お化け屋敷の世界

遊園地や施設の常設型から期間限定のイベント型まで、日本全国に100以上はあるといわれるお化け屋敷。夏の風物詩として、江戸時代から日本人をドキドキハラハラさせ続けてきた国民的アトラクションにまつわるあれこれを紐解いていきます!

写真提供:浅草花やしき

怖いけれどなぜ楽しい?お化け屋敷の謎

お化け屋敷で奇妙なことといえば、アトラクションのなかでどれだけ怖がっても、出口を出ると「あ〜、怖かった!」と笑みがこぼれてしまうところではないでしょうか? なぜこうしたことが起こるのかというと、「緊張と緩和」という感情のメカニズムが、お化け屋敷のなかでは働くからなのだそう。
お化け屋敷のなかは、「いつお化けが現れるだろう……」「あの物陰からなにか出てくるんじゃないか……」と不安を抱きながら進むものですが、お化けが現れた瞬間に不安は恐怖に変わり、お化けが姿を消すと一気に安堵が訪れます。「不安→恐怖→安堵」という緊張と緩和のサイクルが、お化け屋敷のなかの至るところで繰り返されることで、頭のなかで「怖いけれど……楽しい!」という複雑な感情が生まれるというわけなんです。

日本のお化け屋敷の発祥は?

ではここで、日本のお化け屋敷がいつ生まれたのか、振り返ってみましょう。お化け屋敷の萌芽が日本に現れたのは、18世紀後半〜19世紀前半にかけてといわれています。大衆文化が成熟したことで、人々の興味が不思議なものや怪しげなものに向かい、「東海道四谷怪談」をはじめとする怪談ものの歌舞伎や落語が誕生。幽霊や妖怪をモチーフにした浮世絵も描かれ、墓場での肝試しや怪談を語り合う百物語など、怖い体験をエンターテインメントとして受け入れる地盤ができていったのです。江戸のはずれに住んでいた医師がグロテスクな化け物細工や絵を自宅に飾ったところ、見物人で大賑わいになったり、からくり人形などを使って怪談の場面を再現する「場面型お化け屋敷」が登場するのもこの頃のこと。
明治時代に入ると、イギリスから輸入された「メーズ」と呼ばれる迷路に機械仕掛けのお化け人形や舞台装置が設置され、薄暗い迷路の陰に隠れたお化けが来場者を驚かせるという「迷路型お化け屋敷」も浸透します。

修道院の地下墓地に幽霊が出現!?

日本人が恐怖を娯楽として楽しみ始めたのと同じ頃、ヨーロッパでも幽霊を見て怖がったり楽しんだりする見世物が登場しました。18世紀末のフランスで生まれた「ファンタスマゴリー」は、薄暗い部屋のなかで幻灯機を使って、布や煙に幽霊の姿を映し出すというもの。この見世物は当時のパリで一世を風靡し、興行が行われる館がある通りは辻馬車で大渋滞。見物人で押し合いへし合いになったといいます。
ファンタスマゴリーはその後も、修道院の地下墓地という恐怖体験にうってつけの場所で上演され続け、19世紀に入るとイギリス・ロンドンでも行われるようになりました。この見世物が、西洋風のお化け屋敷のスタイルの原点にもなったといわれているんです。

両国国技館がお化け屋敷になった!?

日本に話を戻しましょう。日本のお化け屋敷が現在のような形に進化したきっかけのひとつが、1931(昭和6)年に両国国技館で開催された「日本伝説お化け大会」です。日本伝説学会主催、読売新聞社後援、そして乃村工芸社の創業者・乃村泰資が演出を手がけたお化け屋敷は、全国各地で伝承されている怪談や妖怪のおどろおどろしい展示と合わせて、暗闇の迷路も設置。それまでに蓄積されてきた、恐怖をエンターテインメントとして体験させる演出の集大成として、現代のお化け屋敷に大きな影響を与える一大アトラクションとなったのです。

お化け屋敷が初詣客で大賑わい

お化け屋敷は“夏の風物詩”として日本人のDNAのなかに組み込まれていますが、太平洋戦争が終わると、“真冬のお化け屋敷”なるものも登場しました。
お化け屋敷=納涼という戦前までの常識を打ち破ったのが、戦後から現在に至るまで、仮設のお化け屋敷の興行を続けているある一座。橋爪紳也氏の著書「化物屋敷」によると、同座の親方が「雪女みたいな妖怪もいるのだから、冬にお化けが出てもおかしくないのでは」と考え、初詣客で賑わう大阪・住吉大社でお化け屋敷を催したのだそう。冬のお化け屋敷に客が入るわけがないという周囲の心配は杞憂に終わり、興行は初詣客で大当たり! 以来、お化け屋敷は季節を問わず催されるようになったといわれています。


昭和初期に一定の完成をみたお化け屋敷は、その後、どのように進化していったのでしょう? 次ページもぜひご覧ください!

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