これからやってくる、ジメジメした梅雨や汗ばむ夏。汗や皮脂が衣類につきやすく、汚れが落ちにくくなってきます。しかし、ほんのひと手間をかけるだけで、仕上がりに大きな差が出ることを知っていますか? 今回は、洗濯王子・中村祐一さんに、洗濯のキホンとこの時期ならではの工夫を聞きました。
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最初のキホンは、「洗濯絵表示」と「素材」の見分け方。これさえ知っていれば、今までクリーニング店に出していた衣類も自宅で洗えるかもしれません! 洗濯を始める前に、まずラベルを見て、仕分けるのが洗濯上手の第一歩です!
洗濯絵表示には、「家で洗えるorクリーニング」、「洗濯機or手洗い」などの情報が記載されています。あらためて、衣類に付いている表示をチェックして、間違った洗濯をしないように気をつけましょう。
家で洗えるかどうかは素材の特性が大きな決め手。素材によっては自分で洗えないものもあるので、注意が必要です。表地は水洗いOKでも、裏地に洗濯が難しい素材を使っているものもあります。
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洗濯機で洗うときにも、ちょっとした工夫で洗濯の質が向上します。すぐに実践できるテクニックをご紹介します。
洗濯物を容量いっぱいに詰め込むと、洗濯漕の動きが悪くなります。汚れ落ちが悪くなったり、落ちムラがでたりするので、原則は八分目までと覚えておきましょう。
◎デリケートな衣類…きちんとたたんで小さめのネットに入れ、洗濯中の動きを少なめに。
◎汚れが目立つ衣類…大きめで粗いネットを使用。たたむ必要はありません。洗剤と一緒に入れると働きを相殺してしまうので、最後のすすぎのときに投入。または洗濯機に柔軟剤ポケットがあるタイプなら、自動的にすすぎ時に入ります。
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シワシワよれよれの洗濯物はカッコ悪いもの。シワなく洗い上げるコツは、干し方と脱水です。覚えておくだけで、取り込み時の洋服が見違えます。
洗濯機の自動コースに設定されている脱水時間は5、6分のものが多く少し長めです。長すぎる脱水はシワのもと。天気の良い日の脱水は3分以内でも十分です。
脱水を終えた洗濯物を放っておくとシワが取れにくくなります。特に、夏場は生乾きになって嫌なニオイを発することもあるため、すぐ干すことを心がけましょう。
衣類についたシワは、丁寧に伸ばして干しましょう。まずは衣類に負担がかからない程度に引っ張り、両手のひらで挟んでたたきます。さらに、上から下に振りさばけば、乾いたときにシワの少ないキレイな仕上がりに。
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雨の多い梅雨時は、部屋干しが多くなるため、嫌な生乾きの臭いがつきがち。ジメジメした季節でも臭わない洗い方と干し方を伝授します。
除菌&消臭効果が期待できる洗濯用の酸素系漂白剤(液体)を使いましょう。洗剤と一緒に規定量を洗濯機に入れればOKです。
干す際に、服同士が近すぎるとうまく風が通りません。太めのハンガーを使い、衣類同士に5~10cmの空間を作って、厚手と薄手、丈の長い衣類と短い衣類を交互に干すようにしましょう。
部屋干しは、家のなかでもなるべく風通しがよい場所で行いましょう。風が入ってくる窓際やドライモードにしたエアコンの下だと除湿機と同じ効果があります。
窓を開けるのが難しいときには、扇風機を使うのもOK。扇風機の風が壁や窓に当たってはね返るようにして空気を循環させることがポイントです。
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夏は暑さで皮脂や汗が気になる時期。それらを放っておくと、黒ずみや黄ばみの原因になってしまいます。皮脂や汗ジミを落とすワンポイントテクニックをご紹介します。
襟や袖口をぬるま湯にひたし、洗濯用固形石けんを直接汚れにこすりつけます。さらに洗濯ブラシやタワシでゴシゴシし、すすいでから洗濯機で丸洗いしましょう。
洗面器に40〜50℃程度のお湯を張り、洗剤と酸素系漂白剤(粉末)を加えて混ぜ、衣類全体がつかるようにして30分おきます。黄ばみが落ちたらいつもどおり洗濯して干します。
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クリーニングから返ってきた衣類を見てもわかるように、アイロンがけには技術がいります。そこで、自宅でもできる、プロのアイロンがけのポイントを伝授。パリっとした服は、その人の印象をアップします。
- ①袖の縫い目を揃えて、起点にアイロンの先端をあてて袖全体をかけ、反対も同様に。
- ②脇の縫い目や肩、襟周りを整えて、身頃の中央を裾から上に向けて、続いて左右にアイロンをかけます。
- ①襟をアイロン台にのせ、左右から中央へヨレを集めるようにかける。
- ②袖の縫い目を揃えて、起点にアイロンの先端をあてて袖全体をかけ、反対も同様に。
- ③前身頃と後ろ見頃の脇の縫い目と裾をきちんと合わせる。
- ④脇の縫い目や肩、襟周りを整えて、身頃の中央を裾から上に向けて、続いて左右にアイロンをかけます。
- ①ハンカチを裏にして中央にアイロンをかけてから、2つ折りにします。
- ②折り目の少し上から、矢印の方向を意識して全体にアイロンをかけ、シワを伸ばしましょう。
- クリーニング店はお店によって、洗い方や金額に差があります。大事な衣類は高いけれど丁寧に洗ってくれるお店、いつものワイシャツは低料金のチェーン店など、衣類によって使い分けると、無駄な出費も減ります。
- 事前にシミや汚れをチェックし、その内容をクリーニング店に伝えると、汚れに応じた洗い方を工夫してくれます。また、普段クリーニングに出さないTシャツやポロシャツ、シーツを出すとくすみがとれたり、ハリがでるなど驚きの変化が感じられます。
- スーツは休ませるサイクルがあると長持ちします。5着ほど用意し、それぞれを月に1回程度クリーニングに出すのがよいでしょう。季節物は1シーズンに1度しかクリーニングしない方が多いですが、中間洗いを入れることで衣類もリセットされ、長持ちします。
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監修 中村 祐一 さん
国家資格クリーニング師。長野県伊那市のクリーニング店「芳洗舎(ほうせんしゃ)」3代目。家業のかたわら、行っていたクリーニングや洗濯についての丁寧なアドバイスが評判となり、“洗濯王子”として注目を浴びる。雑誌やテレビで洗濯アドバイザーとして幅広く活躍中。
- vol.1今さら聞けないネットのイロハ
- vol.2天気予報の正しい見方とは?
- vol.3プロが伝授するスマホ撮影テクニック
- vol.4ナンバープレートのあれこれ
- vol.5正しい日本語講座
- vol.6まぎらわしい名称カタログ
- vol.7定番メニューの正しい食べ方
- vol.8冬・星空観賞のススメ
- vol.9年末年始の伝統行事カレンダー
- vol.10愛を深める科学的恋愛テクニック
- vol.11手書き力がアップする美文字レッスン
- vol.12春らんまん・桜の観察入門
- vol.13マスターしたい洗濯のキホン
- vol.14“聞く”から始めるコミュニケーション