給料袋はどうしてなくなった? お給料のヒミツ

私たちが労働の報酬として受け取る賃金(給料)は、毎日の生活を支える糧であり、組織が事業を継続するためのコストでもあります。今回の「Trace」では、そんな賃金の知られざる変遷について探ってみました!

三億円事件で給料袋が廃れた!?

みなさんはいま、お給料をどんな方法で受け取っていますか? 給料日に給与明細を会社で受け取り、ATMやインターネットバンキングで入金を確認するという方がほとんどだと思いますが、ひと昔前までは「給料袋」で受け取ることが当たり前でしたよね?
実はこの習慣、あの「三億円事件」が原因で廃れたといわれているんです。1968(昭和43)年12月10日に発生した三億円事件は、日本信託銀行国分寺支店の現金輸送車に積まれていた東芝府中工場の従業員の賞与2億9430万7500円が入ったジュラルミンケース3つが、白昼堂々何者かによって強奪された日本犯罪史に残る未解決事件。
この事件以降、安全性の観点から給料の受け渡しを銀行振込に変更する企業が増加したのだそう。また、当時は銀行のコンピュータ化が進んでおり、事件の翌年(1969年)には日本初の現金自動支払機(CD)が設置されたことなども、給料の銀行振込化が浸透する後押しになったと考えられています。

その昔、神棚や仏壇に供えられたお給料は……

“三億円事件以前”は、給料日になるとお父さんが持ち帰ってきた給料袋を、神棚や仏壇に供える家族の姿が多くの家庭で見られました。それはまさしく感謝の気持ちの表れだったといえるでしょう。銀行振込の普及や、神棚や仏壇を置かない家庭が都会で出てくるなど、生活環境が時代とともに変化する中で日本人の賃金への意識も変わり、今ではそうした光景は珍しいものになってしまったようです。
1990年代後半から始まる成果主義の導入で、若い世代を中心に給料への意識が変わっていった面もあります。それまでの多くの人は、給料は組織がもうかった分だけ、自分が働いた分だけもらえれば良いという単純なものではないことを知っていました。しかし、多くの企業が成果主義を導入する中で、旧来の日本の賃金制度が持っていたような「給料で人を育てる文化」が廃れていったとみる人は少なくありません。人々の意識の変化や経済・社会の変動に大きな影響を受けながら、給料や賃金のあり方は常に変化しているんですね。

「年功賃金」は日本的な賃金制度?

日本の賃金の特徴だといわれてきた「年功賃金」。年功賃金には、勤続年数とともに賃金が上がっていくという側面だけでなく、年配の者を大事にするかつての日本社会の「年功序列」を重んじるという文化的な側面もありました。
単に勤続とともに賃金が上がっていくだけであれば、それは外国にも見られます。デスクワーカーは、平社員からスタートして、組織の中で経験を積んで昇進していくもの。ですから勤める期間が長ければ、上司からの評価を受けて昇進するチャンスもあり、賃金も徐々に上がっていくのです。
日本の年功賃金の特徴は、この仕組みが製造業の現場作業員にも適用されたことです。年功賃金という言葉を「終身雇用」や「企業内組合」とともに日本的経営の三種の神器として広めたのは、1958年に発行されたジェームズ・アベグレンの『日本の経営』という本ですが、実はこの本、英語の原題は「The Japanese Factory」で、そのまま訳せば「日本の工場」なんです。当時の日本の経営の中心は、製造業の工場の経営でしたから、こちらの方が受け入れられやすかったのでしょう。

日本の賃金制度に欧米が注目

現場作業員の能力や実績に評価を入れて、徐々に賃金が上がっていく仕組みは、1980年代に欧米でも注目されました。1970年代に日本の製造業がオイルショックを上手に乗り切ったことを見て、日本の生産管理や賃金制度を学ぼうという動きが一部で生まれたのです。
賃金は「決まった仕事に対して支払われるもの」と捉えてしまうと、新しい仕事や、周辺の仕事を勉強して自分の今の仕事を深めるという姿勢になりにくくなってしまいます。日本では転勤や職場移動など、柔軟な人事異動を行う企業が多いため、業務と賃金の関係を厳密に縛りにくかったのです。

学び合う賃金

1980年代に日本の年功賃金が欧米に注目された一方で、1990年代は前述したとおり、欧米の成果主義を日本が模倣しようとしました。日本は明治以来、欧米の工業力を移植しようと努力し、賃金制度も一所懸命研究してきましたが、日本の工業力が欧米に追いつき、分野によっては追い抜くようになると、外国が日本の賃金制度を学ぶようにもなり、逆に外国がその制度を発展させれば、今度は日本がその成果を学ぶようになるのです。
グローバル化が進む大企業などでは、海外での事業展開が進展すると、賃金や人事制度もそれに対応させなければならなくなります。こうして賃金も一国のものだけではなく、さまざまな国の影響を互いに受けながら、よりよい形に変わり続けているのです。


人々の意識や社会の変化、そして外国の影響も受けながら、アップデートされている賃金。次ページでは、みなさんにも身近なボーナスや退職金にまつわるトリビアをご紹介!

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