世界に誇るママチャリ

ママチャリのトリビア

日本の自転車を代表するママチャリですが、奥深い歴史や開発のエピソード以外にも、驚きの話題がいっぱい!!
今や世界も注目する!? ママチャリにまつわるトリビアをご紹介します。


調べるほどに謎だらけママチャリという言葉

俗称となっているママチャリですが、実は自転車メーカーサイドから「これはママチャリですよ」「ママチャリって呼ぶんですよ」という売り方をしたことはないそうです。では、誰がいつからママチャリという言葉を使い出したのか。これに関しては、現在のママチャリがほぼ完成した昭和50年代頃から使われ出したなど、諸説はあるものの、はっきりしていません。庶民の間で使われていた言葉が俗称として世に広まっていった珍しい例と言えます。はじめて使った人は、こんなにメジャーな言葉になるとは思っていなかったでしょう。

ママチャリは嫁入り道具でもあった

今でこそ、1万円を切る車種も珍しくなく、気軽に購入できる自転車。しかし、昭和30年から40年頃までは、非常に高価なものでした。前ページでもお伝えした「スマートレディ」を例に取れば、今の貨幣価値で20万円近い値段(!)。そのため、当時、自転車は嫁入り道具のひとつとしても扱われていました。昭和37年の調査によれば、約54%の花嫁が嫁入り道具の中に入れていたようです。今では考えられない扱いですが、どれだけ大切にされていたかがわかりますね。

あのケンケン乗りには自転車の重量が関係していた?

女性が自転車に乗る際に、片足をペダルに置き、ケンケンしながら発進する姿を見たことがないでしょうか。これは、自転車が普及し出した頃に、各地で乗り方教室が行われ、そこで教えられていた乗り方なのです。当時の自転車は21〜25kg台後半と重量も重く、女性の力では勢いを付けないと発進できませんでした。今では自転車も軽くなり、スタートも容易。この乗り方を教えることもなくなったそうです。数十年後には、ケンケン乗りをする光景は見られなくなってしまうかもしれません。

全国各地で開催中過熱するママチャリレース

今、全国でママチャリの耐久レースが行われています。「ツインリンクもてぎ」や「富士スピードウェイ」などの国際コースを直に走れるということもあり、大変人気を集めています。どの大会も数名での参加が前提になっており、お祭りのような雰囲気で楽しめるとか。気になる人は愛用のママチャリで参加してみてはいかがでしょう?
ママチャリレースの一例

今、世界各地でママチャリが流行

自転車発祥の地はドイツであり、ヨーロッパでは自転車文化が盛り上がっていますが、それはスポーツやレジャーとしての自転車。日本のママチャリのように、女性の日常使いに特化した自転車は非常に珍しく、今世界各国でママチャリが注目されています。2014年にはロンドンに「Mamachari(ママチャリ)」という専門店が登場しました。乗りやすさはもちろん、自転車の盗難が社会問題になっているため、安価で購入できることがウケている理由だそうです。また、ドバイでは正装の白くて長いシャツドレスが汚れにくいという理由で、ママチャリの人気が高まっています。


ママチャリの歴史を振り返り、改めて街を見ると、ママチャリの台数の多さに驚きます。その背景にはユーザーのことを考え抜き、改良を重ねてきたからこそ辿り着いた高い実用性があるんですね。まさに、ママチャリはママの声と日本の技術の結晶。この機会に身近すぎる“ママチャリ”を見直してみてくださいね。

取材協力

谷田貝一男/一般財団法人 日本自転車普及協会 運営課学芸員

「自転車が果たす社会的な役割」を広く一般に啓発することを目的として、広範囲な分野にわたる事業を行っている。

撮影協力

サイクルベースあさひ 高円寺

全国に362店舗(5月20日現在)を数える大型自転車専門店。店頭には、お客様の自転車をメンテナンスする専門知識を持った「自転車安全整備士」「自転車技士」など、有資格者のスタッフが常駐。購入からアフターサービスまでをサポートしてくれる。

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