特集 人はなぜ、8時間働くのだろう

数字で見る、労働時間の今と昔・日本と外国

これまで8時間労働の起源を紐解いてきましたが、ここからは様々なデータを元に労働時間を比較していきましょう。
昔と今を比べて、労働時間の増減はどうなっているのか。諸外国と日本の違いは?データからは、どんな真実が見えてくるのでしょうか。

グラフ

労働者1人平均年間総実労働時間の推移

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※ 資料出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」
〈注意〉1.事業諸規模30人以上 2.数値は、年間平均月間値を12倍し、小数点第1位を四捨五入したものである。
3.所定外労働時間は、総実労働時間から所定内労働時間を引いて求めた。4.1984年以前の数値は、各月次の数値を合算して求めた。

日本人の労働時間の推移は、1970年代には2000時間を超えていたが、2010年には1700時間台へと減少。
「働き過ぎ」が問題になっている現代だが、俯瞰で見ると労働時間は順調に減っているという結果に。

2011年度 年間労働時間の国際比較

※ 資料出所:OECD.Stat 2012.7.11
〈注意〉Employment Outlookベースのこのデータは、各国の時系列把握のために作成されており、厳密には資料の違いから特定時点の国際比較には適さない。
フリルタイマー、マートタイマー、自営業を含む。

OECDによる調査では、2011年段階では韓国、ロシア、アメリカに次いで4位となっています。
世界的に見ても、日本はかなり労働時間が多いほうだと言うことができます。

現役ビジネスマンに聞きました!!

(株)マイナビ「勤務時間に関するアンケート」(2013年3月)マイナビニュース会員男女500名が回答(ウェブログイン式)

Q平均勤務時間は何時間ですか?

グラフ

※15時間以上16時間未満の回答は0.0%のため、グラフには表示しておりません。

Report

あなたはどのようなスタイルで働いていますか?
「仕事柄、PCがあれば割とどこでも作業できるので、最近は在宅メインになってきてます」
(47歳男性・クリエイティブ職)
「フレックスといいつつ、一日8時間分しか給料をもらえず、何時間でも会社にいさせられる」
(27歳女性・営業職)
「残業したときは次の日は勤務時間を短くするなどして対応している」
(32歳男性・技術職〈SE・プログラマー・システマー〉)
「基本8時間労働だが、明らかに忙しい日には9~10時間労働にして、ど平日に6~7時間労働にする」
(26歳女性・販売職・サービス系)
イメージ
今後は8時間に縛られない働き方が主流に

では、今後私たちは「8時間」という労働時間とどう付き合っていくべきなのでしょうか。これからの働き方について、ライフバランスマネジメント研究所の渡部卓さんに伺いました。

「今後は8時間労働という制度自体が見直されていくでしょう。そもそも、8時間労働制は工場労働者や農作業従事者などの、物理的に拘束されるような仕事をベースにして考えられた制度です。インターネットの出現によって、働き方が多様化している現代から見ると、20世紀の産物とも言えます」

つまり、8時間労働制自体が第一次、第二次産業をベースに考えられたものであるため、産業が多様化し、情報通信産業などが増えてきている今、8時間である必然性が薄れつつあるのです。今後どのような働き方が主流になっていくのだろう?

「今、日本でもフレックス制度を導入している企業が増えてきたり、6時間制を導入する企業が出てきています。今後は8時間に縛られない、フリーな働き方が多くなっていくでしょう。また、数年前から『仕事と生活の調和』を考えるワークライフバランスが叫ばれてきました。最近は、これに社会とのつながりをプラスした『ワークライフバランスソーシャル』という考え方が生まれつつあります。東日本大震災以降、いかに自分の時間を社会貢献に使えるか? を考える人が増えたためです。今後は、労働・睡眠・自由それぞれの時間を、少しずつ社会貢献に使えるような社会にしていきたいですね」

今すぐには難しいかもしれないが、この「ワークライフバランスソーシャル」が実現した暁には、もっと豊かで、人を思いやることができる生活が待っているはず。

現在の8時間労働は、多くの先人達が努力の末に勝ち取ってきた条件。当時の彼らから見たら、この時代の労働は理想だったのではないでしょうか。8時間労働が主流になってから100年あまり。その時間や条件が大きく変わることはありませんでした。しかし、今8時間労働に捉われない新しい働き方が少しずつ出てきています。資本主義社会から生まれた8時間労働が変革する時。それは、新たな社会のはじまりなのかもしれません。

渡部卓さん 渡部卓さん
ライフバランスマネジメント研究所 代表。職場のメンタルヘルスケアやワーク・ライフ・バランスに関する研究を行うライフバランスマネジメント研究所の代表を務める。ほかにも、早稲田大学や中国・国立西北工業大学など、4つの大学で講師を兼任。メンタルヘルスや職場環境についてのプロフェッショナルとして講演を行う機会も多い。

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