オレンジ色のニクい奴!(夕刊フジ)」など、各紙の色にちなんだ愛称やニックネームが使われていたことを、覚えている人も少なくないのでは?
ちなみに、見出しを考えるのは、“新聞の最初の読者”である整理部の仕事。記者から次々と送られてくる原稿をチェックして見出しをつけ、写真をセレクトし、掲載するスペースを決定していく、紙面レイアウトの要なんです。

見出しといえば、あのスポーツ新聞!

東京スポーツ、略して「東スポ」は、1960年に夕刊東京スポーツの名で創刊されたスポーツ新聞。プロ野球記事が主体の紙面づくりが主流だった世界で、プロレスに力を入れるなど、他紙にないユニークな切り口が創刊当初から人気を集めています。そんな東スポは、思わず笑い出してしまう見出しを1面に掲げることでも知られる一紙。例えば、1990年12月29日号では、当時、全国的なブームとなっていた人面魚が、エサの取りすぎで中性脂肪過多となり、一時は重体の危機に陥っていたという“スクープ”を、「人面魚 重体脱す」という大見出しで報じているんです。競馬の競走馬が1面を飾ることはあっても、魚を1面に登場させたのは、後にも先にも東スポだけ?

スポーツ新聞は“スポーツ”だけにあらず

スポーツに限らず、ギャンブル、釣りなどのレジャーから、政治、経済、社会、そして芸能まで、幅広い話題や情報を一紙で楽しめるのがスポーツ新聞の魅力。高度成長期にはプロ野球の隆盛とともに読者を集め、1980年代に入ると芸能や社会問題を扱う記事を充実させ、待望のカラー化も進められます。近年はサッカーをはじめとするスポーツ記事や芸能ニュースが1面を飾ることも珍しくなくなりましたが、そんなスポーツ新聞の新しい流れのひとつが、レコード会社や映画会社とのタイアップ企画です。
例えば日刊スポーツは、2011年12月にアイドルグループのAKB48を一紙まるごと取り上げる「AKB48 Group新聞」を発行しました。本紙とは別媒体となる“特別版”の発行は、「ONE PIECE」や「スター・ウォーズ」といった人気コンテンツでも展開され、幅広い層から人気を集めています。まさに“大衆娯楽紙”であるスポーツ新聞ならではの取り組みといえますね。

本紙を包む!? ラッピング広告

型破りなレイアウトの「変形広告」も、スポーツ新聞の楽しみのひとつ。編集紙面との距離感を感じさせない「記事体広告」は一般紙でも見かけますが、スポーツ新聞では、本紙を4ページの特別紙面で“ラッピング”してしまう「ラッピング広告」が出稿されることも。強烈なインパクトを読者に与えるという意味では、これに勝る広告はない?


スポーツに限らず、大衆のニーズに合わせてユニークな紙面づくりを続けるスポーツ新聞。次ページでもその魅力に迫ります。

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